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離婚調停Q&A

(大学卒業までの養育費)
Q 夫は,養育費を子供が成人するまで支払う,とは言ってくれるのですが,子供が大学に行く場合には,大学を卒業するまで支払ってほしいと思っています。どうしたら,調停で「大学を卒業するまで」にしてもらえますか?
A 調停は,話合いで決める手続きなので,夫が「大学卒業するまで」支払うことに納得してくれないと,調停で合意することができません。そのため,調停委員から説得してもらうことになりますが,現在の裁判所の運用では,養育費の支払終期について,一般的には成人までとされています(以前は,18歳までというものも多かったです)から,調停委員もなかなか説得する根拠が乏しいところになります。もっとも,これまでの裁判所の判断(判決・審判例)をみると,「大学進学が当然・相当」と言える状況にある場合は,例外的に養育費支払の終期を大学卒業までとされているものがあります。
その判断基準は,以下のようなことです。
  1. 両親等の学歴両親,兄弟その他の親戚の多くが大学に進学している……認められやすい
  2. 子供の進学希望・両親の進学への意向
    子供が大学を進学したいと思っており,両親も賛成……認められやすい
  3. 両親の経済力
    両親の収入,保有資産からすると,大学進学の費用を負担をする余裕がある……認められやすい
  4. 父母の資格を活かした家業を継ぐ必要性
    両親の家業が医師・弁護士などの資格が必要なものであり,子供も,その事業を承継するために学んでいる……認められやすい
そのため,相手方が成人までしか支払わない,と言われている場合には,上の1〜4の条件にあてはめて,自分の事例が,子供が大学進学するのが当然です,と調停委員から説得してもらうことになります。
しかし,裁判例の中で,実際に,大学進学をしていない段階で大学卒業までの養育費を認めた事例は多くはありません。両親ともに,子供の大学進学を強く希望しているような例外的な場合になります。他に20歳以降も認められた事例のほとんどは,実際に子供が大学に進学した後に請求されているものです。
そのため,子供さんがまだ高校生以下であり,どうしても,夫が成人するまでしか養育費を支払わない,と言われた場合には,一旦,離婚調停の場では支払い終期を延ばすことは諦めて,子供さんの大学進学が決まってから(合格発表があってから),改めて,養育費の支払い延長の申立をする方向を考えるのがいいと思います。
なお,子供さんが成人してから請求する場合には,子供さんご自身から,父親への「扶養料の請求」という形になります。
この場合も,上の1〜4にあてはまるかどうかがポイントとなります。片方の親が大学進学に賛成し,もう片方の親は反対していた場合には,認められていない事案もありますので,どこの大学に進学したのかも言わないけれど,突然養育費の延長だけを求める,ということではなく,養育費を継続的に支払ってもらいたい場合には,それまでの間に,どこの大学に行きたいのか,なぜ行きたいのか,など普段から両親や子供も交えて進学について話あう関係をつなげていくことも大切になります。
調停条項を作成する場合の注意事項としては,「成人に達する日の属する月まで」や「成年に達する日の属する月まで」とする条項も以前は多かったのですが,今後は「20歳に達する日の属する月まで」としておくことがいいでしょう。なぜかというと,法律改正で2022年4月から「成人」「成年」が20歳ではなく18歳に変更される予定となっていますので,後に争いとなる余地が残るからです。
(養育費の支払終期の変更)
Q  養育費を18歳まで支払う,と離婚調停で合意したのですが,その後,子供が大学に行くことになりました。養育費の支払いを延長してもらうように言われて,驚いています。引き続き,支払わないといけないですか?どのような調停条項にしておけば良かったのでしょうか?
A 支払わないといけなくなる場合があります。例えば,18歳で高校を卒業した場合には,就職するはずであると考えて合意していたような場合で,その後大学に進学するという「事情変更」によって引き続き「扶養」が必要な状態になったと言えれば,養育費の支払を延長すべきことになります。
もっとも,相手方の不貞行為による離婚の場合に,相手方に慰謝料の支払いを求めない代わりに,18歳以降に子供さんが就職しなかったとしても,その後の養育費は「一切支払わない合意」をしたのであれば,状況は違います。裁判所は当事者での合意を重視しますので,原則として支払わなくて良いことになります。他にも,夫婦間の借金をこちらが背負う代わりに,そのような合意をした,と言える場合もあるでしょう。
この場合,調停条項で明確に定めておかないと,原則としては「事情変更」として延長が認められる余地があることになると思われます。
そのため,「18歳以降は一切支払わない」という合意をしたのであれば,調停条項に「本件は相手方の不貞行為による離婚であるため,子が18歳に達した場合は,その後,就職しているか否か,その生活状況を問わず,相手方が子の生活費の一切を負担するものとし,養育費の請求をしないものとする」などと定めておくと良いと思います。
ただし,この場合であっても,大人である両親の事情によって,子供さんの生活が困窮するのは不憫です。「養育費」は,子供のための権利なので,このように子供が生活に困窮するような場合には,子供さんからの請求によって,養育費の支払いの延長・変更が認められることもあります。
(面会交流の回数)
Q 子供との面会交流は,月何回,認められることが多いですか?
A 離婚調停で合意して決めているケースが多いと思われるので,裁判所(裁判官)が面会交流の回数を決める場合のデータとは言えないのですが,家庭裁判所の統計データによれば,月1回以上と決められることが多いようです。平成25年と平成26年データを比較すると,平成27年では月2回以上と決めた場合の割合が少し増加しています。
私自身が関わった案件でも,裁判所の審判で月2回の面会交流が認められていた事案がありました。以前は,月1回程度しか認められないことが多いと説明していましたが,今は面会交流の意義が重要視されてきているので,今後は場合によっては,月2回以上の面会交流が認められるケースも出てくるかもしれません。
お子さんの年齢によっても,認められる回数は違いがあります。幼少の頃は,半数以上が月1回以上の面会を認めていますが,年齢が高くなるにつれ,次第にその割合が低くなっています。お子さんが大きくなると,お子さん自身の面会への希望も重視され,お子さんの予定も増えるので,面会交流の時間を調整するのが難しくなるからだと思います。10歳程度以降は,月1回以上の面会を認めている割合が半数を切っているようですので,2〜3ヶ月に1度程度の面会しか認められないケースもあり得ます。
おおまかな目安は,以上の通りですが,基本的な考え方は,親がどれだけ会いたいか,会わせたくないか,ということよりも,どのような面会方法・面会回数がお子さん自身にとって良いのか,「子の福祉」に資するのか,を重視することになります。お子さんの年齢,お子さんの意向,住んでいる場所の遠近など,面会交流の必要性・実現可能性を考えて,裁判所がどのような回数の面会を認めそうか,個別に検討することになるでしょう。

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この記事を書いた弁護士

執筆者木下貴子

木下貴子

多治見ききょう法律事務所所長

岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり19年目。
離婚事件を中心的に取り扱い,これまでに受けた離婚のご相談件数は1000件を超えます。ご相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーに対応しています。
離婚・夫婦に関する講演の講師も務めています。
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