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養育費を支払ってくれない場合の新しい回収方法

養育費を強制的に回収するときの民事執行の手続きを定める民事執行法が改正される見込みとなっています。

現在は,母子家庭の4世帯に1世帯しか養育費を支払ってもらっていません。(厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」参照)

しかし,法改正がなされると,強制的に回収する手続きの実効性が大きく高まります
そのため,これまでは,何とか支払わないで逃げ切られていたような事例でも,今後は逃げ切ることは難しくなります。
これによって,支払を逃れようとする親も少なくなるものと期待しています。

この記事では,次の順序で,民事執行法改正を,養育費回収の観点から説明します。

  1. 養育費の回収方法の現状と問題点
  2. 法改正のスケジュール
  3. 民事執行法改正要綱の内容
  4. 民事執行法改正による実効性強化の影響

養育費の回収方法の現状と問題点

裁判所の手続きを利用した養育費の回収方法は,現在,次のとおりとなっています。

養育費の回収手続の流れ

(この図の他に,相手が住宅ローンが付いていない不動産を持っていれば,不動産を差押えて競売にかけることもできますが,養育費を滞納する親が,差押え可能な不動産を持っていることは多くありません。また,差押えができる場合も,不動産の競売には60万円以上の費用がかかるので,あまり現実的ではありません。)

現在も,調停や(執行認諾文言付き)公正証書で取り決めをすれば,相手の財産を差押えて強制的に回収する手続きを利用できます。
この場合,差押える財産を自分で見つけてくる必要があります
多くの場合,比較的簡単に差押えできる可能性のある財産は,預貯金と給料です。

預貯金の差押え

預貯金は,取引銀行だけでなく,口座の取扱支店も特定する必要があります(ネット銀行を除く)。

預貯金の取扱支店がわからないときの手段(現在)

当てずっぽうの差押え

わからないときには,預貯金のある銀行と支店を予想して,当たるか外れるかわからないその銀行・支店の預金の差押えを申し立てて,当たって残高があれば回収できるというやり方をするしかありません。
1回はたまたまうまくいっても,その後は,別の銀行・支店に口座を作って隠されてしまい,その後の養育費の回収は難しくなります。

金額の割り振りが必要

また,1度に複数の銀行・支店の預金を差押えしようとするときは,滞納となっている養育費の額を,分割して支店に割り振らなければなりません(例えば,養育費が100万円滞納していても,10カ所の支店で10万円ずつとするなど)。
そのため,複数の銀行・支店の預金に差押えをかけて,一部が当たったとしても,割り振った分(この場合10万円)しか回収できず,割り振り額を超えた分(預金残高50万円のときには40万円)が払い戻されてしまうことになっていました。

弁護士に依頼して全店照会

銀行の口座が分からない場合でも,調停調書,和解調書,判決など裁判所における取り決めの場合には「弁護士会照会制度」を利用して,銀行本店に対し,その銀行の全店舗について,相手の預金口座があるか否かと,口座がある場合には支店名・口座科目・預金残高の情報を照会できます(全店照会)。
ほとんどの銀行が回答してくれる状況となっています(裁判所の手続きではない公正証書による取り決めの場合には,回答しない金融機関が多いです)。
この制度を利用したい場合には,弁護士に相談・依頼することになります。

給料の差押え

勤務先の給料支払者(住所と会社名・氏名)がわかりさえすれば,給料を差押えて,毎月の給料の中から養育費分を取り立てることができます。

ただ,転職されてしまうと,給料支払者を知ることは困難です。探偵費用を払って,探偵に後をつけてもらっても,わかるとは限りません。
派遣社員として勤めているようなときは,出勤先の会社とは別のところにある派遣会社が給料を支払っています。

財産開示・間接強制・履行命令

財産目録を提出させる手続(財産開示手続き)もありますが,無視したときの制裁が軽く,実効性は乏しくなっています。

財産を差押えるのではなく,支払わないときに金銭の制裁を課す手続き(間接強制,履行命令)もありますが,養育費を支払わない人に,お金で制裁金を支払うよう命令しても,制裁金の支払いからも逃げ切ろうとしたり,制裁金を覚悟したりする親には実効性のない手続きでした。

また,財産開示手続きや履行命令の違反の制裁金は,国が制裁金を徴収して国の収入とする制裁であり,徴収しても子どもの生活費に回らないこともあって,裁判所がそもそも制裁を発動することに消極的という印象があります。

現状の回収方法まとめ

このような状況なので,預貯金のありかと勤務先を秘密にして,裁判所の命令を無視し続ける親から養育費を取り立てるのは難しいのが現状です。
預貯金のありかを予測する方法も,探偵を使って給料支払者を知る方法も,費用対効果が悪いので,こうした方法を試みることなく,回収を断念している方が多いのが実情です。

しかし,養育費の不払いは社会問題となっており,法改正の動きが進んできました。

法改正のスケジュール

現在までの状況

平成28年9月
法務大臣が法制審議会に,債務者財産の開示制度の実効性を向上させるなどの民事執行法改正の要綱を諮問
平成28年11月~平成30年8月
法制審議会民事執行法部会(合計23回の審議)
平成30年8月
法制審議会民事執行法部会で,改正要綱案が決まる
平成30年10月4日
法制審議会総会で改正要綱が正式決定
→法務大臣に答申

今後の見通し

平成30年秋の臨時国会?
国会に民事執行法改正法案提出
平成30年末~平成31年夏頃?
民事執行法改正法が国会で成立
平成33年頃?
改正法が施行

改正法施行前にどう考えるべきか

民事施行法の改正法の施行は数年先ですが,

  • 改正法施行前に取り決めた養育費にも,改正法施行後には新しい手続きが利用できる
  • 改正法施行までに貯まった養育費についても,改正法施行後には新しい手続きが利用できる

ということで,現在の問題として捉える必要があります。

今からでも,「逃げ切ることは無理で,どうせ支払わなければならないのならば,素直に支払った方がまし」と思わせることにより,滞った養育費を支払ってもらえるようになるかもしれません。

民事執行法改正要綱の内容

養育費の関係で重要な改正のポイントは4つです。

  1. (執行認諾文言付き)公正証書でも財産開示手続きが利用可能になる
  2. 財産開示手続の開示拒否・虚偽の制裁が強化される
  3. 銀行(金融機関)の本店に対し,情報提供(取引の有無,取引店舗など)を命ずる手続きが新設される
  4. 財産開示手続きの後,市町村(市県民税の特別徴収手続きで給料支払者を把握している)や日本年金機構・共済組合(厚生年金保険料の徴収手続きで給料支払者を把握している)に対し,給料支払者の情報提供を命ずる手続きが新設される

(法制審議会民事執行法部会「民事執行法制の見直しに関する要綱案」より)

図にすると,次のとおりとなります。

民事執行法改正後の養育費回収手続きの流れ

改正のポイント解説

公正証書の扱い

(執行認諾文言付き)公正証書でも財産開示手続きが利用可能になります。

これは,財産開示命令違反の制裁強化や市町村などへの情報提供手続が用意されることと相まって,公正証書の効力が格段に高まるという意味になります。
「費用をかけて公正証書で取り決めても,逃げ得が許されるならば意味がない(自分たちで合意書を作るのとあまり変わらない)」という現在の状況が,大きく変わることになります。
もっとも,公正証書には,家庭裁判所の調停と比較して,費用が高い,家庭裁判所の履行勧告・履行命令の手続きが利用できないというデメリットが残ります。

民事執行法の改正法施行前に作った公正証書でも,改正法施行後には同じ効力がありますので,これから養育費の取り決めをするけれど,支払い続けてくれるか心配という方は,調停手続きを利用するか,公正証書の作成をめざすのが適切でしょう。
しかし,公正証書を作成するときは,その公正証書に不備があると,財産開示手続きが利用できないことがあります。
財産開示手続きなどの強制執行手続きの経験のある弁護士に相談して作成すると良いでしょう。

財産開示手続の開示拒否・虚偽の制裁強化

現在の制裁は,30万円以下の過料となっています。
「過料」は,行政罰であって刑罰ではないので,前科になりません。払わないとき,当局が強制的な回収をすることはありますが,身体拘束されることはありません(刑罰の「罰金」だと,労働で支払わせる「労役場留置」のために身体拘束もあります)。
この記事執筆時点では,どの程度の制裁強化がなされるかは決まっていませんが,制裁が厳しくなると,安易な無視ができなくなるでしょう。

銀行本店に対する情報提供命令手続の新設

銀行本店に照会することで,預金の有無,取扱店舗,預金の種類,残高の回答をしてもらえる手続きになるようです。
現在は,銀行と支店を予測して差押えの申立をしてみるしかなく,回収は困難でした。

改正法によっても,口座のある銀行自体は予測する必要はありますが,取引のある店舗を教えてもらえるようになります。
そして,予め銀行から回答を得ることで,預金のある支店だけに差押えをかけて,預金残高全額の回収がめざせるようになります。

市町村・年金機構等に対する給与支払者の情報提供命令手続の新設

市町村は,住民税(市町村民税・都道府県民税)の特別徴収をしているときに,給料支払者の住所と名称を知っています。
日本年金機構(公務員や私立学校職員のときは共済組合)は,厚生年金保険料の徴収をしているときに,給料支払者の住所と名称を知っています。
こうした情報の提供が得られる手続きとなるようです。

この手続きは,財産開示手続の利用後にのみ利用できる手続きとなります。

住民票のある市町村は1つですし,多くの労働者の厚生年金は日本年金機構管理ですから,(どの銀行に口座があるのかわからず,どの銀行に情報提供を求めれば良いか決めきれないという預貯金の情報提供手続きと比較して)情報提供の依頼先ははっきりしています。
住民税の特別徴収義務があるときにはきちんと徴収するように,地方公共団体が厳しくチェックするようになっていますから,住民税が課税される以上の給料をもらっていれば市町村が情報を持っている可能性が高いです。
厚生年金も,加入指導が厳しくなっている上,適用対象となる従業員の範囲が広げられています。
そのため,普通に勤めているときには,情報が提供される可能性が高くなります。

情報が提供されれば,その給料支払者から受け取る給料を対象として差押えをし,毎月の給料から養育費分の支払を受けられることになります

民事執行法改正による実効性強化の影響

このように,預貯金のありかを見つけて預貯金を差押えできる可能性が高くなる,最終的には給料支払者がわかり給料を差押えできるということになります。

養育費支払義務のある親から見ると,財産開示手続の段階で,「制裁覚悟で預貯金と給料支払者の情報を隠す」という選択をしても,結局見つかって差押えされてしまう上,正直に回答すれば受けないはずの制裁も受けることにもなります。
そのため,財産開示手続に正直に答える親が増えるでしょう。
そうなれば,銀行や市町村・日本年金機構への情報提供命令の手続きを利用するまでもないことになります。

もっと言えば,逃げ切れずどうせ差押えされるのならばと,自主的に養育費を支払う親も増えることと思います

また,民事執行法改正法施行前に取り決めた養育費,たまった養育費も,将来,改正法施行後の強い手続きで回収されることになります。
今からでも,このことを意識して,単なる書面での合意だけでなく,公正証書や調停調書などで養育費を取り決め,支払ってもらう側の親は請求をし,支払う側の親は意識をして支払いをしていくべきでしょう。

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