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未払い賃金請求で支払えないリスクを回避する企業の対策

会社(社長,企業側)としては,職員の賃金をしっかり支払っているつもりだったのに,未払い賃金,未払い時間外手当(残業代)の請求をされ,困っている,支払えないというご相談があります。想定外の賃金・時間外手当の支払いを避けるためには,企業としてどのような対策をしたらいいのでしょうか?
対策をしないと,どのような問題が起きるのでしょうか?

労働時間管理の必要性(企業・経営者の義務)

多額の未払い賃金の請求を受けるリスク(時効の延長)

最初に知っておくべきことは,令和2年4月より,未払い賃金について請求される金額の上限が増えていることです。

  • 未払い賃金を請求することのできる期間(時効によって消滅してしまう期間)が,それまでの2年から5年に延長されました(当分の間はその期間が3年とされています)。
  • この賃金請求を労働者がする場合,裁判になって,労働者が希望すると,裁判所が未払い賃金に加えて,付加金という制裁金の支払いを認めることができることになっています。この付加金についても,請求できる期間がそれまでの2年から5年に延長されました(当分の間はその期間が3年とされています)。

これによって,以前よりも長期間の未払い賃金の請求を受ける可能性があり,結果として,請求される金額も多額になることが予測されます。

企業(経営者,社長,事業主)の労働時間管理の義務

平成31年4月に改正法が施行された労働安全衛生法第66条の8の3において,企業(経営者,社長)が,職員(労働者・従業員)の労働時間を把握しなければならない義務が明確に定められましたので,まずは,その条文を紹介します。

事業者は,第66条の8第1項又は前条第1項の規定による面接指導を実施するため,厚生労働省令で定める方法により,労働者(次条第1項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

企業(経営者,社長,事業主)は,労働時間が一定の基準を超える職員(労働者,従業員)に対して医師による「面接指導」をしなければならないことになり,そのために,職員(労働者,従業員)の労働時間の状況を把握しておかなければならないことになりました。

以上によって,法律上の義務を果たすためにも,また,想定外の多額な未払い賃金の支払いを避けるためにも,「労働時間」を管理することが重要になっているのが分かります。

企業(社長,経営者)の具体的な労働管理の義務と方法

労働時間の状況の把握の対象者

これまでの通達や「労働時間の適切な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」でも,労働時間の管理をすることが求められていましたが,その主な目的は,時間外労働の割増賃金の支払いなどのためであり,「管理監督者」や「みなし労働時間制が適用される労働者」は対象とされていませんでした。

一方,今回,労働時間の管理を定めた労働安全衛生法は,企業で働くすべての「労働者の健康管理等」を推進していくための法律であるため,今回の改正で,これまで対象外となっていた「管理監督者」や「みなし労働時間制が適用される労働者」も対象となったことが大きな変更点として重要です。

平成30年12月の通達において,労働時間の状況を把握しなければならない対象者は高度プロフェッショナル制度が適用される従業員以外は,基本的にすべて対象とされています。

労働時間の記録の保存義務

未払い賃金を請求できる期間(時効消滅までの期間)の延長に伴い,把握した労働時間等の記録は,5年まで保存するように延長されています。

賃金台帳などの記録の保存期間が5年に延長(当分の間はその期間が3年になります。)されていますので,企業(経営者,社長,事業主)は記録の保存をしっかりとしましょう。

詳しい労働時間の資料を残していない場合には,労働者(従業員,職員)の記憶,計算に基づく労働時間での請求が認められてしまうことにもなりかねないので,注意しましょう。

具体的な労働時間の管理が問題となる事例

みなし労働時間制に関する事例(阪急トラベルサポート事件)

平成26年1月24日に出た最高裁判所判例,いわゆる「阪急トラベルサポート事件」で,「みなし労働時間制」の適用の有無が問題にされました。

結果としては,この事案では,「みなし労働時間制」は適用されず,労働時間を計算した上で,時間外,休日割増賃金を支払うよう命じられています。

したがって,企業としては,どのような「働き方」が「みなし労働時間制」の対象になるのかをできるだけ正しく理解をしておかないと,後に未払い賃金,時間外労働賃金,休日割増賃金を請求されることがありますので,本事案を参考にして,本当に対象になるのかどうかを再検討しましょう。

外回りの営業職,旅行の添乗員などで出張する仕事の場合など,労働時間の管理が難しいと思いますが,どのような場合に,「みなし労働時間制」が使えるのでしょうか?

この場合の企業側が出来る3つの対策,請求された場合の具体的対応法については,詳しくは,ブログ「営業職,出張でも割増賃金が必要?〜阪急トラベルサポート事件!」で記載していますので,参考にしていただけたらと思います。

この事案では,「みなし労働時間制」そのものが認められていませんが,仮に「みなし労働時間制」が認められたとしても,現在の労働安全衛生法を前提に考えると,労働者の健康確保のためにどちらにしても,「労働時間の状況の把握」は必要となります。

「新安全衛生法第66条の8の3に規定する労働時間の状況の把握とは,労働者の健康確保措置を適切に実施する観点から,労働者がいかなる時間帯にどの程度の時間,労務を提供し得る状態にあったかを把握するものである。」とされ,「みなし労働時間制」の適用者であるから正確な「労働時間数」は把握できないとしても,「労務を提供し得る状態にあった時間数」を把握することが求められていることに注意しましょう。

引き続き,多治見ききょう法律事務所では,企業(経営者,社長,事業主)が適切な労務管理,労働時間の管理をすることで,企業経営のリスクを回避し,良い職場環境の維持をするためのサポートをしたいと考えています。

岐阜県で企業の適切な労働時間管理・労務管理・良い職場環境の構築なら,多治見ききょう法律事務所(弁護士木下貴子)にご相談・ご依頼ください。

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