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養育費を支払おうという気持ちにさせる方法

なぜ養育費を支払いたくないのか?

実際に養育費を支払っていない親から,その理由をインタビューした結果を記載した本「養育費実態調査 払わない親の本音」(NPO法人Wink編・日本加除出版)があります。
その中で,実際に養育費を支払わない理由として,子どもと会えていないこと,つまり「面会交流」ができていないことを述べている事例があります。

  • 「4年間,毎月遅れること無く振り込んできた。でも,もう4年以上娘に会っていない。」
  • 「娘とは血のつながりがあり,親子に間違いは無いが,実感はない。」

……もう,ギブアップです,という内容のお話もありました。

このように,面会交流をさせてもらえないことが,養育費を支払い続けるための意欲の低下につながっている事例は多いと思います。

私(弁護士木下)が関わった事案でも,

  • 「会わせてくれないのに,なんで養育費だけ支払わないといけないんですか?」
  • 「会わないから養育費も支払わなくていいですよね?」

と言われることが多いです。

つまり,子どもと会えないのに,その養育費だけを支払う,ということに納得できない感情を持つことが多いと思います。

養育費の支払と面会交流の関係

研究調査結果からわかること

「親子の面会交流を実現するための制度等に関する調査研究報告書」(PDF)(研究代表早稲田大学棚村政行教授・平成23年)の調査結果(研究報告書が読みづらい方は,こちらの表(PDF)をご覧ください)により,面会交流と養育費の支払いの実現性には,相関性があること,つまり,面会交流をしている場合の方が養育費の支払いが確保されている割合が高いこと,同様に,養育費の支払いをしている方が,面会交流の実現性が高いことがわかっています。

法的な関係と実際の関係

もっとも,養育費の支払いと面会交流は,同時履行の関係ではありません。法的には,養育費を支払ってもらっていなくとも,面会交流を希望することはできますし,反対に,面会交流をしていなくとも,養育費の支払いをしなければならないのです。

しかし,この両方は車の両輪のような関係にあり,養育費は子どもの生活の支え=経済面での支えであり,面会交流は子どもの心の支え=精神面の支えとして,ともに重要となります。
そして,一方が欠けると他方も欠けてしまう可能性が高いため,金銭的な支えも精神的な支えも両方が十分に得られないという子どもにとって過酷な状況につながりやすいのです。

面会交流と養育費の支払の関係の実例

書籍に見る実例

「養育費実態調査 払わない親の本音」には,編者Winkの理事長自身の事例として,以下のことが挙げられています。

娘さんが生まれてすぐ離婚されたようですが,娘さんが15歳の時に養育費を求める調停をして,そのときから,15年ぶりに養育費の支払いが再開した,とのこと。
これは,「調停を申し立てたこと」が支払うきっかけ作りになっているのですが,子どもさんと,このとき面会できたことも,支払おうと思うきっかけになっていると思われます。
娘さんが15年ぶりにお父さんに再会し,それまでは父親について否定的だったけれど,父親が「今まで何もしてやれなくてごめん」と謝ってくれたことに感動し,「私にもお父さんがいたんだ」と嬉しく感じた,というエピソードが書かれています。

弁護士木下貴子が関与した実例

私(弁護士木下)が関わった事例としては,以下のような事例があります。

ケース1 母親側として関わったケース 

離婚調停の際に,夫から先に子どもとの面会を確実に実施できると安心できなければ,離婚の話合いを進められない,と言われた。
妻としては,離婚すれば,気持ちも落ち着くので,面会させるということも考えられるけれど,今は,会わせたくない,離婚を先に進めてほしい,と強く希望していた。
しかし,裁判所の指導もあり,面会交流を確実に実施させていったところ,相手方である夫は安心し,離婚調停で離婚の合意をし,養育費の支払いも決まった。
(その後も特に連絡は無いので,養育費の支払いは継続していると思われる)

母親側として,面会交流を積極的に行ったことが,養育費の支払いにつながっているケースと言えると思います。

ケース2 父親側として関わったケース

離婚調停のときに,妻から早くに離婚をしてほしい,と言われていた。
夫としては,現在面会交流ができなくなっているので,このまま先に離婚してしまうと,会うための話もできなくなってしまうのではないかと,とても心配していた。
調停委員に話をして,先に面会交流をすることで,了解を得て,何度か実施し,最終的には調停にて離婚が成立した。
相手方である妻からは,これ以上,離婚の話合いが進まなければ,離婚するまでは,やはり会わせたくない,との話もあったが,調停委員から,「子どものために会わせる」ということを伝えてもらい,面会交流を継続できた。
相手方からは,離婚が成立すれば,今よりも良い条件での面会交流も可能であるとの申し出もあり,夫としても離婚を決意できた。
夫としても感謝し,子どもを引き取った相手方と子ども達の生活のため,財産分与でも相当の配慮をし,養育費の支払いも継続している。

面会交流については,離婚調停中だけでなく,離婚後も調整の難しい問題ですが,このような努力が,子どもさんへの経済的支援,養育費の支払い意欲の継続につながることが分かります。

実例からわかること

以上のような実例からすると,別に紹介しました「公正証書」「調停調書」を用いる方法のように,いざとなれば,強制して養育費を支払ってもらえるような書面で養育費の合意をし,「強制力」を用いて促すだけでなく,相手方に父・母であることの実感を与え,子どものために,自分で進んで養育費を支払いたい,と思うための「きっかけ」づくりも大事だと思います。
いわば,イソップ童話の「北風と太陽」で,「北風」のように強引に上着をはぎ取るような手法も,養育費のきっかけ作りには必要な場合もありますが,「太陽」のように暖かく,相手が自分から上着を脱いでくれるのを待つ,という硬軟をとりまぜた「きっかけ」づくりが必要なのだと思います。

相手方が,面会交流を強く求めている場合には,それだけ,子どもとの関わりを大事にしたい,という気持ちがあることが多いので,それを満たすことで養育費の支払いを続けてもらえる可能性は上がると思います。 子どもに積極的に関わりたい,と思ってくれていることは,「子どもに会いたくもないから養育費を支払わない」と言われているケースよりも,子どもさんにとっては嬉しいことですし,よほど希望があると思います。
養育費を支払ってもらいたい,という気持ちがあっても,相手とかかわりたくない,という話もよく聞きます。しかし,この二つには相関関係があることを意識して,「子ども」のためには,面会交流も含め,相手方の関わりを避けない「覚悟」が必要になりますね。

相手方と関わり合いたくない場合は

とはいっても,「離婚する」ということは,そもそも,相手方とは大きく価値観が異なっているケースが通常です。つまり,夫,妻とは子どもへの接し方,親としてあるべきマナー,教育方針など,全てが一致せず,相手方を信頼できないことも多いと思います。実際に,そういう話をとても多く聞きます。
そのため,相手方には子どもを会わせたくない,会わせたら,子どもが相手のような,人間としておかしい感覚を身につけてしまうのが怖い……とも,よく言われます。
また,子どもを会わせた後に,「お母さん(お父さん)は,どうして,○○したの?」等と自分を責めるような言い方をされたり,子どもが自分の言うことをきかなくなったり,調子が悪くなって学校に行きたくない,と言い出したり……その後のフォローがとても大変だと言われます。

それなのに,もっと会わせろ,長時間会わせろ,泊まりで会わせろ,自分の両親にも会わせろ……等と言われて,連絡されること自体が恐ろしい,です,と言われることもあり,こんなに大変なら,もう会わせたくない……というご相談も多数あります。

そして,「会わせるくらいなら養育費は要らない」「相手方との関係を断ち切りたいから養育費は諦める」と言われることも,「子どもに会うつもりもないから,養育費は支払わない」と言われることもあります。
これも,一つの価値観なので,私にはどうすることもできないですし,私自身も子育てをしているとあまりに大変で,母として辛くなって逃げ出したくなることも多いので,とても気持ちはよく分かるつもりなのですが,やはり,親としての役割をもらって,自分の命を子どもに引き継いでもらったこと,その子どもの人生も自分が握っていることを自覚して,自分が楽になる,という結論が子どもにとってもいいことなのか,を,再度考えてもらえたらと思っています。
子どもが,父からも母からも愛されていると感じて育つことで,自信を持って成長でき,養育親(自分)にとっても育てやすくなり,最終的には親自身の幸せにつながると信じています。

詳しくは,別記事「面会交流(面接交渉)」に記載しています。

また,親の離婚を経験した子どもさん達の声については,改めて紹介したいと思います。

実際に会わせるのが難しい場合であっても,今であれば,スカイプでの面会,手紙・メール・電話でのやりとり,写真や動画を送ってあげる,など様々な手段を使って,相手と子どもさんがコミュニケーションができる方法・親としての自覚を促す方法を考えてもらえたら,と思います。

養育費支払を促すその他の方法

私(弁護士木下)が,おすすめする方法は以下のようなことです。

養育費を支払ってもらったら,感謝を伝える=ありがとうを相手方に言う。
子どもさんに,相手方(父・母)から養育費をもらっていることを伝えて,相手もあなたのことを想ってくれている,という話をする。

相手に連絡をすること自体が嫌なことかも知れませんが,払わなくなってから「払うよう」求めるよりも,払っている間に「払い続けてくれるよう」促す方が労力は少なくてすむ,と思います。
相手方に会って伝えなくとも,メールや電話でもいいので,伝えるといいと思います。

また,子どもさんに説明しておくことで,子どもさんは相手方に面会したときに,自然と感謝の気持ちを持って接すると思いますし,相手方である父・母からも愛されているという実感を持てることで,自信を持って生活できていくと思います。(反対に,こちらが相手方をバカにするような話をすれば,そのような態度を相手にも示して,可愛げがなく感じられ,養育費を支払う意欲が失われることもあると思います)

この方法は,実施したからと言って,効果が上がっているというデータは無いのですが,私が関与した事例では,そのようなことが言えているケースの場合,支払が継続している傾向にあります。
また,私自身のことを振りかえると,つらいな,大変だなと思っている家事についても家族から「ありがとう」と言ってもらえると,これからも頑張ろうと思えますので,そのような「言葉がけ」は継続するために大切なのではないかと思います。

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