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「裁判所HPより詳しい離婚調停解説」連載の第15回
など,離婚調停の関係者や,離婚調停の流れに関するご質問が多くあります。
そこで,今回は,次の順序で,離婚調停に登場する裁判所職員をご説明した上で,離婚調停の期日に家庭裁判所庁舎に到着したところからの離婚調停の流れをご説明します。
裁判所の許可をいただき,最高裁判所作成「家庭裁判所のあらまし」にある写真を転載しました。
調停室に調停関係者がフルに入ると,この写真のようになります。
この写真は,実際の調停室の様子よりも仰々しくて怖いイメージのものになっています。
また,この写真に登場している関係者全員が一緒に調停室に入ることは実際にはほとんどありません。当事者が2名登場していますが,離婚調停の場合,夫,妻が別々に調停室に入って,調停委員に話すのが原則です。多くの関係者が同時に調停室に入るのは,調停の合意が成立したとき,一番最初に手続きの説明をする場面ぐらいです。
調停に関わる裁判所関係者は次の通りで,これらの人が調停室に現れることがあります。
家庭裁判所では,離婚調停の当事者が来ているかどうかを把握し,手続きを進めます。
そのため,家庭裁判所庁舎に到着したら,離婚調停の当事者(申立人・相手方)は,家庭裁判所の書記官室に行って,受付をする(来たことを伝える)必要があります。
大都市以外の裁判所では1つの建物内に地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所が同居しています。
裁判所の規模によって,全部まとめて1個の書記官室しか無い裁判所もあれば,家庭裁判所の書記官室だけでも複数ある場合があります。
家庭裁判所は,家事事件と少年事件を取り扱っており,家事事件の中に訴訟(人事訴訟)と家事調停・家事審判があります(家事調停・家事審判だけを「家事事件」と言うのが正確との考えもあるところですが,家庭裁判所では担当職員も場所も大きく「家事」と「少年」に分かれていますので,このような理解がわかりやすいと考えています)。書記官室が複数ある場合,めざすべき場所は,「家庭裁判所」の「家事」の「調停」の書記官室です。
多治見の裁判所の場合, 階段で2階に上がると真正面が家事調停の受付になっています。
書記官室に着いたら,調停に来たこと,離婚調停の事件番号,申立人か相手方か,氏名を伝えましょう。
裁判所職員から,その後の行動について指示があります。控え室で待つよう指示されることが通常です。控え室は複数ありますので,どの控え室を使うかについても指示があります。(以前は「申立人控え室」「相手方控え室」という名称が付いていましたが,最近は「控え室A」「控え室B」といった名称になってきています。)
申立人と相手方の控え室は別々ですが,受付場所は同じです。控え室に着くまですれ違う可能性がありますが,離婚調停の場以外で話をすることは避けましょう。多治見の裁判所の場合,申立人と相手方控え室が近くにありますので,顔を会わせたくない場合には,早めに来るなどの注意をしましょう。相手方から暴力をふるわれるおそれがあるなど特別な事情がある場合には,予め裁判所に相談をして下さい。
控え室(待合室)は,裁判所によって造りが異なりますが,長いすが沢山あって,ベビーベッドが置いてあるという程度の部屋です。
同じ時間帯に複数の調停が行われていますので,同じ控え室にいろいろな調停当事者が待つことになります。
家庭裁判所の調停は,離婚調停・養育費調停など夫婦・元夫婦間の調停と,遺産分割調停など相続人間の調停がほとんどです。
控え室に集まる方は,こうした調停の当事者・家族・代理人弁護士です。
控え室で待っていると,調停委員の1人が呼びに来ます。最近は,氏名で呼ばす,番号札の番号や事件番号で呼ぶシステムになっている家庭裁判所が多くなっています。そのような家庭裁判所の場合は,自分の番号をしっかり覚えておきましょう。
調停室の写真1(裁判所ウェブサイト)
調停室の写真2(裁判所ウェブサイト)
調停委員に案内されて調停室に入ることになります。
調停室には当事者(申立人・相手方)本人と代理人弁護士しか入れてもらえません。
第1回調停期日の最初には,調停室で,申立人と相手方が同席し,裁判所から調停手続の説明がなされるというのが原則ルールとなっています。
説明は数分で終わります。
調停室に入ったら「よろしくお願いします」,裁判官が入ってきたときに(椅子に座っていたとしても)立ち,裁判官がテーブルの真ん中にたどり着いたら礼をしましょう(裁判官が「おはようございます」とおっしゃったら,あいさつで返しましょう)。
手続説明のために同席しただけです。手続説明の場にふさわしくない言動は印象を悪くします。離婚調停の相手に言いたいことがあっても言ってはいけません。離婚調停の相手を睨み付けるのも印象はよくありません。同席するとパニックになるなど,どうしても同席ができない場合には,あらかじめ同席したくないことを裁判所に伝えておけば配慮をしてくれることが多いです。
第1回調停期日で,手続きの説明が終了すると,申立人が調停室に残され,相手方は控え室で待つことになります。
その後の調停手続では,申立人と相手方が交代で調停室に呼ばれて,裁判所の関係者(ほとんどの場合調停委員2名だけ)と話をします。申立人・相手方同席で行うこともできることになっていますが,現在のところ,離婚調停の途中の手続きを同席で行うのはまれです。
約30分で交代し,申立人・相手方が2回ずつ話をして合計2時間程度というのが,1回の調停期日の基本パターンになります。
しかし,基本パターン通りに行かないことも多く,無茶なことを言っている当事者の説得に連続1時間以上が費される,裁判所の指示通りに予め書類を出すことをしていない当事者からの聞き取りに長時間が費される,ということもあります。
逆に,その調停の回にやることがほとんどなく,すぐに終わってしまうということもあります。
したがって,午前10時頃からの調停は正午頃までかかる場合があり,午後1時過ぎからの調停は午後5時頃までかかる場合があることを想定して,予定を組んでおいた方がいいです。2時間後には予定が入っている場合などには,予め「○○時には退出しなければいけません」と伝えておくと良いでしょう。
もっとも,第1回離婚調停期日は,申立人・相手方の双方が出席している場合,基本パターンで進むことが多いです。
自分の話を聞いてもらっていない時間は控え室で待機します。
相手が調停委員と話している時間だけでなく,調停委員が裁判官・家事調停官と打合せをしている時間もありますので,裁判所にいる時間の半分以上の時間を控え室で過ごすことになると思って下さい。裁判官・家事調停官は,同じ時間帯に沢山の家事調停を掛け持ちしていますので,調停委員も順番待ちで打合せをすることになります。その結果,調停の当事者は長時間待たされることにもなります。
待ち時間が30分を大きく超えそうなときにそのことを説明しに来てくれる調停委員もいますが,何も知らされないまま1時間以上待たされるということも珍しくありません。
時間を持て余しますので,本や雑誌を読んだりスマホを触ったりして過ごすのが良いでしょう。合計で1〜2時間の待ち時間もありうると思っておいた方がよいです。
トイレが近い方は,自分の番が終わって,相手が調停室に入った頃に,トイレに行っておくことをお勧めします。
時間が来たり,準備をしてこなければ話合いを進められないような状態になったら,その日の調停を終えて,続きは次回ということになります。
担当の裁判官・家事調停官が家事調停を行っている曜日・時間帯の中で,調停委員の予定が合い,裁判所の調停室が空いている日にしか次回の調停期日は行えません。
双方の当事者や代理人弁護士の都合も聞いて,次回の調停期日が決まります。
申立人の話が終わった後に,次回の調停期日を調整して,申立人は先に帰ることを許され,相手方が調停委員と話をするというやり方,あるいはその逆のやり方,がよく見られます。(帰りに,相手に遭遇しないための配慮,という側面もあります)
その日の終わりに,申立人・相手方共に調停室に入って,その日の結果と次回調停期日までの準備内容の確認を行って解散というやり方をしている家庭裁判所もあります。
双方に代理人弁護士がついている場合,双方の代理人弁護士と調停委員だけが調停室に入って,次回期日の調整,その日の結果と次回までの準備内容の確認をすることもあります。
(弁護士 木下貴子)
弁護士木下貴子が,このページ「離婚調停期日の流れと関係者」をYouTubeでお伝えしています。
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