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離婚調停Q&A

(財産の使い方の合意が財産分与に影響するか)
Q1 婚姻期間中は私が家計を引き受け,夫のお金遣いが荒かったので,将来子供が困らないようにと思い,婚姻期間中の私のパート収入から預金してきました。その預金も財産分与の対象に入るのでしょうか?(夫から,婚姻期間中の私の預金を半分よこせと言ってきています。)
Q2 私はフルタイムで働き,夫とほぼ同等の収入があります。結婚からしばらくは小遣い制にしていましたが,お金のことで頻繁にけんかがあったので,この10年近くは子供・家族分の生活費を割り勘で出して,残りは,各自で管理し,老後のことも各自で貯金して備えるように言ってきました。
ですから,夫がどんな買い物をしてこようと追及せずにきました。
私はいつか離婚したときのためにも地道に貯金してきたのですが,もし私が離婚調停を起こすと,貯金を財産分与で分けることになるのでしょうか?
A 結論から言いますと,Q1,Q2のいずれのケースも,ご質問者の預貯金は財産分与の対象となるのが一般的です。なぜかというと,ほとんど利用されていないのですが,民法上,夫婦財産契約という制度があるため,この手続きで決めておかない限り,原則として,婚姻してから形成した財産は,財産分与の対象となるものとして,扱っているからです。
こうしたルールにより,専業主婦であっても,夫の収入によってできた預金・財産についても,妻の家計管理や家事・育児等を含む夫婦共同生活の成果として得られたものとして,財産分与してもらえる,ということになります。
しかし,ご質問のケースでは,一生懸命預貯金を貯めてきたご質問者にとって,不公平に思われることも多いと思います。
この点,Q2のケースでは,財産分与の対象とならない可能性もあると思われます。裁判例においても,婚姻前からそれぞれが作家,画家として活動しており,婚姻後もそれぞれが各自の収入,預貯金を管理し,それぞれが必要な時に夫婦の生活費用を支出するという形態をとっていたことが認められ,一方が収入を管理するという形態,あるいは夫婦共通の財布というものがない事案では,婚姻中から,それぞれの名義の預貯金,著作物の著作権についてはそれぞれの名義人に帰属する旨の合意があったと解するのが相当であり,各個人名義の預貯金,著作権は清算的財産分与の対象とならない,という判断をされたものがあります。
そのため,Q2のケースで,ご夫婦で「残ったそれぞれ名義の預貯金」はそれぞれのものとする,という合意まであった,といえれば,これを前提に清算する,つまり,ご相談者名義の預金は夫に渡さなくても良い,という考え方もあると思われます。収入も夫とほぼ同程度,という点も清算的要素が少ない根拠となると思われます。(もっとも,途中で財産の管理方法を変更しているので,少なくとも,この点の清算は必要になると思います。)
他方,Q1のケースでは,「浪費」「お金遣いが荒い」というのは,どのレベルを超えると「浪費」「お金遣いが荒い」と言えるかの基準が難しいため,ご質問者名義の「貯金が残った」のが全て質問者のおかげであると言い切ることが難しいです。一切清算しない,というのは難しいケースと思われます。収入の主な担い手が夫とうかがわれる点も,清算する方向に働きやすいと思われます。
もっとも,財産分与は,家庭裁判所が,「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して,分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める」とされているため,夫の浪費の程度によっては,清算すべき額を低くする根拠とはなり得ます。その他にも,夫婦の共同生活における家事・育児を全く負担せず,財産を維持するための貢献度が低いといえるような事情があれば,これも「一切の事情」として裁判所が分与すべき額の判断をすると言えます。
もっと昔には,専業主婦である妻の貢献度は低いと考えられていたので,専業主婦の財産分与の割合が2〜3割程度の時代もあったようです。現在では,家事・育児の従事による財産形成への寄与(内助の功)が重視されて,原則として2分の1の割合が認められています。
しかし,さらに進んで考えると,家事労働の対価は,夫の収入で形成された財産の半分が適切なのでしょうか?夫の収入によっても違ってくるのではないかと思います。妻も働いていることが一般的になってきた現在,夫が何ら家事・育児を負担していない場合(内助の功があると言えないような場合)に,妻が働いて形成した財産を夫に分与する必要はあるのでしょうか?
妻の不満は,夫の仕事は,私が家事や育児を負担しているからやっていけているけれど,私の仕事は,夫が家事や育児を助けてくれているからできているわけではない,という気持ちにあるのではないでしょうか?(家事や育児が今のようにできなくなるなら,仕事はやめて欲しい,と夫から言われているようなケースもありますね。)
最近話題となった「逃げ恥(逃げるは恥だが役に立つ)」のドラマは,「家事労働」の適切な対価について,考えさせられます。「育児労働」「介護労働」の対価についても,同様の問題があると思います……
外国人との間の婚姻で,当然のように,相手方から最初に夫婦財産契約をすると言われたお話をお聞きすることもあります。
夫婦財産契約は,婚姻前に契約しておくこと,登記しておくことなどの条件が厳格で使いにくい制度ではありますが,少なくとも「契約」として,書面で,離婚の際の財産の分け方を当事者間で決めておくと,離婚時の「財産分与」の方法・割合を裁判所が判断する際にも役に立ちそうです。
もっとも,婚姻後に様々な事情が変化するので,常に家事・就業・育児などの負担割合は変わり得ます。そのため,「契約」したとおり,離婚時に清算するのが公平とは言えなくなる場合もあり得ます。そういった事情も「一切の事情」として,財産分与の対象とするかどうか,その割合(額)をどうするかに影響してきます。
ご質問のケースのように,婚姻期間中に形成された自分名義の預金について,離婚時には清算すべき「財産分与」の対象とし,2分の1の割合で夫に分ける,という原則的な今の取扱方法がおかしい,と感じる場合には(実際には,とても難しいのですが……)適宜,合意を書面化して残しておくこと,少なくとも文書でその意思を伝えておくこと,などを考える必要があると思います。
(離婚調停でどこまで主張を出すべきか)
Q 離婚調停での焦点はおそらく親権争いとなり,不成立に終わることが予想されます。
その後,妻より裁判を起こされる可能性が高いと考えています。
調停での情報は裁判に移行されないと聞いていますが,調停で私が主張したことに対して,裁判に発展した場合に,妻側が対応策を講じるかもしれません。
とするならば,優劣を決しない調停において,不成立が予想されるなら,裁判になるまであえてこちらの主張は秘匿すべきではないか?と思案しているところですが,お考えをお聞かせ願えれば幸甚に存じます。
A これは,調停での「戦略」に対するご質問ですね。「戦略」は弁護士によって違いますが,私(木下)の場合にどうしているかをお答えします。
まず,一切調停で解決することを考えていないのであれば,あまりこちらの詳しい主張を伝えることはしません。ご質問のケースですと,双方共に「親権」を主張し,どちらも絶対に譲らない,と決めているような場合であれば,こちらの詳しい主張はしません。反対に,相手方はどのようなことを言ってくるのかは予め知っておきたいので,相手方の言い分をよく聞くように,意識して,調停を進めます。
もっとも,裁判で親権者となれる見込みがどの程度あるのか,有利な条件が自分にあるのか,どの要素が一番親権を決める上で重要な要素なのか,などは予め把握して,準備しておく必要があります。話合いを基本とする「離婚調停」とは異なり,本当の戦いとなってしまう「裁判」では,双方共に「相手の不利な点・良くない点」を指摘し,相手を非難することになるので,相手方のこちらに対する感情も今以上に悪化します。
そのため,もし,裁判の結果,親権者になれないとすると,その後の面会交流等に大きな支障が生じることが予測されます。
このような裁判になった場合のリスクも踏まえて,弁護士に相談するなどし,ご自身のケースでは,親権者となれる見込みがどの程度あるのか,何が弱点で,何が強みとなり得るのか,裁判になるとどのような手続きで親権は決められるのか,など把握して臨むようにしましょう。親権者となれる見込みが低い場合には,離婚調停での解決を引き続き探る,という選択肢もあると思います。
(養育費を支払わなくていい場合はあるか)
Q 養育費を払わなくて済む方法はありませんか。
私は娘がいて,これから離婚調停です。
相手側が私に求めていたものが違ったようで,
・もうあなたなんかいらないわ
・親(相手側)の会社で働けば好きなように働けるし,給料もいいのよ
と離婚を要求しておきながら養育費の請求をしてくる,非常に厄介な相手の場合などです。
私は自分の手で子供を育てるのにお金は惜しんではおりません。
ただ,上記のような侮辱的なことを言っておきながら,困ったときは金をよこせというような相手は絶対に許すことができません。
なので養育費を絶対に払いたくないのです。
相手が望んでいたくせに……というのが正直な気持ちです。
A 結論から言いますと,ご質問者の方が,働いていて,収入もある限り,養育費を一切支払わない,というのは無理でしょう。なぜなら,「養育費」は子どもさんのために必要とされるものであり,「子どもさんの権利」だからです。
相手方が浮気したために,離婚になったのにもかかわらず,養育費を支払わないといけないのか,というご質問も多いのですが,基本的には同じになります。
もっとも,このような相手方の言動に問題があって離婚になるような場合には,「離婚」そのものに対する「慰謝料」を請求することは可能です。今回のご質問のケースは,その他にどのようなやりとりがお二人の間であったかにもよりますので,不貞行為のように,直ちに相手方に「慰謝料」を請求して,認められる,と言える事案ではないかもしれません。このケースで慰謝料を請求できそうか,した場合のリスク,その後の予測される事態などについては,詳しくは,弁護士に一度相談するとよいでしょう。
養育費の「法的性質」については,「養育費とは」のページ,養育費と慰謝料を相殺できるのか,については,「過去分の養育費請求や養育費の額の変更は認められるか」のページの末尾に記載していますので,参考にして下さい。
相手方に相当の収入があり,経済的に余裕がある場合であれば,養育費を一切支払わない,ということは無理であっても,養育費の金額を適切に下げる,という交渉はできます。「養育費算定表の相場」の枠内で例えば2〜4万円が相当とされている枠であるならば,その下限の2万円で足りるはず,というような話はできるでしょう。
また,「養育費」が子どもに直接使われる実感の得られる払い方を提案する方法もあります。例えば,保育料の引落とし口座を受け持つ,子ども名義の預金通帳に養育費を入金する,などの提案をするのも一つの方法でしょう。
(婚姻費用について)
Q 私の名義の通帳から夫の国民健康保険税が毎月引き落としされていましたが,私が勝手に口座を解約しました。夫は,勝手に口座を解約したから国民健康保険税は支払えないと言います。
この場合,夫に養育費,婚姻費用は請求できるのでしょうか?
A 本格的に離婚の話合いをしたり,別居して離婚調停の申立をした場合,とてもよくあるのがこのような生活費(婚姻費用)の支払の問題です。
離婚するまでの生活費は,婚姻費用と言い,離婚後の子どもさん達の生活費のことを養育費と言います。違いは,離婚するまでは,あなたの生活費も請求できる点です。離婚後は,あなたと夫は他人となるので,生活費を請求することはできなくなり,子どもさん達の生活費である養育費だけが残ることになります。つまり,養育費と婚姻費用とを別々に請求できるのではなく,離婚前は婚姻費用の一部に養育費は含まれている関係になります。
国民健康保険税の引き落としができなくなったからと言って,夫が婚姻費用(離婚後の養育費)の支払をしない,ということはできません。したがって,あなたは婚姻費用(離婚後は養育費)を請求できることになります。
もっとも,国民健康保険税(または国民健康保険料)については,世帯毎に課税されますので,あなたと夫が同居している場合(住民票の住所が同じ)は,世帯主が夫であれば,夫に支払義務があることになりますし,別居中(住民票の住所が異なる)場合には,あなたの世帯の世帯主が納付する義務を負います。
市町村に納付しないといけないのは誰なのか,という第三者に対する問題(外部に対する問題)と,生活費を請求できるかというお二人の間での問題(内部での問題)は別に考えることになります。ただ,あなたが夫の分の国民健康保険税も支払っている場合と,夫が自分で支払う場合とでは,実際の金銭負担は違うので,婚姻費用を請求する場合は,こういった家計の費用を誰が負担しているのかも考慮して決めることになります。
(親権者となるために重要なポイント)
Q 離婚調停の手続き中です。今,私は無職ですが,その場合でも親権は取れるのでしょうか?
A 結論から言いますと,無職であっても,親権を取ることは可能です。
親権を決める重要なポイントは「子供の福祉」です。つまり,「子供にとってどちらが親権者となるのが幸せか」ということです。
親権者となろうとする人が仕事をしていて,収入があること,経済的に豊かであることも確かに「子供の幸せ」を考える要素のひとつです。
しかし,「子供の幸せ」は「経済的に豊かであること」だけでは決まりません。
「精神的な充足感」がとても重要な要素です。
そのためには,どのように自分が子供と関わることができ,子供の精神的な幸せを満たせることができるのかを調停委員に話すことが大切です。
具体的なポイントは,このページに書いてありますので,参考にして下さい。
(離婚するか,別居して婚姻費用をもらい続けるか)
Q 私はすぐに離婚をしたいわけではなく,離婚を急いでいるのは夫です。離婚は子供たちが大きくなるまでしません,婚姻費用をずっと払ってくださいと言おうかと思いますが,離婚した方がいいでしょうか?また,婚姻費用の調停もしていますが,いつ,審判にしてもらったらいいのでしょうか?審判にするデメリットはありますか?
A まずは,今回の離婚調停を通じて,達成したい「ゴール」を明確にすると良いでしょう。その視点として,多治見ききょう法律事務所では,「時間」×「お金(経済的負担)」×「心(精神的負担)」の3つの視点が重要と考えています。
今回のご質問である,離婚すべきかを考える場合,具体的には,
  1. すぐに離婚調停→ 経済的には難,かかる時間は中,精神的には離婚に進めて中
  2. ずっと別居→ 経済的には良,精神的には夫婦の義務が続くので,負担高い
  3. しばらく別居→ 経済的には当面良なので中,その後離婚手続きをすると長期化,精神的負担は中
というようなイメージで,自分の望む状態(ゴール)を考えることになると思います。

このメリット・デメリットの程度は,人により違いがあります。

  1. 離婚裁判では,離婚できない可能性があるか
  2. ご相談者自身の経済力の程度
  3. 離婚に伴う慰謝料・財産分与の支払が期待できる状況かどうか
  4. 離婚すると児童扶養手当などの福祉サービスが見込める状況かどうか
など,状況が様々であるからです。

もし,婚姻関係が破綻した理由が,夫の浮気(不貞行為),暴力(DV)などのような場合であれば,離婚裁判で夫からの離婚請求が認められにくいことになりますので,婚姻費用を支払い続けてもらう,というのも一つの方法かも知れません。あとは,精神的負担などを考えて, 「ゴール」を明確にしましょう。
(「3つの視点の詳しい説明」については,このページに詳しく書きましたので,参考にして下さい。)

自分が最も望む効果,複数の望みがあるときはその「バランス」などを考え,自分にとってよいと思うゴールを選ぶことになります。

婚姻費用の分担の調停から,審判に移行するタイミングは,ひと言で言うと,話合いでは婚姻費用(離婚までの生活費)の金額が決まらないとはっきりした時点です。つまり,夫が一切婚姻費用を支払わない,もしくは,支払うと言っているけれど,その金額の差がひらいているような場合です。審判にした場合のデメリット(注意点)としては,審判では,裁判所の裁判官が,原則として婚姻費用算定表の基準に基づいて決めてしまうということです。もし,自分が望んでいる婚姻費用の金額が,裁判官によって認められる可能性が低い場合,夫が現在提示している婚姻費用の金額で調停による合意をした方がいいかもしれません。審判になったら,どのような結果となる可能性があるか,「見込み」を考えながら,審判に移行してもらうかどうかを考えましょう。また,審判で裁判所に決められるよりも,調停による合意によって自分で了解した婚姻費用の金額(調停による合意金額)の方が,強制執行などをしなくとも,支払ってくれる可能性が高いです。このようなことも考えて,審判にするかどうかを決めると良いと思います。

離婚すべきか,別居のまま婚姻費用をもらい続けるか,婚姻費用の審判に移ってもよいか,など判断に迷う場合は,弁護士に相談すると良いでしょう。
(長期別居中の夫に財産を持っていかれるのか)
Q 子供を3人産み2人は大学を卒業し社会人です。残念ながら3人目の子供は幼くして亡くなりました。夫は気が短く,反論すると平手で殴ることがしばしばありました。別居を決意したのは娘が亡くなったのを,お前のせいとの暴言を言われ,精神的に参ったからです。今から15年前に,別居し,家庭裁判所で調停を行いましたが不成立に終わりました。夫はあまり働いてくれず,家計はいつも苦しい状況で,私が働いて生活してきました。別居後も,夫からは生活費をもらわず,一人で子供たちを育ててきました。
最近になって,離婚しないと私の財産を夫に持っていかれるかもしれない,老後の夫の面倒を看なければいけないかもしれないとの話をききましたが,どうなのでしょうか?
そのため,最近,再度話をしましたが,離婚に応じてくれません。
このような状況の場合,どうしたらいいでしょうか?
A  この場合,別居後に得た収入,財産は夫婦の協力によって得た物ではないので,離婚する場合に財産分与の対象とならないのが原則です。つまり,離婚時に分ける財産にはなりません。しかし,15年前の別居当時にはどれだけ財産があったのか,区別できるようにしておく必要があります。
夫の看護については,民法上,「夫婦は同居し,互いに協力し扶助しなければならない。」とされているので,夫が入院したり,生活保護の申請をするような場合には,法的には看護や,生活費の援助をする必要が出てきます。あなたに,無理矢理,夫の看護させることはできませんが,「法的な」義務を負っている状態ではあるので,金銭負担を請求される可能性があります。万一,あなたが亡くなれば,夫は相続人としてあなたの遺産を相続する権利もあります。その意味で,あなたの財産を渡したくないのであれば,離婚手続きを進めた方がいいでしょう。
手続きは,まず,離婚調停を行うことになります。到底話合いでの解決は難しいと思われるでしょうが,法律上,離婚手続きでは,裁判の前に調停をすることになっています(調停前置主義)。以前に離婚調停をしているということですが,15年も前のため,大きく事情も変更していることから,再度調停をしなければ,裁判をすることは難しいでしょう。形式的になるかも知れませんが,まずは,早急に離婚の調停申立をしましょう。そして,調停でやはり,話合いによる解決ができない場合には,早めに不成立にしてもらい,裁判手続きに進むのが良いでしょう。もしかしたら,不成立になったら,裁判に進む意思を明確に告げることで,離婚調停での話合いが進んでいくかも知れません。
私が代理人となった事案では,別居後40年以上経ってから離婚調停をしたけれど,合意ができず,裁判になったものもあります。裁判になる場合には,専門的知識が必須となりますので,弁護士に依頼すべきだと思います。
(事情説明書の「裁判所に要望があれば記入して下さい」の書き方)
Q 離婚調停を申し立てるときに,裁判所から「調停申立書」の他に,「事情説明書」を出すように言われました。末尾に「裁判所に要望があれば記入して下さい」とありますが,どんなことを書いたらいいでしょうか?
A  この場合の要望は,主に調停手続きの進め方に対する要望を書きましょう。養育費を○○円もらえるようにしてほしい,という「調停の中身」ではなく,「手続き」に関するものです。
例えば,現在は原則として,初回の離婚調停では,相手方と同席して,調停手続きについて説明を受けることになっていますが,顔を見るだけでもパニックになってしまう,というような場合には,夫(または妻)と同席での調停の説明は避けてほしいこと,その理由などを書くと良いでしょう。相手から暴力(DV)があって,住所を隠している場合などには,裁判所に相手と顔を合わせたくないので,呼び出す時間や帰る時間をずらしてほしい,待合室を分からないところに確保してほしい,などの要望を伝えることもできます。
子供さんのことについては,「中身」に関する内容が「手続き」に関係するので,これを書くことも可能です。子供さんととしばらく会っていないので,今の状態が心配な場合など,裁判所の調査官の調査を希望したい,早期に面会を希望したい,など裁判所に伝えておくことで,離婚調停に調査官が立ち会うべきかどうか,裁判所も検討することになります。
以前は,「調停申立書」を相手方にそのまま送付することはなかったので,「申立書」に詳しく事情を書くという方法で,調停委員に事前に分かっておいてもらいたいことを伝えることができました。
しかし,今は,「調停申立書」はそのまま相手方に送られるので,詳しく書いて相手方の感情を悪化させると,調停での話合いがうまくいかなくなってしまうこともあります。また,相手方には知られたくない,けれど,裁判所(調停委員)には知っておいて欲しいこともあるでしょう。「付属書類」として出す「事情説明書」では,「調停申立書」にかきづらいことを書いておくという役目もあります。大阪の家庭裁判所の書式をみると,以前は「申立書」に書いていたことを「事情説明書」で書いてもらっている印象です。
ただ,「事情説明書」であっても,相手方から申請があると「見せます」とされていたり,「裁判所の許可」があれば見せます,とされている場合など裁判所によっても取扱いが違います。どのような場合に相手方が見る可能性があるのか,絶対に見せたくない場合には,提出する裁判所に事前に問い合わせをして,どこまで詳しく書くか,考えて書くのが良いと思います。
離婚調停(夫婦関係調整調停)の申立書,付属書類の書き方,注意点は,記事「失敗しない離婚調停申立書・付属書類の書き方」にも書いてありますので,参考にしてください。
(元妻が働けるのに働かないときの養育費)
Q 妻が働けるのに働かない(常に働いてほしいと言っていたけれども,勤労意欲が以前から無かった)。夫である私に借金があり算定表の額を支払うと,更なる借金を重ねなければ支払いが困難な場合など,養育費の金額を下げてもらえるのでしょうか?
A  養育費の金額は,現在「養育費算定表」を基に計算されることが一般的です(養育費算定表の詳しい使い方については,記事「養育費相場の計算方法〜養育費算定表の使い方〜」をご覧ください)。
この「養育費算定表」の使い方について,大阪家庭裁判所の解説があります。
その資料のQ&Aによれば,「働けるのに働いていない場合,収入を0とするのは相当とは言えません。そこで,収入を推計して算出することになります」とされています。具体的には,定職に就いていた経験がある場合には,定職に就いた場合の平均的収入,すぐに定職に就くことができそうにない場合は,パートタイム労働者の性別・年齢別年間収入により収入を推計することが考えられる,とされています。
おたずねの場合でも,子どもさんが乳児・病気等で働けない場合などではなく,働けるのに働かない,と言える場合には,妻にも推定収入があることを前提に養育費算定表に当てはめることで,養育費の金額を下げられる可能性があります。
一方,借金については,同じQ&Aの中で,「一般的に負債が養育費の支払いに優先することは考えにく」いとされており,原則としては特別な事情として考慮されません。負債は,負の財産を分ける「財産分与」として考えることになります。(支払えない場合には,破産等も検討することになります。)例外的に,財産分与として借金の負担を決めずに離婚した後,養育費を請求された場合には,一部考慮することが考えられています。
無収入の場合や借金がある場合についての「養育費算定表」の使い方については,記事「収入変動大・無収入・借金あるときの養育費算定表の年収計算」にも書きましたので,あわせて確認してみてください。また,負債の中でも「住宅ローン」の負担をしている場合については,特別な計算となるので,記事「住宅ローン・家賃の支払を受けている場合の養育費の計算方法」に記載しています。
(大学卒業までの養育費)
Q 夫は,養育費を子供が成人するまで支払う,とは言ってくれるのですが,子供が大学に行く場合には,大学を卒業するまで支払ってほしいと思っています。どうしたら,調停で「大学を卒業するまで」にしてもらえますか?
A 調停は,話合いで決める手続きなので,夫が「大学卒業するまで」支払うことに納得してくれないと,調停で合意することができません。そのため,調停委員から説得してもらうことになりますが,現在の裁判所の運用では,養育費の支払終期について,一般的には成人までとされています(以前は,18歳までというものも多かったです)から,調停委員もなかなか説得する根拠が乏しいところになります。もっとも,これまでの裁判所の判断(判決・審判例)をみると,「大学進学が当然・相当」と言える状況にある場合は,例外的に養育費支払の終期を大学卒業までとされているものがあります。
その判断基準は,以下のようなことです。
  1. 両親等の学歴両親,兄弟その他の親戚の多くが大学に進学している……認められやすい
  2. 子供の進学希望・両親の進学への意向
    子供が大学を進学したいと思っており,両親も賛成……認められやすい
  3. 両親の経済力
    両親の収入,保有資産からすると,大学進学の費用を負担をする余裕がある……認められやすい
  4. 父母の資格を活かした家業を継ぐ必要性
    両親の家業が医師・弁護士などの資格が必要なものであり,子供も,その事業を承継するために学んでいる……認められやすい
そのため,相手方が成人までしか支払わない,と言われている場合には,上の1〜4の条件にあてはめて,自分の事例が,子供が大学進学するのが当然です,と調停委員から説得してもらうことになります。
しかし,裁判例の中で,実際に,大学進学をしていない段階で大学卒業までの養育費を認めた事例は多くはありません。両親ともに,子供の大学進学を強く希望しているような例外的な場合になります。他に20歳以降も認められた事例のほとんどは,実際に子供が大学に進学した後に請求されているものです。
そのため,子供さんがまだ高校生以下であり,どうしても,夫が成人するまでしか養育費を支払わない,と言われた場合には,一旦,離婚調停の場では支払い終期を延ばすことは諦めて,子供さんの大学進学が決まってから(合格発表があってから),改めて,養育費の支払い延長の申立をする方向を考えるのがいいと思います。
なお,子供さんが成人してから請求する場合には,子供さんご自身から,父親への「扶養料の請求」という形になります。
この場合も,上の1〜4にあてはまるかどうかがポイントとなります。片方の親が大学進学に賛成し,もう片方の親は反対していた場合には,認められていない事案もありますので,どこの大学に進学したのかも言わないけれど,突然養育費の延長だけを求める,ということではなく,養育費を継続的に支払ってもらいたい場合には,それまでの間に,どこの大学に行きたいのか,なぜ行きたいのか,など普段から両親や子供も交えて進学について話あう関係をつなげていくことも大切になります。
調停条項を作成する場合の注意事項としては,「成人に達する日の属する月まで」や「成年に達する日の属する月まで」とする条項も以前は多かったのですが,今後は「20歳に達する日の属する月まで」としておくことがいいでしょう。なぜかというと,今後は「成人」「成年」が20歳ではなく,18歳に変更される可能性があり,後に争いとなる余地が残るからです。
(養育費の支払終期の変更)
Q  養育費を18歳まで支払う,と離婚調停で合意したのですが,その後,子供が大学に行くことになりました。養育費の支払いを延長してもらうように言われて,驚いています。引き続き,支払わないといけないですか?どのような調停条項にしておけば良かったのでしょうか?
A 支払わないといけなくなる場合があります。例えば,18歳で高校を卒業した場合には,就職するはずであると考えて合意していたような場合で,その後大学に進学するという「事情変更」によって引き続き「扶養」が必要な状態になったと言えれば,養育費の支払を延長すべきことになります。
もっとも,相手方の不貞行為による離婚の場合に,相手方に慰謝料の支払いを求めない代わりに,18歳以降に子供さんが就職しなかったとしても,その後の養育費は「一切支払わない合意」をしたのであれば,状況は違います。裁判所は当事者での合意を重視しますので,原則として支払わなくて良いことになります。他にも,夫婦間の借金をこちらが背負う代わりに,そのような合意をした,と言える場合もあるでしょう。
この場合,調停条項で明確に定めておかないと,原則としては「事情変更」として延長が認められる余地があることになると思われます。
そのため,「18歳以降は一切支払わない」という合意をしたのであれば,調停条項に「本件は相手方の不貞行為による離婚であるため,子が18歳に達した場合は,その後,就職しているか否か,その生活状況を問わず,相手方が子の生活費の一切を負担するものとし,養育費の請求をしないものとする」などと定めておくと良いと思います。
ただし,この場合であっても,大人である両親の事情によって,子供さんの生活が困窮するのは不憫です。「養育費」は,子供のための権利なので,このように子供が生活に困窮するような場合には,子供さんからの請求によって,養育費の支払いの延長・変更が認められることもあります。
(面会交流の回数)
Q 子供との面会交流は,月何回,認められることが多いですか?
A 離婚調停で合意して決めているケースが多いと思われるので,裁判所(裁判官)が面会交流の回数を決める場合のデータとは言えないのですが,家庭裁判所の統計データによれば,月1回以上と決められることが多いようです。平成25年と平成26年データを比較すると,平成27年では月2回以上と決めた場合の割合が少し増加しています。
私自身が関わった案件でも,裁判所の審判で月2回の面会交流が認められていた事案がありました。以前は,月1回程度しか認められないことが多いと説明していましたが,今は面会交流の意義が重要視されてきているので,今後は場合によっては,月2回以上の面会交流が認められるケースも出てくるかもしれません。
お子さんの年齢によっても,認められる回数は違いがあります。幼少の頃は,半数以上が月1回以上の面会を認めていますが,年齢が高くなるにつれ,次第にその割合が低くなっています。お子さんが大きくなると,お子さん自身の面会への希望も重視され,お子さんの予定も増えるので,面会交流の時間を調整するのが難しくなるからだと思います。10歳程度以降は,月1回以上の面会を認めている割合が半数を切っているようですので,2〜3ヶ月に1度程度の面会しか認められないケースもあり得ます。
おおまかな目安は,以上の通りですが,基本的な考え方は,親がどれだけ会いたいか,会わせたくないか,ということよりも,どのような面会方法・面会回数がお子さん自身にとって良いのか,「子の福祉」に資するのか,を重視することになります。お子さんの年齢,お子さんの意向,住んでいる場所の遠近など,面会交流の必要性・実現可能性を考えて,裁判所がどのような回数の面会を認めそうか,個別に検討することになるでしょう。

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この記事を書いた弁護士

執筆者木下貴子

木下貴子

多治見ききょう法律事務所所長

岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり17年目。
離婚事件を中心的に取り扱い,これまでに受けた離婚のご相談件数は800件を超えます。ご相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーに対応しています。
離婚・夫婦に関する講演の講師も務めています。

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多治見ききょう法律事務所

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