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離婚調停を弁護士に頼むべきか?そのメリットと弁護士費用

弁護士木下貴子 弁護士田中敦

「裁判所HPより詳しい離婚調停解説」連載第5回。

  • 離婚調停では弁護士を頼まないといけないですか?
  • 離婚調停では弁護士を頼んだ方が有利ですか?
  • 離婚調停で弁護士を頼むと費用はいくらかかりますか?

という弁護士依頼に関するご質問をよくお受けします。

離婚を考えている方の状況によって弁護士に依頼するメリットの程度が異なってきます。弁護士を依頼するかどうかは,メリットとデメリットを比較して決めるのが良いと思います。

そこで,今回は,離婚調停について,

  1. どれくらいの人が弁護士を頼んでいるのか
  2. 弁護士依頼のメリットデメリット
  3. 弁護士依頼のあり方には種類があること
  4. 弁護士費用の額の実情
  5. 広告で弁護士費用の額を比較・検討するときのポイント
  6. 弁護士費用の負担者

を,順に解説します。

申立人の42.2%(※注)が弁護士を代理人に付けている

弁護士が代理人に付いていた率(平成16年・平成26年)のグラフ

平成26年の司法統計によりますと,婚姻関係の事件で弁護士が代理人に付いていた割合は,

  • 当事者双方に付いていた…19.5%
  • 申立人のみに付いていた…22.7%
  • 相手方のみに付いていた…4.8%

となっています。

平成16年は,それぞれ8.4%,13.0%,3.6%でした。申立人が弁護士を代理人に付ける率が,10年間で,21.4%から42.2%へと増加したことになります。

「離婚調停では弁護士を付けなくて良く、離婚裁判になったら弁護士を付ける」という単純な考え方は過去のものになっていると言えるでしょう。

(※注)婚姻関係の事件には,離婚調停以外に,婚姻費用分担請求調停,財産分与請求調停などが含まれますので,離婚調停だけの数値ではありません。概ね3件に2件が離婚調停ですし,実感として弁護士代理人選任率が特異な類型の調停事件が含まれているわけでもありませんので,離婚調停の弁護士代理人選任率との乖離は小さいものと思われます。

離婚調停で弁護士を依頼するメリット

1 有利に離婚調停手続きを運ぶ

有利に離婚調停手続きを運ぶために

離婚調停では,裁判所の調停委員に離婚の調整をしてもらいます。調停委員が,あなたの話を聞き取り,相手方に話します。
そのため,あなたの希望する条件での解決をめざすのであれば,まずは,調停委員に,あなたの主張を正しく理解してもらい,共感してもらえるように話すことが必要です。
調停委員の共感が得られなければ,調停委員があなたの意に添うように相手方を説得してくれることも期待できません。

弁護士に依頼をしていないときによくある問題

  • 言いたいことをうまく伝えられない
  • 何を伝えればよいのかわからない
  • 言うべきことではなく,言いたいことばかりを言ってしまう
  • 相手の主張に共感してしまっている調停委員に説得されてしまう
調停委員にうまく伝えられない

弁護士に依頼をしたとき

  • あなたの言いたい主張を整理して調停委員に伝えてもらえる
  • 離婚調停で必要なことに重点を置いて伝えてもらえる
  • 経験豊富な弁護士にその場でフォローしてもらえる
  • 相手の主張をふまえて説得的に主張をしてもらえる
弁護士が調停室でフォロー

「有利に離婚調停手続きを運ぶ」ために弁護士を依頼することをおすすめする方

  • 自分の話す力自体に不安のあるとき(例えば)
    • 自分が話下手なため,言うべきことを裁判所の調停委員にうまく伝えることができないと不安な方
    • 話が長くなりがちで,余計なことまで言ってしまうのではないかと心配な方
    • 何を言わなければいけないのか,何を言ってはならないのかが分からない方
    • どのような言い方をすれば,相手方や調停委員が自分の意向に添うように考えてくれるのかわからない,という方
    相手と比較したときに心配要素があるとき(例えば)
    • 相手方が弁護士を依頼している方
    • 相手方は口が達者,人面が良く,調停委員が騙されてしまうのではないかと心配な方
    • 調停委員が相手方の話ばかりを信じている,調停委員が相手方の言いなりだ,と感じている方

離婚調停の具体的話し方のアドバイスブック

弁護士が,離婚調停で,どんなことを考え,どんなフレーズを使っているのかを理解した上で,弁護士に助けてもらうかどうかを判断するのも良いでしょう。

私弁護士木下貴子が,離婚調停に出席する方のために,具体的な話し方のアドバイスブックを作成しています。

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2 取り返しのつかない失敗を防ぐ

取り返しのつかない失敗

離婚調停では,条件(調停条項)に同意して離婚調停が成立してしまえば,判決と同じ効力があり,その条件を変えることができなくなります。
少数ではあるものの,取り返しのつかない失敗をしている方が,実際にいらっしゃいます。

弁護士に依頼をしていないときによくある失敗

  • 調停委員に強く説得されて不利な離婚条件(調停条項)を受け入れてしまう
  • 条件(調停条項)の意味がよくわからないまま同意してしまう
  • 条件(調停条項)からは気づかないような他の法的問題が潜んでいた
  • 離婚裁判になるまで秘密にしておくべき事実や証拠を漏らしてしまい裁判で不利になる
離婚条件がわからない

弁護士に依頼をしたとき

  • 離婚裁判(離婚訴訟)になったときの見通しをふまえて条件を受け入れるかどうかを決められる
  • 条件(調停条項)の意味について,弁護士から説明を受けられる
  • 離婚調停成立後にどのようなトラブルが起きるのかを予測できる
  • 離婚調停不成立後の離婚裁判での有利不利をふまえて対応できる
弁護士がいて安心

「取り返しのつかない失敗を防ぐ」ために弁護士を依頼することをおすすめする方

  • 気が弱くて押し切られそうな方
  • 住宅ローンが残る・面会交流を詳細に取り決める必要があるなど離婚条件が複雑になりそうな方
  • 相手方が不倫(不貞行為)した証拠を握っている方

3 時間と精神の浪費を防ぐ

時間と精神の浪費防止の必要

再婚したい,健康状態が悪いが遺産を相続させたくないなどの理由により離婚を急いでいる場合には,離婚までにかける時間をいかに短縮するかが大事な観点となります。
そうでなくとも,日常の勤務,家事,育児に加え,離婚調停の手続きをしなければならないことの精神的負担は大きく,早く解決して,離婚調停手続きの精神的負担から解放されることが望まれます。

弁護士に依頼をしていないときによくある問題

  • 自分の他の時間を沢山削って準備しなければならない
  • 希望が整理できないまま調停に臨んで,自分で調停の手続を空転させてしまう
  • 相手が受けいれるはずもない離婚条件を提示して,調停手続を停滞させてしまう
  • 相手の主張をふまえた即座の対応ができず,調停回数を繰り返す
  • 相手から提案された離婚条件を1回持ち帰って次回に承諾しようとしたところ,相手が提案を撤回してしまい,有利なチャンスを逃す
どうしていいのかわからず悩む

弁護士に依頼をしたとき

  • 申立の準備がスムーズにでき,申立までの時間を短縮できる
  • 書類不備による手続停滞を回避できる
  • 準備に煩わされる精神的負担や時間が減少する
  • 十分な準備をして調停に臨むことで1回毎の手続が充実する
  • 相手の主張や提案に対し,即座に弁護士からアドバイスを受けて,即座の対応ができる
弁護士が即座にアドバイスするので安心

「時間と精神の浪費を防ぐ」ために弁護士を依頼することをおすすめする方

  • 時間(離婚までの期間)の浪費を防止したい方
  • 離婚問題で不安定となっている子どもとの時間をできるだけ削りたくない方
  • 仕事が忙しく,自分で準備する時間のない方
  • 離婚問題で自分自身が精神的に疲労していると感じる方
  • 相手方の言うこと(離婚条件)が毎回ころころ変わる,と感じている方
  • 再婚を希望している方
  • 精神的に落ち着いて早く新しいスタートを切りたい方
  • 早く母子家庭になって,児童扶養手当を受給したり,市町村の福祉的サービスを受けたいと思っている方

4 離婚の意志が固いことが伝わる

弁護士に依頼をしてまで離婚しようという行動が,離婚の意志の固さを示す事情となります。
相手方がまだやり直せるはずという期待をしているような場合には,その期待が果たされないことを伝える1つの手段となりえます。

5 離婚裁判にスムーズに移行できる

離婚裁判(離婚訴訟)になった場合は,話合いではなく,法的手続きで勝敗を競うことになりますので,費用をかけてでも弁護士を依頼することを強くお勧めしています。
相手方の,離婚をしない,親権を譲らない,という意志が固く,離婚調停での合意が見込めず,離婚裁判が必至なのであれば,離婚裁判に備え,予め事情を知っておいてもらい,離婚調停不成立となった後に迅速に離婚裁判に移れるよう,離婚調停の時点から弁護士を依頼しておくのが良いでしょう。

離婚調停で弁護士を依頼するデメリット

1 弁護士費用がかかる

費用が気になる

言うまでもありませんが,弁護士に依頼をすれば弁護士費用がかかります

離婚調停は,話合いにより合意をめざす手続きであり,一方が反対するだけで調停が不成立となります。弁護士に依頼したからといって,正当な解決が得られるというものでもありません。

財産面だけの争いのときは弁護士費用のデメリットが大きいことも

財産面だけが争いとなっていて,弁護士を頼んでも,弁護士費用に見合う成果を獲得できる可能性が低い事案もあります。特に,夫婦ともに財産が少ないような場合ですと,財産分与・慰謝料として実際に獲得できる・支払うことになる額も小さいことになりますので,財産面だけが争いなのであれば,弁護士費用のデメリットは大きいといえます。
財産分与,養育費,慰謝料などで多くの財産を取得するためだけに弁護士を依頼するのであれば,予め弁護士に相談して,弁護士を依頼する場合の費用と,弁護士に依頼をしたときに取得が見込める財産の程度を知った上で,弁護士に依頼するかどうかを決めると良いでしょう。

2 弁護士の選び方を誤ると時間を浪費する

離婚調停を行う裁判所から遠い弁護士に依頼をすれば,弁護士の拘束時間が長くなりますので,弁護士の予定を合わせることが難しくなり,離婚調停の日が先になってしまうということがあります。
また,自分の自宅・職場から遠い弁護士に依頼をすると,弁護士の事務所に打合せに行くのに時間を浪費することになります。

離婚調停を弁護士に依頼しない方へ

離婚調停では,調停委員への「話し方」が大事です。
あなたが弁護士に依頼をしないのであれば,あなたは,自分自身で調停委員に話をすることになります。

現在,多治見ききょう法律事務所では,具体的な「話し方」のアドバイスブックを無料で欲しい方を募集しています。
今すぐ下のボタンをクリックし,アドバイスブックを手に入れてください。
そして,離婚調停であなたが話をするときに利用してください。

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弁護士への離婚調停依頼の種類

弁護士への離婚調停依頼の通常型

弁護士と一緒に裁判所に行く

通常,離婚調停を弁護士に依頼すると言えば,弁護士が離婚調停の代理人となって,依頼者と打ち合わせた上で,離婚調停の申立書を作成し,調停手続に一緒に出席することを言います。このようなパターンのサービスのみを行っている弁護士も多いです。

弁護士が調停手続きに出席せずにサポートする形態

バックアッププラン

そのようにフルにサポートすることになれば,弁護士の手間がかかるため,どうしても弁護士費用の額を高く設定せざるをえません。
そこまでの弁護士費用はかけられないが,専門家にサポートをしてもらいたいという方のために,弁護士が調停手続きに出席せずにサポートする形態のサービスを行っている弁護士も増えてきています
多治見ききょう法律事務所でも,弁護士が調停手続に出席しない形でサポートするサービスメニュー「バックアッププラン」をご用意しています。

多治見ききょう法律事務所の離婚調停サービスメニュー

私が所長を務める多治見ききょう法律事務所では,複数のサービスメニューを用意しています。

詳しくお知りになりたい方は,多治見ききょう法律事務所の離婚サービス解説のページをご覧ください。

離婚調停を弁護士に依頼しようと思っていて,離婚を中心的に取り扱っている弁護士のアドバイスも聞いてみたい方へ

離婚調停では,調停委員への「話し方」が大事です。
離婚調停では,弁護士に依頼をしても,自分で調停委員に話をしなければならない場面があります。

多治見ききょう法律事務所では,具体的な「話し方」のアドバイスブックを無料で欲しい方を募集しています。
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離婚調停の弁護士費用の額

弁護士費用の額は,弁護士によって異なります。

依頼しようとしている弁護士の弁護士費用については,その弁護士に尋ねるか,ホームページなど公開されている料金表により確認するしかありません。
「着手金+報酬金制」を取っている弁護士が多く,金銭請求を伴わない離婚調停では,着手金40万円程度,報酬金40万円程度のことが多いようです。

他の事務所の料金を勝手に紹介できませんので,多治見ききょう法律事務所の離婚サービスの料金(弁護士費用の額・消費税別)を紹介すると,次の通りになります。参考にして下さい。 (ダウンロードする方は,多治見ききょう法律事務所離婚事件着手金・報酬金等一覧表(PDFファイル))

バックアッププラン

資料のコピーや相談記録を保管し,ご契約期間中何度でも,弁護士が面接相談・電話相談に応じるサービスです。
(注)離婚協議書・離婚調停条項案の作成などの書面の作成は別料金となります。

基本料金
5万円/3ヶ月まで
延長料金
1ヶ月経過するごとに1万5000円

離婚協議書作成(離婚調停条項案作成)

  • 10万円

協議調停代理人プラン(通常プラン)

弁護士が離婚調停の代理人となって,ご依頼者と打ち合わせた上で,離婚調停の申立書を作成し,調停手続に一緒に出席するサービスです。

着手金
35万円
親権について争いがある場合は40万円
報酬金
35万円+経済的利益の10%
親権について争いがある場合には,35万円+(親権取得時)20万円+経済的利益の10%
出張追加料金
岐阜家庭裁判所多治見支部 何回でも無料(追加料金無し)
岐阜家庭裁判所中津川出張所 4回目以降1回ごとに2万円
岐阜家庭裁判所御嵩支部 4回目以降1回ごとに1万5000円
名古屋家庭裁判所本庁 4回目以降1回ごとに2万円
そのほかの裁判所については,ご相談下さい。
オプションサービス
離婚成立までの生活費(婚姻費用)請求手続
着手金 5万円
報酬金 離婚成立までに支払いを受けた額の10%(依頼者の意思で離婚を取りやめたときは,3年分の10%)

協議調停代理人ゴールドプラン

平日にできる限り仕事を休みたくない方のため,協議調停代理人プランに,休日対応や,不動産鑑定士・税理士・司法書士との連絡調整対応などのサービスを加えたものです。

着手金
180万円
親権について争いがある場合は190万円
報酬金
50万円+経済的利益の10%
親権について争いがある場合には,50万円+(親権取得時)20万円+経済的利益の10%
出張追加料金
協議調停代理人プラン(通常プラン)と同じ
オプションサービス
協議調停代理人プラン(通常プラン)と同じ

離婚調停の弁護士費用を読み解くポイント

離婚調停の弁護士費用の定め方は弁護士の自由ですが,「着手金+報酬金制」を採用している弁護士がほとんどです。多治見ききょう法律事務所でも,協議調停代理人プランと協議調停代理人ゴールドプランでは,「着手金+報酬金制」を採用しています。
しかし,同じ「着手金+報酬金制」の中でも,金額の算出方法について,弁護士による違いがあります。

「着手金+報酬金制」で支払うことになる弁護士報酬(実費別)

弁護士報酬
着手金 依頼したときに結果に関係なく支払う費用
日当その他弁護士の出張・出廷につき回数・拘束時間に応じて支払う費用
報酬金事件が終了したときに結果に応じて支払う費用

「着手金+報酬金制」の各弁護士費用の詳細

着手金
弁護士に事件を依頼したときに,結果に関係無く支払う弁護士費用です。
弁護士は,離婚調停の依頼を受けると,依頼者からの事情聴取・相談対応,依頼者との打合せ・連絡,離婚調停申立書・付属書類の文書作成・推敲・プリントアウト,必要書類の取り寄せ,事実調査,法律・判例調査,申立書等の必要部数のコピー・裁判所への提出,裁判所との連絡調整などを行います(事務作業は弁護士の事務所の事務職員が行うことがあります)。着手金を支払うと,こうした作業がどれだけ生じても,事件終了前において弁護士費用の追加払いはありません。
弁護士の裁判所への調停出席は着手金に含まれているとは限らず,調停出席が着手金に含まれない契約,一応着手金に考慮されているものの着手金とは別に調停出席毎に拘束時間に応じた日当などの支払を要する契約があります。
報酬金
事件が終了したとき,結果に応じて着手金とは別に支払う弁護士費用です。いわゆる「成功報酬」です。
全く成果が得られなかった場合には報酬金の支払は生じません。依頼通りの結果が得られたときに報酬金全額の支払いがあるのはもちろん,一部成果が得られたときも成果の割合に応じて報酬金を支払う契約が通常です。
日当
弁護士が事務所外の場所(主に裁判所)に出張するときに,弁護士の時間拘束の対価として支払う弁護士費用です。出張する都度支払うべきものですが,まとめて請求書を切る弁護士もあります。
着手金に時間拘束を織り込んで金額設定し,出張毎の日当を請求しない契約もあります。
多治見ききょう法律事務所では,裁判所における代理人活動の時間と5時間程度までの移動時間は着手金に織り込んでいますが,さらなる移動時間が生じたときには「出張追加料金」をお支払いいただく契約にしています。
実費
弁護士費用ではありませんが,依頼事件を進めるとき,その事件のために,通信費用,コピー費用,依頼者に代行して取り寄せる戸籍謄本・登記簿謄本等の費用,裁判所の手続き費用(収入印紙・切手),弁護士が裁判所を往復する交通費がかかります。
弁護士費用である着手金・報酬金・日当とは別に,こうした実費が,ご依頼者の負担となる契約が通常です。ご依頼者は,弁護士が立替支出した実費を,弁護士に支払って精算することになります。支出が生じる都度支払うべきものですが,ある程度まとめて請求書を切る弁護士もあります。
また,実費に充てるためのお金を預けておく契約形態(預り金方式)もあります。

着手金だけでなく日当の額にも注意

日当って何?

離婚調停は,相手や調停委員の対応次第で,進展のないまま回数を重ねることも珍しくありません。相手のドタキャンで,あるいは,相手の検討中という経過報告で,ほとんど中身のないまま1回の調停期日が終わってしまうこともあります。 着手金が安く日当が高い契約形態は,弁護士に時間を割いてもらったことの対価として費用を支払うということで合理性があるものの,最終的に離婚調停不成立で成果無く終わった場合にも,弁護士費用に費やす金額が予想外に大きくなる可能性があります。
とはいえ,遠方の裁判所への出張を伴うご依頼では,移動のために弁護士が拘束され,弁護士はその間他の仕事ができません。移動時間が長くなる場合に,弁護士が,弁護士費用の追加無しにご依頼をお受けするのは難しい状況にあります。移動時間は,遠くの裁判所で離婚調停をしなければならないというご依頼の事案の性質により発生するものであり,弁護士の知識経験で回避することもできません。
そのため,弁護士は,遠方出張を伴うご依頼については,着手金の設定(増額),日当制等で,その負担に見合う弁護士費用のご負担をいただきたいと考えるの通常です。
日当の明示の無い弁護士に遠方出張を伴う依頼をしようとするときは,日当の額を確認しておいた方が良いでしょう。

多治見ききょう法律事務所の場合

多治見ききょう法律事務所では,着手金の額は定額とし,裁判所にいて拘束されている時間について追加の対価をいただくことはしていませんが,累計約5時間を超える移動時間に1時間あたり1万円程度の「出張追加料金」という形での弁護士費用のご負担をお願いしています。実際に時間を計るのではなく,出張する裁判所に応じて,何回目以降は1回あたりいくらという形で,金額設定をしています。

着手金の基準を読み解くポイント

離婚調停における着手金の定め方には,大きく分けて2つの形があります。

  • 金銭換算できない請求(離婚自体,親権,面会交流)に関する定額の着手金,金銭換算できる請求(慰謝料,財産分与,養育費,年金分割)の請求金額(経済的利益)に応じた着手金(8%,5%などの割合をかけ算する)を合算するという着手金の定め方
    着手金の額
    金銭換算できない部分の請求の着手金離婚自体,親権,面会交流など項目毎に定額
    金銭換算できる部分の請求金額(経済的利益) 慰謝料・財産分与・養育費などの額
    ×
    割合8%・5%など
  • 請求額に関係無く着手金を定額とする定め方
    着手金の額
    離婚自体,親権,面会交流など項目毎に定額(請求金額による加算無し)

これらのどちらであるのかを見極める必要があります。

多治見ききょう法律事務所では,請求額に関係無く定額の着手金を定めています。

報酬金の基準を読み解くポイント

離婚調停における報酬金の定め方は,金銭換算できない結果(離婚自体,親権,面会交流)と金銭換算できる結果(慰謝料,財産分与,養育費,年金分割,通常「経済的利益」といいます)のそれぞれの報酬計算をして,合算するのが通常です。
報酬金の額
金銭換算できない部分の結果の報酬金離婚自体(ポイント1),親権(ポイント2),面会交流などの結果に応じ定めた額
金銭換算できる部分の結果(経済的利益) 慰謝料・財産分与・養育費などの額(ポイント3)
×
割合16%・10%など(ポイント4)

(ポイント1)離婚自体の結果について

離婚を希望していた場合は,離婚が成立すると,依頼事項の内,離婚自体部分が成功したことになります。
もともと夫婦ともに離婚したいと考えていて,条件が合わずに協議離婚できなかった場合も,離婚できなかった状態が離婚成立に至ったことにより,離婚について成功したと考えるのが通常です。
多治見ききょう法律事務所でも,同様の考え方によっています。

(ポイント2)親権争いを伴う離婚の結果について

親権を取って離婚することを希望していて,親権を取れない離婚成立の結果になったときも,金銭換算できない結果部分についての報酬金の一部が発生するのが通常です。このとき

  1. 「親権を取って離婚」の場合の報酬金額を定めておき,親権を取れない離婚成立についてその一部成功として計算する方法
  2. 離婚自体の報酬金額とは別枠で親権取得の報酬金額を定めておく方法

があります。

親権を取得して離婚成立の場合,親権を取得できずに離婚成立の場合のそれぞれの報酬が納得できるものになっているか,着目しましょう。

多治見ききょう法律事務所では,現在,離婚自体の報酬金額とは別枠で親権取得の報酬金額を定めておく方法を採用しています。

(ポイント3)経済的利益の計算方法について

経済的利益がわからない

現実に支払を受けた額ではなく,支払が合意された額を基準に報酬金を計算することが多く,多治見ききょう法律事務所でも,支払が合意された額を基準にしています。支払を請求されていた側は,相手の請求額から減らすことができた額を基準にしています。
経済的利益に対する報酬金については,何が経済的利益なのかにも着目する必要があります。特に,養育費・年金分割については,考え方が分かれます。

養育費
養育費が支払われる全期間の総額を基準にする場合,総額に一定割合(70%など)をかけ算する場合,一定年数を限度とする場合,養育費を含めない場合があります。
多治見ききょう法律事務所では,3年分を含めています。
年金分割
何らかの方法で計算して経済的利益に含める場合と,含めない場合があります。
多治見ききょう法律事務所では含めていません。

(ポイント4)経済的利益にかけ算をする割合について

経済的利益の額を基準に10%,16%などと,割合で定めることが多いです。割合が弁護士によって異なります。多治見ききょう法律事務所では10%としています。

弁護士費用を相手方に請求できるか

「相手の浮気で離婚するのだから,弁護士費用を相手方に請求できますよね?」と言われることがあります。しかし,反対に,万一でも,敗訴した場合には,自分の依頼した弁護士のほか,相手方の弁護士費用を負担しなければいけないとすると,裁判をすることを躊躇する方も多いものです。

このようなことから,現在の制度では,それぞれの弁護士の費用は依頼した方が負担することとなっていますので,相手方に弁護士費用を負担してもらうことは無理,と考えていただくのが,間違いありません。もっとも,事情によっては,このような弁護士費用の負担も考慮して,慰謝料の金額を決めてもらうことになります。

(弁護士 木下貴子)

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この記事を書いた弁護士

執筆者木下貴子

木下貴子

多治見ききょう法律事務所所長

岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり18年目。
離婚事件を中心的に取り扱い,これまでに受けた離婚のご相談件数は900件を超えます。ご相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーに対応しています。
離婚・夫婦に関する講演の講師も務めています。
著書の「離婚調停は話し方で変わる」(ききょう出版)はAmazonランキング法律部門第1位を獲得しました。

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