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遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)

最終更新日:2021年3月21日

遺言書に次のような疑問・お悩みはありませんか?

  • 私はずっと母の面倒をみてきたが,途中から兄(長男)夫婦が同居するようになり,母は遺言書で全ての遺産を長男(兄)に相続させる,と書いてしまった。私は,何も言えないのでしょうか…
  • 三男として,父の家業を手伝ってきたが,遺言書で全ての遺産を長兄(長男)が継ぐことになった。長兄(長男)とは喧嘩も多く,これから一緒に事業をしていく自信がない。遺産の一部をもらって,事業から離れたいのですが…
  • 遺言書はあったけれど,同居していた長男夫婦に言われて断れなかったのではないか,母(父)の真意ではなかったのではないかと思う。何か方法はないのでしょうか?
  • 父が,全ての遺産を兄(長男)に与えるという遺言書を残して死亡したけれど,母と兄(長男)夫婦との関係が悪く,今後,母を看ていってくれるのか心配だ。
  • 遠方でほとんど母(父)の面倒を看ていなかったのに,「長男だから」「遺言書があるから」という理由で,当然のように全ての遺産をもらっていくことが許されるのでしょうか?
  • 遺言書があるからということで,全く遺産の説明もしてくれない兄(長男)に対して,遺留分侵害額請求を考えていますが,初めてのことでよくわかりません。

こうしたときのための権利が「遺留分侵害額請求権」です。
(2019年6月30日以前に死亡した方の相続では法改正前の「遺留分減殺請求権」となり,この記事の内容とは異なります。詳しくは当事務所にお尋ねください。)

遺留分侵害額請求の効果(概要)

生前贈与,遺言によって,全く遺産がもらえなかった相続人,又は,遺産をもらえても他の相続人に比較してとても少なく「遺留分」に相当する遺産を取得できない相続人は,遺留分侵害額請求をすることによって,不足分を金銭で支払うよう請求することができます

遺留分とは

遺留分とは,自分の財産(遺産)は自由に処分できるという原則の例外にあたる,相続人の最低限相続できる持ち分のことです。
例えば,冒頭の疑問のように,父の遺言があって,長男にすべて相続させると書かれていた場合,何もしなければ妻(母)や他の兄弟は,父の財産をまったく相続できません。
そのときに,相続できなかった他の相続人には,冒頭のような不平等感や不信感,今後の生活への不安が生じます。
法律(民法)では,このような相続人の期待が完全に裏切られることがないよう,財産を自由に処分できるという原則と調整する制度として「遺留分」を定めています。実際には,「父」名義の財産(遺産)であっても,夫婦が協同して貯めた預金であったり,子どもが家業を手伝ってくれたり,介護をしてくれたおかげで残せた遺産である場合も多いので,完全に自由な処分ができることを制限している側面もあると思います。

遺留分侵害額請求ができる人(請求権者)

遺留分は,法定相続人に与えられています。ただし,兄弟姉妹・甥姪には遺留分はありません。

  1. 配偶者
  2. 直系卑属(子。先に死亡している子があるときは,そのさらに子……)
  3. 2の該当者がないときは父母
  4. 3の該当者もないときは祖父母

遺留分の計算方法

遺留分は,権利者全員分で計算します。直系尊属のみが法定相続人のときには3分の1,それ以外のときは2分の1となっています。
遺留分の権利を有する法定相続人が複数ある場合には,各自の遺留分は,法定相続分で按分した割合になります。
つまり,1000万円の遺産,相続人が妻と子2人のとき,妻の遺留分は1000万円×2分の1×2分の1=250万円,子ども達は1000万円×2分の1×2分の1×2分の1(子が2人のため)=125万円となります。

言い換えますと,妻(夫)と子供が相続人の場合は,元の相続分の半分,父母(祖父母など直系尊属のみ)が相続人の場合は,元の相続分の3分の1が遺留分になる,ということになります。

もう少し正確・詳細に説明しますと,以下の計算式となります。

「A×B」の額が遺留分の額であり,遺留分侵害額として請求できる金額は「A×B−C+D」となります。

A
遺留分算定の基礎となる財産額
=(被相続人が相続開始時に有していた財産の価額)+(生前贈与された財産の価額※)−(相続債務の額)
※生前贈与については,計算に含める範囲が法律で定められています
B
遺留分の割合
=1/2×(法定相続割合:配偶者・子2分の1)
  直系尊属のみが相続人である場合は「1/3」
C
遺留分権利者の取得財産額(遺言・生前贈与等でもらった額)
D
相続債務のうち遺留分権利者が負担しなければならない額

遺留分算定の基礎となる財産額

先のA記載の通り,死亡時に存在した「遺産」だけでなく,それ以前に生前贈与された場合(遺産の前渡しと考えます)も,遺留分算定の基礎となります。
ですから,生きている間に財産を全部贈与してしまったら,遺留分がなくなってしまうんじゃないか……ということはありません。相続人に対して婚姻,養子縁組のため,若しくは生計の資本として贈与をした場合には,相続開始前10年間になされた贈与は,遺留分算定にあたって考慮されることになっています(遺留分権利者に損害を与えることを知ってなされた贈与は,10年以上前でも考慮されます)。相続人以外の方については,相続開始前1年間になされた贈与,遺留分権利者に損害を与えることを知ってなされた贈与が算定にあたって考慮されます。
負債(借金)については,「遺産の一部」となるので,正の財産から差し引いて算定します。

遺留分侵害額計算の具体例

以上を踏まえて,以下の事例で具体的に計算してみましょう!

父母と子ども3人(長男・二男・長女=ご本人)で,亡くなったお父さんが同居していた長男に全遺産2億4000万円を相続させる遺言書を作成していた場合。二男はお父さんが亡くなる7年前に事業資金として2000万円を,長女(ご本人)は30年前に結婚資金として100万円を,それぞれもらっています。長女(ご本人)は,長男である兄に対していくらの遺留分減殺請求ができるでしょうか。父には,負債も2000万円ありました。
A
遺留分算定の基礎となる財産額 =2億4000万円(父の遺産)+2000万円(二男の贈与分・10年以内なので加算)−2000万円(父の債務)=2億4000万円
B
遺留分の割合 1/2(遺留分割合)×{1/2×1/3(子の相続分2分の1÷子ども3人分法定相続割合)}=1/12(元々の相続分の半分というイメージです)
C
100万円(生前贈与を受けた額)
D
0円(長男に全遺産を相続させる遺言の場合,負債も長男に全部負担させる意味となりますので,長女の負担はありません)

A×BーC+D=2億4000万円×1/12−100万円+0円=1900万円

(遺留分は,長女が生前贈与を受けた100万円を差し引く前の2000万円となります)

遺留分侵害額請求の相手方

遺言により遺産を受け取った人のうち,(生前贈与と合わせて)遺留分を超える遺産を受け取った人が相手方になります。

前の事例では,二男さんは遺留分2000万円の範囲でしか取得していないので,相手方となりません。遺留分を超える遺産を受け取った長男が相手方になります。長女は,長男に対し,遺留分侵害額の1900万円を請求できることになります。

遺留分侵害額請求の順序

  1. 遺産(遺言による相続・遺贈)
  2. 生前贈与
    遺留分を取り戻し切れないときは,取り戻せるまで,生前贈与を受けた人を新しい贈与(一番最後に贈与した分)から順に遡っていきます。

遺留分侵害額の権利の行使方法・注意点

1 遺留分侵害額請求をなすことを通知する

通知方法

通知先
遺留分侵害額請求の相手全員に通知をします。遺留分侵害額の計算式がはっきりせず,相手がわからないようなときは,念のため全員に通知します。
期限
被相続人が死亡した後,遺留分が侵害されていることを知ってから1年以内
通知の方法
口頭でも普通郵便でも権利行使できますが,証拠が残るように内容証明郵便で通知するのが安全です。
通知事項
被相続人を特定して,遺言による遺産分割方法の指定,遺贈,生前贈与につき,遺留分侵害額請求をすることを記載します。この時点では請求金額を書く必要はありません。

行使した場合の具体的効果

遺留分侵害額請求権を行使すると,行使された相手にその行使を受けたときに金銭の支払い義務(金銭債権・金銭債務)が発生します。

権利行使の限界

財産の額の評価方法は,法律では決まっていません。(ですから,前の例で遺産が2億4000万円と書きましたが,実際には,その金額が不明確な状況から問題がスタートします。)
財産の評価方法などに見解の相違があると,遺留分侵害額請求権の行使によって,何円の金銭債権が発生しているのか意見が異なることになります。
遺留分の計算の元になる生前贈与の有無についても見解の相違が生じることがあります。
これらの問題を解決していかなければなりません。

2 交渉・調停をする

このような問題の解決のため,支払金額を定める交渉(協議)をします。

交渉でまとまらないときには,家庭裁判所の調停をします。
遺留分侵害額請求調停は,家庭裁判所で行います。相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に調停を申し立てることになります。

交渉や調停では,金銭の支払いの代わりに遺産の内の特定の財産を渡す内容で合意が成立することもあります。

3 調停が成立しないときは訴訟をする

調停がまとまらず,不成立となった場合には,訴訟(裁判)をすることになります。

財産の価格に争いがあるときには,裁判所が鑑定人に鑑定させます。不動産の価格の鑑定人には不動産鑑定士が就任することが多く,未公開株式の価格の鑑定人には税理士・公認会計士が就任することが多いです。こうした場合,鑑定費用が必要となります。
訴訟になってからも,金銭の支払いの代わりに遺産の内の特定の財産を渡す内容で和解が成立することがあります。
判決になるときは,金額を定めて金銭を支払うことを命ずる判決がなされます(他の財産を渡す判決にはなりません)。遺産が不動産ばかりですぐに金銭を用意することが難しいというようなときは,請求される側は,裁判所に支払期限の猶予を求めることができます。支払期限の猶予を認めるべきかどうかについても,裁判所が判断し,判決で示します。

遺留分侵害額請求を弁護士に依頼する必要性

遺留分侵害額請求は,1年という限られた期間内に,正しく遺留分侵害額請求の通知をした上,交渉・調停を要する手続きです。また,裁判になった場合の見通しの判断も必要となります。
専門家である弁護士にお任せください。

多治見ききょう法律事務所の遺留分侵害額請求手続サービスの費用

いずれについても,遠方出張を要するときには,出張毎に日当をいただきます。

法律相談

初回相談料
無料(45分まで)

遺留分侵害額請求通知・交渉・調停(実費別)

着手金(消費税込)

遺留分侵害額請求の権利の額の基準に計算します。

3000万円以下の場合
5.5%+9万9000円(計算した額が38万5000円未満のときは38万5000円)
3000万円を超える場合
3.3%+75万9000円

報酬金(消費税込)

得られた財産の額を基準に計算します。

300万円以下の場合
17.6%
300万円を超え3000万円以下の場合
11%+19万8000円

3000万円を超える場合
6.6%+151万8000円

遺留分侵害額請求訴訟(実費別)

着手金(消費税込)

遺留分減殺請求の権利の額の基準に計算します。

3000万円以下の場合
5.5%+9万9000円(計算した額が49万5000円未満のときは49万5000円)
3000万円を超える場合
3.3%+75万9000円

交渉・調停から引き続きのご依頼のときの第1審の分は半額。
控訴審・上告審では,審級毎に改めて着手金をいただきます。

報酬金(消費税込)

得られた財産の額を基準に計算します。

300万円以下の場合
17.6%
300万円を超え3000万円以下の場合
11%+19万8000円

3000万円を超える場合
6.6%+151万8000円

控訴したとき,控訴されたときに,引き続き控訴審もご依頼のときには,最終の結果のみに対し報酬金をいただきます。(上告も同様)

遺留分侵害額請求の相談の方法

相談は予約制です。電話またはメールにてご予約ください。

電話予約する女性

ご予約

電話またはメールにてご予約ください。

電話番号

0572-26-9852 受付時間 平日・午前9時15分〜午後5時

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tajimi.law@gmail.com
弁護士による法律相談

面接相談

相談室にて,弁護士がご相談に応じます。

遺留分侵害額請求相談要項

相談場所
岐阜県多治見市大日町21 大日ビル3号
多治見ききょう法律事務所相談室(アクセスマップ
営業時間(相談時間・予約電話受付時間)
平日(月〜金)
  (祝日を除く)
午前9時15分〜午後5時  
初回相談料金
無料(45分まで)
2回目以降の相談料金は弁護士費用のページをご覧ください。
相談担当弁護士
弁護士木下貴子
予約電話
0572-26-9852
予約専用メールアドレス
tajimi.law@gmail.com
メールでのご予約の際は,次の事項をご記入下さい。
  1. 「遺留分侵害額請求の相談の予約」であること
  2. 相談者ご本人のお名前(ふりがな)・ご住所
  3. 相談者ご本人の連絡先(こちらから掛けても差し支えない電話番号)
  4. 亡くなった方(被相続人)の氏名・住所
  5. 亡くなった方と相談者ご本人の続柄
  6. 相手方の氏名(ふりがな)・住所,亡くなった方との続柄
  7. 相談ご希望の日時
こちらから都合を返信致します(当事務所の営業時間外に頂いたメールは営業時間になってからご返信致します)。双方の都合が合致した時に予約完了となります。

遺留分侵害額請求についてよくある質問

Q 父が死亡したとき,財産もありましたが,銀行からの借金もありました。兄に全ての財産を相続させるという遺言が残っていたので,遺留分侵害額請求をしたいのですが,借金はどうなりますか。
A 遺言に関係なく,銀行は,相続人に対し,法定相続分の割合で支払うよう請求することができますので,銀行がお兄さんだけが借金を負うということを認めてくれないときには,あなたも請求を受けることがあります。全ての財産をお兄さんに相続させるという遺言は,通常,財産も借金もお兄さんに負わせるという趣旨ですので,お兄さんとあなたとの間ではお兄さんが全責任を負う関係になります。あなたが,銀行に返済をしなければならなくなったときには,返済した後に,返済した分をお兄さんに対して支払うよう請求できます。遺留分侵害額の計算の時点で借金の額を差し引きますので,遺留分侵害額請求により借金の負担が変わることはありません。銀行に借金を返さなければならなくなる可能性はありますが,その借金分を先にお金でもらうことはできません。
Q 亡父と同居していた兄が,認知症だった父の預金を,父の生前に払戻してしまって,父の財産はほとんど残っていません。父の遺言書はありません。遺留分侵害額請求をすべきでしょうか。
A 認知症により,お兄さんの払戻がお父様の意思に基づかず,「無効」といえる場合には,兄に対して損害賠償請求や不当利得返還請求で取り戻すことが考えられます。もっとも,裁判で「無効」と認めてもらえない場合も想定し,念のため,遺留分侵害額請求をしておいた方がいいでしょう。
Q 弟が父の遺言書を見せてくれましたが,弟に遺産全部を与えるという内容になっていました。父がそんな遺言を書くはずがなく,筆跡も不自然です。偽造された遺言書は無効と聞きましたので,遺留分侵害額請求をしなくてもいいのでしょうか。
A 遺言書が「偽造」により無効の場合には,遺言書がなかったものとして相続することができます。しかし,「偽造」かどうかの立証も難しい場合もあるので,念のため「遺留分侵害額請求」をしておくことをお勧めします。
Q 遺留分を計算するときに,不動産はどのように金額評価するのですか。
A 固定資産評価額,相続税評価額(路線価)ではなく,時価です。時価を正式に評価する場合は,不動産鑑定士による評価がなされます。簡易な評価として,固定資産評価額×10/7または,路線価×10/8を時価と考えたり,争いのない場合には,固定資産評価額を時価として金銭評価する場合もあります。遺留分の計算をする場合の「評価の基準となる時期」は,相続の開始時(被相続人の死亡時)となるので,生前贈与された不動産も,相続の開始時の価格で算定します。
Q 父が,財産をどんどん兄に贈与しており,このままではほとんど財産が残らないと思います。私にも遺留分の権利があると聞きましたが,父が生きている間に贈与をやめさせることはできないでしょうか。
A できません。お父様が,自分の財産をどのように利用・処分するかは自由であり,将来相続人になる立場の人(推定相続人)は手出しできません。遺留分の権利は,お父様の死後に相続人になった者が行使できる権利となります。

岐阜県東濃(多治見市,土岐市,瑞浪市,恵那市,中津川市)・中濃地域の遺留分侵害額請求で,弁護士をお探しなら,多治見ききょう法律事務所(弁護士木下貴子)にご相談,ご依頼ください。

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  • (岐阜県弁護士会所属)

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