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面会交流の間接強制

父親と母親が,子どもの面会交流の方法について話し合いができない場合には,家庭裁判所の調停手続で,合意をめざすことになります。
調停で合意ができない場合には,家庭裁判所の審判によって,裁判官に会い方を決めてもらうことになります。

強制執行としての間接強制手続

調停や審判で定まった面会交流のやり方が守られない場合には,どうしたら良いのでしょうか。
子ども自身が会おうとしない場合は子どもにも自由がありますので無理強いはできませんが,監護している親(同居親)が会わせないようにしている場合には,強制執行の手続があります。

強制執行といっても,裁判所職員や執行官が子どもを家から連れ出して会わせるというわけにはいきません。調停・審判に違反して会わせない場合には制裁金を課するという命令を裁判所に出してもらう間接強制という手続になります。
間接強制は,1回会わせないと5万円というような,プレッシャーの大きい金額になります。

間接強制の手続き

面会交流の間接強制は,調停・審判どおりの面会交流の実施を求める別居親(非監護親)側が家庭裁判所に申し立てたときに,同居親(監護親)側の意見も聞いて,裁判官が審理し発令するものとなっています。

家庭裁判所の面会交流間接強制手続の流れ

面会交流の調停・審判全てで間接強制ができるわけではなく,調停・審判には,間接強制ができるものとできないものがあります。

間接強制ができる場合の判例

最高裁判所が示した基準

間接強制には,違反したか違反していないかがはっきりと判別できるような調停・審判が存在していることが必要です。平成25年3月28日に,最高裁が,どのような場合に間接強制ができるかの判例を示しました。次のとおりとなっています。

面会交流の日時又は頻度,各回の面会交流時間の長さ,子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は,監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。

間接強制が認められなかった例(1)

1箇月に2回,土曜日又は日曜日に,1回につき6時間面会交流をすることを許さなければならない
という程度では間接強制は認められませんでした。

間接強制が認められなかった例(2)

① 母は,父に対し,長男と,2箇月に1回程度,原則として第3土曜日の翌日に,半日程度(原則として午前11時から午後5時まで)面接をすることを認める。ただし,最初は1時間程度から始めることとし,長男の様子を見ながら徐々に時間を延ばすこととする。
② 母は,前項に定める面接の開始時にa県b市のc通りの喫茶店の前で長男を父に会わせ,父は終了時間に同場所において長男を相手方に引き渡すことを当面の原則とする。ただし,面接交渉の具体的な日時,場所,方法等は,子の福祉に慎重に配慮して,父母間で協議して定める。
③ 父と母は,上記①に基づく1回目の面接交渉を,平成22年1月末日までに行うこととする。
④ 父と母は,二男については,将来的に長男と同様の面接交渉ができるようになることを目標にして,面接交渉の是非,方法等について協議する。なお,この協議は,本調停成立日の1年後を目安として始め,その後は二男の成長に配慮しながら適宜行い,双方は,二男の面接交渉の開始に向けて真摯に協力することとする。
でも,間接強制は認められませんでした。

間接強制が認められた例

①面会交流の日程等
 月1回,毎月第2土曜日の午前10時から午後4時までとし,場所は,長女の福祉を考慮して父の自宅以外の父が定めた場所とする
②面会交流の方法
 長女の受渡場所は,母の自宅以外の場所とし,当事者間で協議して定めるが,協議が調わないときは,JR甲駅東口改札付近とする
 母は,面会交流開始時に,受渡場所において長女を相手方に引き渡し,相手方は,面会交流終了時に,受渡場所において長女を抗告人に引き渡す
 母は,長女を引き渡す場面のほかは,父と長女の面会交流には立ち会わない
③長女の病気などやむを得ない事情により上記①の日程で面会交流を実施できない場合は,父と母は,長女の福祉を考慮して代替日を決める
④ 母は,父が長女の入学式,卒業式,運動会等の学校行事(父兄参観日を除く。)に参列することを妨げてはならない
では,間接強制が認められました。

最高裁判所の判例の意義

裁判所で決まったことを守らなくてもいいというのでは,紛争を解決する裁判所の意味がありません。多くの方から面会交流で決まったように会わせてもらえない,とご相談を受けてきましたが,この最高裁判所の判例前は,なかなか強制執行することは難しいですというお話をしていました。かなり限定された場合とはなりますが,裁判所の調停・審判で決まったことを守らない場合に,制裁がなされることがはっきりとしたことは,良いことと思います。
しかし,根本的には,強制されるから面会交流をさせる,強制されなければ面会交流させないという話ではなく,両親は,「子どもの本当の幸せのために」面会交流をするのか,しないのか,する場合にはどのような方法が子どもの幸せにつながるのか,という視点で調整するように行動することが必要です。
近時は,間接強制の実施によって柔軟な調整がされなくなり,両親が以前に決めたとおりに面会交流をすることになって,お子さんが大きな負担を感じてしまっているケース,その結果別居親に対しての否定的な感情を生じてしまっているケースも少なくないと感じています。
子どもの年齢,状況,気持ち,健康状態は日々変わっていくものですし,その日の体調や気持ちによっても違うものです。一度決めた合意を守らせる,という視点ではなく,その時の状況に応じて,子どもの幸せに繋がる面会交流を考えることが,お子さんの負担を減らし,お子さんとの面会交流を長く継続していくために重要だと思います。

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