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悪質なクレームに適切に対応し,悪質な者に屈しないようにするには,経営者が,方針を定めておくこと!
つまり,経営者が不当な要求には応じないことを明確にしておくのです。
少し,想像してみて下さい。お客様からクレームがあった場合,現場担当者は,まずどう思うでしょうか。「お客様は神様である」とさえ言われている日本です。
単に不当な要求に応じないという目標を立てるのでは,足りません。現場担当者は,お客様を怒らせてはいけない,売上げを上げなければならない,業務に支障が出てはいけない,と思っています。「悪質クレーマーであってもお客様は大事」という考え方をしないのが正しい,業務を妨害されるおそれがあっても不当な要求には応じないのが正しいことを明確にする必要があります。「悪質クレーム」かどうかの見分け方は,これまで書いたとおりですが,現場担当者の不安は,「本当にこれは悪質クレームなのか?」というところにもあると思います。見分けることに不安を感じたら,上司,弁護士などに気軽に相談できる体制をつくっておくことが必要です。
クレーム対応の目標を誤らないようにすること!
悪質クレーマーは,正当な理由を示されても,納得しません。ご納得いただいて解決することをクレーム対応の目標としていると,悪質クレーマーにご納得いただけない担当者は無能な人間だということになってしまいます。反対に,悪質クレーマーを特別扱いして悪質クレーマーにご満足・ご納得いただいた担当者は有能だということになってしまいます。これを続けていると,現場担当者は自腹を切ってでも,その場をうまくやりすごそう,という方向に動きます。
悪質クレーマーに立ち向かう担当者を無能扱いしないよう,クレームの解決を目標にしないことが必要となります。
……とはいっても,早めに解決できるなら,悪質クレーマーへ多少の特別扱いをしても企業経営の効率性,など全体でみたら,許される場合もあるのでは?と思うのではないでしょうか。確かに,全く画一的な取り扱いをせよ,という趣旨ではありません。なぜなら,それぞれお客様との取引は同じものではないからです。
しかし,大事なことは,悪質クレーマーに特別扱いをすることが,他の多くの大変善良かつ企業にとって真に有り難いお客様に対して,失礼だ!という意識を持つことです。自分が客だったら,こんなにその企業を愛し,好んで商品も何度も買っているのに,自分には何のサービスも無く,たまたまその商品を1度買いに来て,正当な理由もないクレームを言った客には,特別なサービスがある,と知ったら,がっかりですよね!
社会的にみて,毅然と公正,公平な取り扱いをすることこそが企業の価値を高めるのです!
このように,方針・目標を明確にした上で,次に,体制を整備することになります。
普通の顧客のクレーム対応であっても,精神的な負担は大きいものです。相手が悪質クレーマーとなると,その負担は更に大きくなります。逃れたくなって悪質クレーマーの要求に応じてしまったり,病気になってしまうおそれがあります。
しかし,負担が大きいからと言っても,担当者を途中で変えることは望ましくありません。担当者を変えると,通常,担当者が上役へと上がっていくので,大事な上役の時間を悪質クレーマーのために費やすことになってしまいます。また,担当者を変えると,悪質クレーマーから,前の担当者に話してあるのに聞いてないのか,たらい回しにされたと言われ,新たな攻撃材料となります。前の担当者がああいったこういった,確認しろ,言った言わないという話がでてきて,その確認作業に余計な時間を費やすことにもなります。(もっとも,場合によっては,担当者を変えることが必要な場合もあります。)
いつも,職員を大切にしている!と口では言っていても,とても大変なことを,現場担当者だけに任せている会社だとしたら,職員は,本当に大切にされていると感じられません。この職員に会社の売上げアップのため,頑張ろう!と仕事が出来るでしょうか?無理ですよね
そこで,最初から,予め担当者の精神的負担をやわらげるよう,組織としてしっかりとしたバックアップ体制を作っておくことが必要となってくるのです。
クレーム対応手続きを定めてクレーム情報を共有することも必要です。クレームを確実に報告させる手続きがないと,上司,経営者に知られないようにしたいと思う従業員は,秘密裏に不当な要求に応じてしまう可能性があります。先ほどの,早く,クレーム処理をすることが大切なのでは無く,上司,経営者と情報を共有し,「公正,公平」をふまえて適切に対応することこそが重要であることを周知,徹底する必要がありますね!
多治見ききょう法律事務所でも,クレーム対応体制の構築や,実際のクレーム対応のご相談・ご依頼をお受けしています。
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