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モラハラを理由に面会交流を拒否できるか

元夫が,子どものためにもっと会わせろ,と言ってきます。
元夫は,威圧的で,約束した面会の終了時間も守ってくれないのに,一方的に宿泊を伴う面会も求められて困っています。
元夫の私に対するモラハラ(精神的DV)が離婚の理由ですので,メールでのやりとり,電話でのやりとり自体が怖いです。
面会を拒否することはできないでしょうか?

というようなお悩みを聞くことはとても多いです。

子どもに対して虐待行為(身体的な暴力,精神的に脅す行為≒モラハラ,性的暴力など)があり,子どもが相手方を怖がっている場合には,面会交流の拒否が「正当」と認められることも多いです。また,子どもを連れ去るおそれがある場合や,再婚相手との新しい家族の信頼関係構築のために面会交流による精神的混乱を避ける必要がある場合などに,面会交流を制限できることもあります。
他方,このご質問のように夫から妻への「モラハラ」(精神的暴力)の場合には,子どもへの影響が「直接的」なものでないため,面会交流を拒否する理由としては難しい類型となります。

そこで,この記事では,夫から妻に対するモラハラ(精神的DV)があった場合に,子どもの面会交流を拒否できるのかをお伝えします。

親と子は別

現在,裁判所は,「面会交流」が子どもにとって必要,有益なものと考えています。それでも「面会交流」を拒否する正当な理由,つまりは,面会をさせない方が子どもにとって良い(子の福祉に資する)という理由でなければ,裁判所に拒否することを認めてもらえません。

妻に対するモラハラがあって,妻にとって,元夫と連絡を取ることが苦痛だとしても,子どもは母親と別の人間ですので,それだけでは,子どもが父親と面会しない方が良いということにはなりません。

母親に対してモラハラのあったことが,子どもが父親と面会しない方が良いこととどのような関係があるのかの丁寧な説明が必要になります。

子どもの脳が萎縮する

児童精神医療を専門とする医師によれば,子どもは,胎児期,幼児期,思春期という三段階の大きな時期に,安心して怒ったり,嫌ったりを表現できなければいけないということです。(日本弁護士連合会「シンポジウム『子の安全・安心から面会交流を考える』報告書」渡辺久子講演録(PDF)
それには,父母が安定した関係にあることが必要とされます。
同医師によれば,子どもの頭は,子の乳幼児期,思春期の他,胎児期にも急激に大きくなるそうです。したがって,この時期に安心できる環境で,子どもの探索行動を子どもに保証していかないと,次の世代の大人になるために成熟できない,成熟した人間に育っていけない,とします。
夫婦仲の悪さ,家族機能の不全,あるいは虐待やなどが加重なストレスになって子どもを苦しめる時,子どもに発達障害とは異なる発達的トラウマ障害という,後天的な発達障害が起きることわかってきているそうです。 胎内にいるときにお母さんがDVを受けることで胎児の体重が増えなくなってしまったり,お父さんの怒鳴り声や足音を聞いていて,ある日,お父さんが子ども見たさに病院にやって来たときに,お父さんの足音だけで,その赤ちゃんが泣き出してしまう,ということもあるようです。
そうすると,父から母への精神的虐待(モラハラ),身体的暴力を子どもが見聞きすることは,子どもにとって,苦痛であり,これを我慢しながら生きる子の脳の発達,心の発達を阻害し,悪影響があると言えます。これは,かなり衝撃的な結果だと思います。
その意味では,子どもの前で「モラハラ」をすることも,子どもに対する間接的な暴力と言えます。故に,子ども自身が何らかでこの「感覚」を覚えており,父に会うことで不安,恐怖を感じているのであれば,それを面会交流拒否の理由をすることができるでしょう。
しかし,子ども自身は「会いたい」と言っている場合,もしくは,明確には拒否していない場合には,なかなか難しい問題です。
この「暴力」が間接的であるため,父母が別居,離婚して離れてしまえば,父から母への「モラハラ」「暴力」はなくなるので,面会交流をしても,子どもにはその影響はないのではないか,ということが問題になります。

子の安心・愛着に必要

同医師によれば,子どもにとって安心感と愛着はとても大事とされます。安心感と愛着は,自分が喜怒哀楽の感情を持って生きている,それを出したときにわかってもらえた,というときに感じられるものですが,そのためには,子どもが喜怒哀楽の表現をしたとき,特に負の感情を表したときの親の受け止め方が非常に大切なのだそうです。
しかし,両親の仲が悪いと,それができなくなってしまいます。子どもは,両親の関係が悪いときには,「いい子」になって自分の心を閉ざしてしまい,気持ちを表現しなくなってしまいます。
そして,封じこめられた気持ちは,その子の心と身体にさまざまな形で出てきます。だから,父母の不和は,子どもの現在の発達にも出ますし,近い未来の発達にも出るのだそうです。
この点,様々なご相談を受けていると,たとえ,別居,離婚していても,メール,電話の連絡などにより,同居中と同様に仲の悪い状況が続き,一方的に面会の条件を決められてしまっている,相手方からコントロールされていると同居している親(母)が感じているような場合には,不安定となり,子どもの心を受けとめる余裕がなくなってしまうこともあると感じます。そうすると,子どもはそれを察知し,喜怒哀楽を表現することを抑えることによって,心,脳の発達に悪い影響が出てしまう,と言えるでしょう。
そのため,「モラハラ」を理由に面会交流を拒否したい場合には,婚姻中(同居中)の状況の他,別居(離婚)後も,相手方がどのように,自分に言ってきているのか,どのように対応しているのか,具体的な言動を話し,どのように(元)夫婦仲の関係が悪い状況が継続しているのかを説明する必要があるでしょう。

他の手段はないのか

それでも,やはり,「面会交流」そのものは,子どもに有益と考えられていますので,その他の手段を用いて,子どもへの影響を防ぎつつ,面会交流ができないかを考える必要もあります。

たとえば,直接父母が連絡を取り合うのではなく親族などを通じて連絡する,FPICなどの支援団体等,第三者を入れて面会交流をする,子どもが大きくなってきた場合に子どもに任せるなどにより,面会交流を完全拒否する以外の方法がないか,という検討も必要になります。
様々な手段を考えても,子どもが幼い,経済的に支援を利用できない,頼れる親族等もいないなど,どうしても,自分自身が面会交流のやりとりに関与せざるを得ないこともあります。

この場合には,相手方との関係がとても悪く,連絡することで自分自身が不安定になってしまうので,子どもが安心して自分に喜怒哀楽を表現できず,子どもの心身の発達にとって良くないことを伝えると,面会交流を拒否することしかないことにも説得力が出るでしょう。

まとめ

子ども自身に対する身体的,精神的暴力と違い,父親から母親へのモラハラ・暴力は,子どもへの影響が間接的であるため,「面会交流」を拒否する理由として正当性が認めてもらいにくいことがあります。
両親が仲の悪い状況で,子どもの面会を進めることは,子どもにとって負担にはなるのですが,相手方も「子どものために」より充実した面会をしたいと希望している場合があります。こちらが会わせ方を譲歩する,夫婦であったときとは「考え方」を変えることで,相手方との衝突を緩和しつつ会わせられる方法がないかを再考してみることも必要だと思います。
一方で,離婚原因が「モラハラ(精神的暴力)」や身体的暴力などで,とくにその状況が酷かった場合には,その恐怖からなかなか離れられないこともあると思います。
声を聞くだけで恐ろしい,メールを見るだけで震える,というほどの状況になっている方もあり,別居,離婚したからと言って,すぐに頭を切り換えて,対等に話ができるようにはならないこともあるでしょう。
このような場合,面会交流をさせる側の親(多くは母)は,写真を送付するなど,自分が精神的負担を受けることがより少ない方法で,相手方が子どもと関与する方法は残しつつ,ご自身が安心,安定できる時間を確保することも大事だと思います。
面会交流を求める側も,子どもの最も身近にいる相手方の心の平穏,安心,安定感こそが子どもの心,体,頭の発達にとても重要なことをよく理解して,連絡方法,言動などを慎重に考えることが大事だと思います。

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