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最終更新日:2020年3月21日
裁判所の調停・審判では,「養育費算定表」に年収をあてはめて,簡易に養育費・婚姻費用が算定されています。
したがって,「養育費算定表」で算定した結果が,養育費の「相場」ということになります。
「養育費算定表」(令和元年12月に改定されました)は,ウェブで簡単に手に入ります。
このページでは,次の順序で養育費算定表の解説をします。
平成15年に東京家庭裁判所,大阪家庭裁判所の裁判官が,簡易に養育費や婚姻費用を計算する方式を考案しました。
裁判所は,平成30年度にその見直しに向けた研究を行い,令和元年12月に研究成果を改定方式として発表しました。
その方式により計算した結果の早見表が「養育費・婚姻費用算定表」です。養育費の部分を「養育費算定表」と呼んでいます。平成15年版と令和元年版を区別するときには,令和元年版を「改定養育費算定表」と呼びます。
現在は,全国のどの家庭裁判所でも,この「改定養育費算定表」が用いられています。
例えば,父親と母親の子供が1人で,0〜14歳の場合の算定表は,次のようなものになっています。
平成15年の「養育費・婚姻費用算定表」は,裁判官が作ったものです。
これに対し,日弁連(日本弁護士連合会)が,平成28年11月に,裁判所の「養育費・婚姻費用算定表」の問題点を修正するものとして,新しい方式による養育費・婚姻費用算定表を発表しました。
これが「新養育費算定表」と呼ばれていますが,裁判所の「(改定)養育費算定表」とは作成者が異なります。
改定養育費算定表が発表される前も,「新養育費算定表」が裁判所で用いられるようにはなっていませんでした。
令和元年12月23日に裁判所が発表した改定養育費算定表では,その作成にあたり,日弁連が指摘した問題点についても検討済みです。今後も,裁判所が,「新養育費算定表」に当てはめて計算をすることはないでしょう。
日弁連の算定表について詳しくは,別記事「日弁連の新養育費算定表とは〜裁判所の算定表との違いを解説」(注:改定前の裁判所の養育費算定表との比較になります)をご覧ください。
養育費算定表は,
という前提条件を満たさないと,そのままでは使えません。
この条件を満たさないときには,別の方法で,養育費を計算していくことになります。
養育費算定表により養育費を算定するには,まず,複数ある算定表の中から,使う表を,正しく選びます。
表の中には,「婚姻費用」の表と「養育費」の表がありますので,離婚後の子供(あるいは婚外子)の養育費を確認する場合は,「養育費」の表を選びます。
また,子供の人数,子供の年齢(0〜14歳か,15歳以上か)により,算定表が異なりますので,子供の人数,年齢に合った表を選びます。
養育費算定表は,縦軸が「義務者の年収」,横軸が「権利者の年収」となっています。
「義務者」というのは,養育費を支払う義務のある側の親です。子供を育てていない側の親です。
「権利者」というのは,養育費をもらう権利のある側の親です。子供を育てている側の親です。
「義務者」(子供を育てていない側の親)の年収から横にたどり,「権利者」(子供を育てている側の親)の年収から上にたどって,交わったところが養育費の額になります。
給与収入の場合は,「給与」の軸を使い,税引前の額をあてはめます。源泉徴収票でいえば,「支払金額」欄の数字になります。
自営業の事業所得の場合は,「自営」の軸を使い,確定申告書の「課税される所得金額」に実際に支出されていない費用(例えば,基礎控除,青色申告特別控除,支払がされていない専従者給与など)を加算した額をあてはめると説明されています(詳しくは,別記事「養育費算定表に用いる自営業者の年収の計算方法」をご覧ください)。
なお,自営業者は必要経費と社会保険料を差し引いた後の額,給与所得者は必要経費と社会保険料を差し引かない額を用いるため,給与年収の額と自営年収の額に違いが生じています。
たとえば,母親が子供を育てていて,父親の給与年収が325万円,母親の給与年収が150万円の場合は,次の図のようになります。
父親(義務者)の給与年収325万円から横にたどり,母親(権利者)の給与年収150万円から上にたどると,「2〜4万円」のところにあてはまります。
1か月の養育費の額を算定表にあてめると,2〜4万円という結果が得られたことになります。
具体的な額を決めるときには,表にあてはめたときに,2〜4万円の枠の中でも中央あたりに位置していることがわかりますので,特別の事情がない限り,2〜4万円の中央の金額である3万円前後で合意することになります。
このような単純な養育費算定表へのあてはめでは養育費を計算できない場合について,「養育費算定表では分からない養育費の計算方法」を連載記事で書きました。
多治見ききょう法律事務所では,裁判所の養育費算定表を分析して,数字入りのオリジナル養育費算定表(非公表)を作成しました。
多治見ききょう法律事務所では,数字入りのオリジナル算定表も用いて,きめ細かなアドバイスをしています。
次の2つの算定表を見比べてください。特に,オレンジ色と黄緑色のマスを比べてみてください。裁判所の養育費算定表で同じように見えても,4800円ほどの違いがあることがわかります。
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