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再婚した場合や連れ子がいた場合の養育費計算方法

最終更新日:2022年9月27日

こんなとき,どう計算するの?「養育費算定表では分からない養育費の計算方法」シリーズ第5回

現在,裁判所の調停・審判では,「養育費算定表」に年収をあてはめて,簡易に養育費が算定されています。

養育費算定表」は,ウェブで簡単に手に入るのですが,実際の事例では,養育費算定表を見ても,どのように計算したらいいのか分からない場合があります。

このような場合にヒントとなる考え方を連載してお伝えしています。

第5回のテーマは,「再婚した場合,連れ子がいた場合など,養育費の当事者間の子以外に子供,配偶者など扶養しなければいけない人がいる場合の計算方法」です。

  • 前々妻との子にも養育費を支払っている場合はどう計算するの?
  • 認知した子供がいる場合は,どう計算するの?
  • 子を連れて結婚した後に離婚した場合は,どう計算するの?
  • 離婚後再婚した場合には,養育費は支払わないといけないの?

義務者(請求される側)に別の家庭の子がある場合

義務者(請求される側,妻側が子供を養育している場合は元夫)が再婚していなくても,

  • 離婚した夫が再婚だったため,前の妻との間にも子がいる
  • 離婚した夫に認知している子がいる

というような場合,養育費算定表が使えません。この場合,算定表の基礎となっている考え方に立ち戻って,計算することになりますが,難しいので,ここでは目安を見つける考え方を説明します。

例えば,2回離婚した男性(年収1700万円)が,1回目の結婚の妻との間で14歳以下の子供が1人,2回目の結婚の妻(120万円)との間の14歳以下の子供が2人で,いずれも妻側が子供を養育している場合を考えましょう。

再婚の例1

(1)まず,算定表で権利者の収入をゼロとして,子供全員分の養育費額を見る

義務者(養育費を払う側)の年収1700万円,権利者(養育費を請求する側)の年収0円の場合,「養育費子3人表(第1子,第2子及び第3子0〜14歳)」の算定表で見ると,養育費の額は,月34万円〜36万円となります。
1人あたりの養育費は,(34万円〜36万円)÷3人≒11万円〜12万円となります。

(2)次に,義務者の収入と権利者の収入で按分する

この場合に,2人目の妻に120万円の年収がある場合の,2人目の妻との間の子供の養育費のおよその目安としては,1人あたり,
1700/(2人の収入合計120+1700)×(11〜12万円)≒103,000〜112,000円

2人分で,206,000円〜224,000円

*実際には,年収が高いほど税率が高い(生活費に充てられる割合が低い)ことを考慮して算定されることになります。厳密に計算した場合の計算結果は,異なることになります。

他の子供の養育費の支払い状況は考慮しない

実際に1人目の妻の子に養育費が支払われているのかどうか,その金額がいくらかといったことに関係なく算定されるのが一般的です。
それぞれの関係で,適正な額で合意して,支払うべきだからです。
もっとも,1人目の妻の子に,多額の医療費がかかる病気・障害があるような特殊な場合は,考慮されることになると思われます。
義務者に認知している子がいる場合も,前妻との間の子がいる場合と同様に考えます。

権利者(請求する側)に別の家庭の子がある場合

養育費を請求する側について

  • 再婚だったため,1回目の結婚による子供もいる
  • 他の子供を認知している

といった事情があるときも,養育費算定表をそのままあてはめることができません。
この場合にも,養育費算定表の基になった考え方に遡って最初から計算することができますが,養育費算定表と生活費指数を使いながら計算する簡易な方法を紹介します。

1回目の結婚の夫との間の14歳未満の子供1人,2回目の結婚の夫(年収1700万円)との間の14歳未満の子供2人で,権利者(年収100万円)が子供を養育している場合を考えてみます。

再婚の例2

(1)まず,権利者の他の子供分の生活費を差し引いて年収とする

権利者に他に子供がいないのであれば,「養育費子2人表(第1子及び第2子0〜14歳)」の算定表で100万円と1700万円の交差するところを確認すれば良いのですが,算定表の額は,権利者が2人分の子供の生活費を適正に負担することを想定しています。権利者は,3人分の子供の生活費を分担しなければならないことになるこの事例で,そのままの額を用いると,生活レベルを不当に下げてしまうことになります。

養育費算定表では,大人の必要とする生活費を100とした場合に子の生活費の割合(指数)がどうなるのかを考えて,算定されています。
子の標準的な生活費の指数(以下「子の指数」という)は,親を100とした場合,年齢0歳から14歳までの子については62,年齢15歳以上の子については85とされています。

この事例の場合,
14歳未満の子供3人分 62×3=186
権利者本人分 100
合計 286
に,権利者が得ている収入100万円を充てていることになります。
このうち,義務者とは関係の無い1回目の結婚による子供分は,
100万円×62÷286≒22万円
です。

年収を家族に配分する図

(2)その後,義務者との間の子供のみの場合の額を算定表で見る

2回目の結婚の夫(義務者)に養育費を請求する場合,2人の間の子供は2人なので,14歳未満の子供が2人いる場合の算定表を見ることになります。
権利者78万円と義務者1700万円,「養育費子2人表(第1子及び第2子0〜14歳)」の算定表で交差するところを見ると,月26〜28万円となっています。
この額が,目安になります。

再婚した場合

権利者(請求する側)が再婚した場合

再婚しただけでは免除・減額にならない

権利者が再婚しただけでは,原則として養育費の支払い義務,金額に変更はありません。義務者(多くは父)は,親であり,扶養義務があることは変わらないからです。

養子縁組がなされた場合

再婚相手と養子縁組

しかし,権利者が再婚した上で,その再婚相手と子供が養子縁組をした場合には,結果が異なります。
養父となった再婚相手が,今度は第一次的な扶養義務者になるためです。そのため,この場合には,これまで養育費を支払っていた実親(父)も,養子縁組は養育費の支払いをしない,と言えるのが原則となります。
調停などで養育費を合意していた場合に,給与の差し押さえなどの可能性がある場合には,義務者の側から,今後は養育費を支払わなくてよい旨の確認をするため,裁判所に申立をすることになります。

義務者(請求される側)が再婚した場合

養育費義務者の再婚

義務者が再婚した場合,義務者には,配偶者を扶養する義務が生じます。配偶者の収入が少ない場合には,義務者の収入は配偶者の生活費にも充てなければなりません。
その再婚相手の配偶者の生活費指数は公表されていません。令和元年の養育費算定表改定前は,統計表を基に計算すると約53のところ,0〜14歳の子の指数だった55に近いことから55として計算されることが多いのが実情でした。令和元年の養育費算定表改定に用いられた統計資料を基に指数を計算すると約59になりますが,やはり0〜14歳の子の指数62に近いことから,62として計算するのが適切でしょう。
また,再婚後に再婚相手の妻との間に子供が生まれた場合には,扶養しなければならない者が明らかに増えますので,原則として養育費の減額を請求することができます。

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