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離婚したい人が離婚調停をすべきタイミング

これさえ読めば離婚調停が自分でできる「裁判所HPより詳しい離婚調停解説」連載の第2回。
テーマは「離婚したい人が離婚調停をすべきタイミング」です。

  • 離婚したいけれど,相手が同意してくれないが,離婚してもらうにはどうしたらいいですか?
  • 離婚の話し合いをしたが,こちらが求めた養育費,慰謝料の金額について払えない,と言われてしまいましたが,どうしたらいいですか?

というご質問をよくお受けします。

……こんなとき,利用するのが「離婚調停」です。

離婚調停利用の考慮要素

調停前置主義

「離婚したい」と思ったとき,まず最初に夫婦で話し合いをします。話し合いで離婚の条件を決めて離婚をするのが協議離婚です。
夫婦の話し合いで決まらない場合,裁判所に,離婚する(離婚させる)かどうか,離婚するなら養育費,慰謝料などはどうするか,ということを判断して決めてもらいます。これが,裁判離婚(訴訟離婚)です。
ところが,夫婦の話し合い(協議)で離婚を決められない場合でも,いきなり,裁判所に離婚裁判(離婚訴訟)の訴えをすることは認められていません。
裁判をする前に,裁判所で調停手続を踏まなければいけないことが法律上決められています。
離婚裁判(離婚訴訟)の前に離婚調停をしなければならない,という調停前置主義です。
別の言い方をすれば,離婚調停をしておけば離婚裁判(離婚訴訟)ができるということであり,その点をふまえて,離婚調停のタイミングを考えることになります。

話し合いの方法の違い

離婚調停前の夫婦間の協議も,離婚調停も,話し合いです。離婚したいという希望について,相手を強制してまで実現することはできません。
しかし,同じ話し合いであっても,離婚調停では,中立な第三者である裁判所の裁判官・調停委員に,間に入ってもらうことができます。場所も裁判所です。権威ある人が間に入り,権威ある場所で話し合うことになります。
他方,離婚調停では,裁判所の日程に合わせなければならず,話し合いの回数,時間が思い通りになりません。また,良くも悪くも「相場」から離れた要求が通りにくくなります。
離婚したいという希望を実現する話し合いの方法として,離婚調停の方が望ましい状況と判断できるときが,離婚調停のタイミングになります。

話し合いの結果の拘束力の強弱

離婚調停で合意ができると裁判所がその内容を記載した「調停調書」を作成してくれます。
この「調停調書」には,判決と同じ効力があり,合意した金額を支払ってくれない場合に,給料を差し押さえて取り立てることもできることになります(裁判所外で作成する離婚協議書の場合,公正証書で作成しない限り,差し押さえをするためには,改めて調停,裁判などを経ることが必要となります) 。
離婚調停で決めた合意を守ってくれない(養育費を支払わない,子どもに面会させてくれない)場合,裁判所が間に入って相手方に連絡をしてくれる「履行勧告」を利用することもできます。
こうした拘束力の強弱も,離婚調停を行うか否かを判断するときの考慮要素となります。

離婚調停をお勧めするとき

では,離婚したい人が離婚調停をするタイミングは,具体的にはいつでしょうか?
私は,大きく分けて以下の3つのような場合に,離婚調停を始めることをお勧めしています

(1)直接話合いができない

  • 感情的になって,お互い条件などの話し合いができる状態にならない。
  • 相手方が口がたつので,直接話をすると言いたいことも言えなくなってしまう。
  • 暴言,暴力的傾向があるので,直接話をすることが怖い。
  • 相手方が父,母,兄弟などを窓口にして話合いをしようとするので,直接本人と話せない。
  • 離婚したいこと,条件を伝えているが,返事がない。
  • あるときは,この条件でいい,と言ったのに後にすぐ変わる,言っていることが毎回変わってしまう。相手のことが信用できない。

離婚調停であれば,原則として当事者本人または,代理人である弁護士しか調停室に入って,調停委員に話をすることはできません。調停委員に話をし,調停委員から相手方に話をしてもらえるので,直接相手方に話をしなくてもよくなります。
また,離婚調停で一度合意すれば,その場で離婚成立となり,後にやっぱりやめる,等と言うこともできなくなります。

(2)話合いを何度かしたが,離婚したくない,と言われている

  • 子供がいるから,離婚するのは良くない,と言われている。
  • まだ,ゆっくり話せばやり直しができる,自分も変わる,などと言われている。
  • 一度は離婚しても良い,家を出て行け,などと言われたのに,今はやり直すべきだ,と言われている。

こちらの「離婚したい」という意思が固く,相手方に2〜3回話をしても相手方の「離婚したくない」という意思が変わらない場合,協議からステップアップして,離婚調停を開始すべきです。
調停,訴訟(裁判)をして離婚をすることになると,調停の開始が遅くなれば,結果として離婚が成立する時期も遅くなってしまいます。

(3)離婚の条件が合わない

  • 養育費の額,財産分与の金額でこちらが欲しいと思う金額はとても支払えない,年金分割は絶対しない,と言われている。
  • 浮気(不貞行為)の証拠はあるが,相手方は浮気を認めておらず,慰謝料を支払う必要はない,と言っている。
  • お互いに,子どもの親権を絶対譲れない,と言っている。
  • 子どもに毎週会いたい,と言われるがそんなに会わせることはできない(面会交流)。

この場合,訴訟(裁判)となったら実際に離婚が認められる事案なのかどうか,その場合の条件(親権者,養育費,財産分与,慰謝料の金額,年金分割の可否,面会交流の頻度など)はどうなりそうか,によって,離婚調停に進んだ方が良いか考える必要があります。
例えば,養育費をこちらは月7万円を希望,相手方は5万円なら支払える,と言っている場合,訴訟(裁判)で認められる基準がおおよそ月4万円であれば,離婚調停にせず,こちらが譲って月5万円で協議離婚した方が良いこともあります。
また,こちらが浮気(不貞行為)して離婚したい場合などのように,裁判では離婚が認められにくい事案もあります。このような場合も,条件は離婚したい方が譲らなければならないことも出てきます。
調停,離婚(裁判)と手続きを進めれば,離婚までに1年〜2年程度かかることもあり,精神的負担,弁護士費用などの金銭的負担も大きくなります。
したがって,離婚条件が合わずに離婚調停を考える場合には,事前に弁護士に相談し,今後の見込みを聞くことをお勧めします。

離婚したい人は離婚調停前に別居した方がよいか?

「離婚調停をする場合,先に別居しておいた方がいいですか?」
というご質問がよくありますので,この点をお話ししておきます。

答えとしては,別居しないといけないわけではありません(実際に同居しながら離婚調停をしている事例もあります)。しかし,裁判所で離婚調停をしながら,家に帰れば顔を合わせる,という状況は気まずいものであり,別居される方が多いです,とお話ししています。

別居については,別居したときの状況が親権者をどちらにするか?という判断に大きい影響を与えるものもあります。
また,何を持って行っていいのか,離婚までの間の生活費(婚姻費用)をどうしたらいいのか,など別居前にやっておくべき点,注意しなければならない点もあります。
この点については,状況に応じた判断が必要となりますので,別居をしようかな?と考えたら,その前に一度弁護士に相談することをお勧めします。

離婚はしたくないけれど,夫が財産を愛人にわたしてしまう,愛人名義にしてしまうのが心配な方へ

離婚を希望していないのであれば,離婚調停をこちらから申し立てることにはなりませんが,夫名義の財産を保全する手続きもあります。
自分で行うのは,大変困難な手続きになりますので,弁護士にご相談下さい。

離婚調停のタイミング Q&A

(離婚調停は,申立た方が不利なのか,有利なのか)
Q 調停は,先に申立てした方が有利になるのですか?それとも,不利になるのですか?
A この質問は,よくされる質問で,こちらから離婚を切り出すと,不利になりますか?とも聞かれます。結論から言いますと,どちらも「有利」「不利」はありません。なので,あなたが離婚したいと思うのであれば,離婚したいと切り出すことや,2人の話合いで難しい場合には,離婚調停を申し立てることを控える必要はありません。もっとも,こちらが積極的には離婚を望んでいない場合,つまり離婚の条件が納得できれば離婚してもいいけれど,そうでなければ離婚したくない,という場合には,こちらから「離婚してもいい」と言わないという方法はあります。「離婚を切り出す側」「離婚調停を申立てる側」は,通常,自分の方が「離婚したい」という意志が強いので,早期に離婚をするために譲歩すべき場面が生じます。この部分をみて,調停を申立てる側が不利,離婚を切り出す側が不利と言われることがあります。反対に,離婚調停を申立てる側が「有利」と言われる場合は,どんな場合でしょうか? ひと言でいうと,「離婚調停の準備ができている」場合です。離婚調停を「申立てられる側」に対して,「申立てる側」というのは,それまでに,悩み,色々な情報を探し,学び,準備をして,離婚調停に臨むことが多い,ということが言えます。 何も,準備をしていない状況で離婚調停が始まってしまうこともある「申立てられる側」と比べると,その意味で,「有利」にすすめられる,と言えることもあるでしょう。しかし,これらの「有利」「不利」は,離婚調停を申立てる側だから,当然に有利,申立てられる側だから,同然に「不利」ということにはなりません。これらの点は,「離婚調停の事前準備」と「調停開始後の話し方」で変わります。どの点を譲歩するのが賢い選択なのかを理解して直ちに「準備」すること,それを踏まえて,調停委員にも「なるほど」と思ってもらえるような説得的な「話し方」をすることです。どちらか先に申立をするかよりも,どれだけ準備して臨めるか,説得的に話せるか,ということを意識して臨むのがいいと思います。
(弁護士 木下貴子)

動画解説

弁護士木下貴子が,このページ「離婚したい人が離婚調停をすべきタイミング」をYouTubeでお伝えしています。

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この記事を書いた弁護士

著者木下貴子

弁護士 木下貴子

多治見ききょう法律事務所所長

岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり25年目。
離婚事件を中心的に取り扱い,これまでに受けた離婚のご相談件数は1000件を超えます。ご相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーに対応しています。
離婚・夫婦に関する講演の講師も務めています。
著書の「離婚調停は話し方で変わる」(ききょう出版)はAmazonランキング法律部門第1位を獲得しました。

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