多治見ききょう法律事務所は岐阜県多治見市・土岐市・瑞浪市・恵那市・中津川市・可児市・美濃加茂市の中小企業・家庭の法律問題を重点的に取扱っています

ご予約・お問い合わせはTEL.0572-26-9852

〒507-0032 岐阜県多治見市大日町21 大日ビル3号

遺産相続手続に期限はある?

最終更新日:2023年6月10日

遺産の相続手続きはいつまでにしなければなりませんか,というご質問がよくあります。

相続放棄には期限がありますが,遺産を相続をする場合について,期限と言えるようなものは,相続税の申告期限しかありません。相続税の申告期限は,相続税法に「その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内」と規定されています。税務署は,相続人がいつ相続の開始を知ったかに関係なく,被相続人が死んでから10ヶ月を超えると期限を過ぎたという扱いをしてきます。知った日を証明して不服申立をする手間と費用を考慮すれば,被相続人の死亡から10ヶ月以内に申告をすべきといえます。
そして,相続税には,税額低減につながる制度として,配偶者に対する相続税額の低減,小規模宅地の評価の特例,農地の納税猶予の特例があります。これらの制度は,申告期限までに遺産分割がなされて期限内に申告した場合に利用可能なものとなっています。そのため,相続税の申告期限に間に合うように遺産分割をしないと,相続税の負担が重くなってしまいます。
配偶者に対する相続税額の低減と小規模宅地の評価の特例は,一定の手続きを経れば,申告期限を過ぎた後に遺産分割協議が成立した場合にも特例を利用できるのですが,こうした制度の適用のない形で計算した相続税をいったんは納付しなければなりません。
他方,相続税がかかるほどの遺産が無い場合には,遺産の相続に関して期限といえるようなものは何も無いことになります。

家庭裁判所の遺産分割調停・審判が始まらずに10年経過すると,遺産分割をするときの分割方法のルールは,変わります。令和5年4月1日施行の民法改正(民法904条の3の新設)により,10年経過すると,生前贈与・遺贈・寄与分を考慮しないことになりました(ただし,法改正の経過措置として,平成30年3月31日までに死亡した者の遺産の分割では,10年経過しても,令和10年3月31日までは考慮されます)。生前贈与などがあっても,法定相続分(遺言書で相続分の指定があるときは指定された相続分)に従って遺産分割をすることになります。

遺産の相続手続きをしないでいると相続の権利自体を失うことがあるかといえば,相続人の1人が遺産を使い続けているだけでは,何年経っても,他の相続人の権利は失われません。
例外的に,戸籍に誤りがある場合(昔は,実際の父母の子としてではなく,親戚の子として出生届が出されることもありました),遺産自体が誰かに処分されてしまった場合,更に世代が移って遺産分割がなされていないとは知らない者が遺産を使用し続けている場合などには,相続権のある者も,時効によって権利主張できなくなる場合があります。
また,遺産に預貯金・貸付金などの債権がある場合には,債権自体に時効がありますので,債権自体が時効になると,権利を失うことになります。
もっとも,不動産以外の遺産は,時間が経つとともに,どんな遺産があったかわからなくなっていきます。早めに遺産分割を進めた方が良いといえます。

不動産には登記制度があり,遺産の不動産の存在は,何十年たっても明らかです。
不動産は,遺産分割協議が成立しないと登記ができません。登記ができていないと,売ることも担保に入れることもできません。
登記をせずに使っていても,登記の名義は移りません。遺産分割協議が成立しないまま相続人が亡くなるとさらに相続が生じますので,その相続人を加えて遺産分割協議をしなければならなくなります。だんだんと遺産分割協議をしなければならない人数が増えていくのが通常です。実際に私は何件もこのような事案を受任させていただいておりますが,人数の多く,相続開始時からかなりの時間が経過したような遺産分割協議では,行方不明者なども出てきて大変手間もかかり,時間もかかります。
また,世代が変われば疎遠になりますので,疎遠になることによっても協議が難しくなります。
その不動産の権利を確保したいという人は,遺産分割協議が難しくならない早い段階で,遺産分割を進める必要があります。
また,不動産の登記には,住所の記載はあっても本籍の記載はありませんので,住民票の保管期間が過ぎると,人物を特定することが難しくなることがありえます。

自分は不動産は要らないという人に関しても,遺産分割をして名義移転が完了していないと,相続人全員に固定資産税・都市計画税を連帯して納税する義務があります。借地上の建物であれば取り壊して明け渡す義務が,建物が倒壊して他人に損害を及ぼせば賠償義務が付いて回ります。空き家となり,管理が不十分な状態になってしまうと,市町村から指導・監督・命令を受けることにもなります。
そのため,不動産は要らないという人も,早めに遺産分割を進めた上,名義を変えてもらう必要があるといえます。

結論としては,遺産の相続手続きは早めに済ませた方が良いということになります。

岐阜県東濃(多治見市,土岐市,瑞浪市,恵那市,中津川市)・中濃地域の遺産相続(遺産分割・遺言書検認・遺留分減殺)の問題で,弁護士をお探しなら,多治見ききょう法律事務所(弁護士木下貴子)にご相談,ご依頼ください。


岐阜県多治見市大日町21 大日ビル3号
営業時間(相談時間,予約電話受付時間)
 平日(月〜金)(祝日を除く) 午前9時15分〜午後5時
電話 0572-26-9852
相談予約専用メールアドレス tajimi.law@gmail.com

多治見ききょう法律事務所

  • 弁護士 木下貴子
  • (岐阜県弁護士会所属)

〒507-0032

岐阜県多治見市大日町21

大日ビル3号

営業時間(相談時間・予約電話受付時間)

平日(月〜金)(祝日を除く)

午前9時15分〜午後5時

TEL 0572-26-9852

FAX 0572-26-9853

相談予約専用メールアドレス

tajimi.law@gmail.com

主な対応エリア

  • 岐阜県
  • 多治見市
  • 土岐市
  • 瑞浪市
  • 恵那市
  • 中津川市
  • 可児市
  • 美濃加茂市
  • 可児郡御嵩町
  • 加茂郡(坂祝町
  • 川辺町
  • 七宗町
  • 白川町
  • 富加町
  • 八百津町
  • 東白川村)
  • 岐阜市
  • 各務原市
  • 愛知県
  • 名古屋市
  • 瀬戸市
  • 春日井市
  • 小牧市
  • 尾張旭市
  • 長久手市