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最終更新日:2024年6月30日
離婚調停を自分で進める方法を,弁護士木下貴子(弁護士歴24年)が25回の連載記事「裁判所HPより詳しい離婚調停解説」でお伝えしていきます。
まずは,離婚調停の流れのイメージをつかみ,何からどのように準備するかという準備手順,離婚調停の場所・時間,必要な費用を知ることで,不安をなくしましょう。2万人が利用した無料アドバイスブックのご案内もしていますので,参考にしてください。
連載第1回「離婚調停とは?−離婚調停の準備手順・費用・場所・開催時間」では,次の項目を解説します。
離婚調停は,夫婦間で離婚の話し合い(協議)ができないとき,進まないときに,裁判所に間に入ってもらって,離婚するかどうかや,その条件を話し合う手続きです。
離婚調停は,正式には,夫婦関係調整調停と言います。夫婦関係調整調停は,離婚しようという場合だけでなく,円満を目指す場合もありますが,夫婦関係調整調停の中で,離婚を望んで申し立てるものを,一般に「離婚調停」と呼んでいます。離婚調停は,家庭裁判所の調停(家事調停)の一つになります。
岐阜家庭裁判所多治見支部の「家事調停のご案内」では,家庭裁判所の調停(家事調停)について,次のように説明されています。
家事調停とは,夫婦,親子,親族などの間のもめごとについて当事者が話し合い,合意によって紛争を解決する制度です。裁判官と調停委員で構成される調停委員会が主催します。
調停委員は,公平,中立な立場で双方からお聴きした事情等について,話合いを進めるために,双方に対し,必要な事項をお伝えしますので,相手の意見等を踏まえて,各自の意見を十分に検討していただくことが重要です。
家事調停は,訴訟のように公開の法廷ではなく,非公開の調停室で行いますから,調停室でのやり取りを正当な理由なく外部に伝えることは認められません。また,調停委員には守秘義務がありますから,当事者から聴いた内容について,話合いのために必要な事項を相手に伝える以外に,外部に公表することはありえません。
岐阜家庭裁判所多治見支部「家事調停のご案内」より引用
離婚調停では,離婚調停を申し立てた人のことを「申立人」,申し立てられた人のことを「相手方」といいます。
このような離婚調停ですが,
離婚調停は,調停を申し立てる側が,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てて,その裁判所で調停手続が開始されるのが原則です。
離婚調停を申し立てると,調停期日が繰り返され,最終的に,調停成立・調停不成立(「不調」といいます)・取下げで終了になります。
合意ができないときには,調停不成立で終了するか,取下げで終了するのが通常です。
この場合,離婚するためには,改めて裁判(訴訟)を提起しなければなりません。
しかし,裁判所が,審判をするのが相当と認めた例外的な場合に,不成立とせずに,審判をすることがあります。
この他に,裁判所が,調停をすること自体を不適切と判断して,「調停をしない」ものとして終了させることが,まれにあります。また,夫婦の一方が死亡したときには,自動的に終了となります。
調停の申立てがなされると,裁判所は,調停を行う日を決めて,申立人と相手方を呼び出します。申立てからだいたい1〜2ヶ月先の日が指定されます。
(年末年始,お盆といった裁判官が休暇を取る時期や,裁判官の転勤の時期にかかると,日数がかかります。)
離婚調停は,裁判官(または「家事調停官」という非常勤裁判官)1名と調停委員2名の調停委員会が主催して行います。調停委員は男女1名ずつという運用です。
裁判官は,事前打合せをした上で,実際の調停の進行を2名の調停委員に任せています。
裁判官の人数は少なく,ずっと調停の席にいる時間的余裕もないので,調停が成立する場面,不成立で終わらせる場面といった手続の最終場面のほか,裁判官自ら調整する必要があるときにのみ,裁判官が現れることが多いです。
離婚調停では,通常,夫婦が別々の控え室に待機し,調停委員が呼びに来て,交代で調停室に入って話をします。夫婦間の暴行のおそれがあるときは,夫婦を通常の控え室ではない別々の部屋(調停室)に待機させて,調停委員が移動するということがあります。
1回の調停の時間は概ね2時間です。ただ,長引くこともあり,特に午後には,午後1時30分ころ開始で午後5時すぎまでかかることもあります。
30分程度を目安に交代して調停室で話をし,これを2往復程度することが多いですが,話の内容などによっては片方の当事者に長く話を聞くこともあります。
離婚調停は,1ヶ月半~2ヶ月に1回程度のペースで手続きが進みます。裁判官の休暇,転勤の時期を挟むときには,間が空くことがあります。
離婚することと離婚条件に合意ができれば,調停委員会の3人,双方当事者,裁判所書記官が立ち会って(同席して),合意内容を確認します。これも,暴行事件のおそれがあるときは,別のやりかたで合意内容の確認がなされることがあります。双方が,その内容で調停を成立させることに間違いないと確認して,調停成立です。
合意内容は,裁判所書記官が,調停調書という公文書に記載します。
離婚を合意したときは,調停成立のときに,夫婦関係の解消(離婚成立)になります。
この調停調書には,裁判所における訴訟の判決と同一の効力があります。
そのため,養育費,財産分与など調停で金銭の支払いの合意をした場合,約束したのに支払いがないときは差押えができます。また,不動産の名義移転を約束したときは,不動産を渡す側の捺印がなくても,もらう側が単独で法務局で名義移転の手続きをとることができます。
離婚調停の流れがイメージできましたか?
次に離婚調停に向けて,あなたが準備すべきことを,もう少し具体的に確認しましょう。
離婚調停を,効率良く,必要な準備を見落とさずに進めるには,段階毎に必要な準備を理解し,進めていくことが大切です。
離婚調停の段階は,大きく分けると次の5つになります。各段階に必要な準備を見ていきましょう。
全25回の「裁判所HPより詳しい離婚調停解説」連載では,申立ての準備から離婚調停成立まで,離婚調停で不利にならないために必要な準備,注意点をお伝えしています。
弁護士を付けずに1人で離婚調停を進めようと考えている方が,予備知識がなくても,失敗せずに準備できるよう,詳しく解説しています。
弁護士を付けずに離婚調停をしようと考えていらっしゃる方は,ダイジェストで各記事の記載内容を確認の上,ご自身に関係のある記事を読んでいただければ,漏らすことなく必要な準備ができます(このダイジェストのページでは,一番不安を感じる離婚調停に参加するために裁判所に出頭した際に最初にどこで受付をするのか,どこで待っているのか,調停室での調停はどのように行われるか,について動画での解説もしています。)
連載記事は,調停の流れにしたがった時系列順になっていますので,順番に読むと理解しやすいでしょう。
しかし,連載全部を読むには時間がかかります。そのため,このページでは,時系列順に大事なポイントだけをお伝えします。全体像をつかむことで,何からどのように準備をしたらいいのか迷うことなく,安心して進めてほしいと思います。
各場面の必要な準備の詳細を知りたい場合に詳細の解説ページを開けるようにリンクを張りましたので,詳細を知りたい場合には,リンク先をご覧ください。
離婚調停の申立書の作成をするにあたり,予め次の4項目については調査し,書類を取り寄せておかないと作成に支障が生じます。
そのため,次の4項目については,予め調査し,書類を準備しておきましょう。
離婚調停申立書本体の書式は全国共通ですが,付属書類の書式が裁判所により異なります。
また,弁護士の事務所から裁判所への移動時間が長いほど,弁護士に依頼を受けてもらいにくくなり,依頼を受けてもらえる場合でも弁護士費用が高くなります。
そのため,まず,管轄裁判所を確認しておくことが必要になります。
連載第4回「離婚調停申立をする管轄裁判所の確認」 の記事もご活用の上,確認してください。
弁護士に依頼をすれば,年金分割請求をすべきか,婚姻費用分担請求をすべきかについても,アドバイスと支援を受けられます。
また,離婚調停申立書の作成・提出も,依頼者と打ち合わせた上で,弁護士が行います。
そのため,弁護士に依頼するかどうかを早めに決めておくと,申立て準備の無駄を省くことができます。
連載第5回「離婚調停を弁護士に頼むべきか?そのメリットと弁護士費用」の記事もご活用の上,検討してください。
離婚調停で年金分割請求をするときには,「年金分割のための情報通知書」を手に入れて,離婚調停申立書に付けなければなりません。
離婚調停申立に必要なものの中で,この書類が,手に入れるまでに最も日数を要します。
そのため,離婚調停申立書作成にとりかかる前に,年金分割請求をするかどうかを決め,請求するというときには,先に「年金分割のための情報通知書」を手に入れる手続きをしておくことが必要になります。
連載第6回「離婚調停で年金分割請求をするか?請求した方が良いのか?」の記事もご活用の上,検討してください。
離婚調停と併せて,離婚成立までの間の生活費(婚姻費用)を請求する調停(婚姻費用分担請求調停)を行うことがあります。
この場合には,離婚調停の申立書・必要書類・印紙などの他に,婚姻費用分担請求調停の申立書・必要書類・印紙なども用意する必要があります。
準備するならば,同時に準備した方が効率が良いので,離婚調停申立書の書式・必要書類の準備にとりかかる前に,生活費(婚姻費用)の請求をするかどうかを検討して,決めておくことが望ましいことになります。
連載第7回「婚姻費用分担請求調停を離婚調停と同時に申立てるか?」の記事もご活用の上,検討してください。
弁護士に依頼するのであれば,弁護士に事情を聞き取ってもらって,申立書や付属書類を作成し,提出してもらうことができます。戸籍謄本などの書類も取り寄せてもらうことができます。
弁護士に依頼しないときには,自分で書式・必要資料を入手し,有利に進められるような適切な記載をする必要があります。次の連載記事もご活用の上,準備してください。
親権,養育費,財産分与,慰謝料,面会交流など,どのような条件で離婚をするのかを決め,申立書に記載しましょう。
離婚調停は,希望が全て通るわけではありません。むしろ,全てが希望通りになるという場合の方が少ないでしょう。離婚調停が決裂したとき,その後に離婚裁判をすれば裁判官が判決で結論を出します。
希望通りにならないときに,離婚調停を決裂させて離婚裁判で結論を出した方が良いのか,離婚調停で合意した方がいいのかの判断基準を持って離婚調停に臨むべきです。
夫婦のことを何も知らない調停委員に間に入ってもらい,調整してもらうわけですから,最低限,調停委員の質問にスムーズに答えられるよう準備しておく必要があります。
調停委員に味方になってもらおうと思えば,その場で思いついたことを答えるのではなく,予め,調停委員を味方に付けられる話ができるよう,話す内容・話し方・順序を検討しておく必要があります。
離婚調停では,調停委員への「話し方」が大事です。
多治見ききょう法律事務所では,具体的な「話し方」のアドバイスブックを無料で欲しい方を募集しています。
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未成年の子供がいる夫婦の離婚調停では,裁判所から「親ガイダンス」の受講を促されることがあります。(親ガイダンスは,実施している裁判所と実施していない裁判所があります。)
基本的には受講をした方が良いプログラムですから,日程を調整してできるだけ早く受講しましょう。
親ガイダンスについては,連載補遺「親ガイダンスに行くべきか-講義内容と受講の必要性」の記事もご覧ください。
必要な持ち物を忘れたり,服装で損をすることがないよう,準備をしておく必要があります。
第1回調停期日までの準備については,連載第14回「第1回離婚調停期日までの準備,調停期日の持ち物・服装」の記事もご活用ください。
またの次の各記事も準備にご活用ください。
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あなたが,離婚調停を申し立てられた側の場合には,次の記事も参考にしてください。
離婚調停を申し立てられたけれど,離婚したくない,復縁したい,夫婦関係を修復したいというときには,次の記事を参考にしてください。
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岐阜家庭裁判所多治見支部の説明にもあるように,離婚調停では,「相手の意見等を踏まえて,各自の意見を十分に検討」することが大切です。
次の調停期日に向けて,相手の意見や調停委員の話も踏まえ,調停委員に味方になってもらう説明方法・話し方を考えておく必要があります。
離婚調停前から,第1回から最終回の調停期日の進行に応じた各場面での準備と心得は,流れまとめ編「離婚調停の前日準備と場面毎の5つの心得」の記事も参考にしてください。
連載第17回から第22回までの記事もご活用ください。
争点によっては,整理して書面にまとめることが必要になります。目的意識を持って,有利な事実を書き漏らさないよう記載しましょう。
親権に争いがあるときには調査官調査(自宅訪問や面談)もありえます。弁護士に依頼をしているときでも,調査官調査には弁護士が立ち会わない(立ち会えない)ことがありますので,話し方などの準備が必要です。
財産分与については,連載第22回「離婚調停で慰謝料・財産分与に争いがあるときの対処法」 の記事も,親権については,連載第21回「離婚調停で子供の親権を取りたいときになすべきこと」の記事もご活用ください。
調停の最終段階になると,「調停を不成立にする」という選択肢もあります。不成立にした後の生活,その後の方策(裁判等の検討)を理解していないと,不成立にしたことを後悔することになります。
弁護士に依頼をしていない場合では,この段階(離婚調停を不成立にする決断をする前)にも弁護士に相談することをおすすめします。
連載第16回「離婚調停はいつどのような形で終わるのか?」の記事もご活用ください。
調停を成立させるときには,合意の内容を調停調書に調停条項として記載してもらうことになります。見落としに注意するとともに,合意を守ってもらいやすいような工夫を知っておく必要があります。
連載第23回「離婚調停成立時の注意点」の記事もご活用の上,準備してください。
離婚調停が成立すると,10日以内に離婚届をしなければなりません。調停成立後にあわてることのないよう,手続きを知って準備しておくことが必要です。
連載第24回「離婚調停成立後の手続きと期限」の記事もご活用の上,準備してください。
離婚調停は,これまでの生活を変えるための1つの手段に過ぎません。
離婚することによりどのような生活をめざすのかという「離婚後のゴール」の設定(目的の設定)をして,目的意識を持って離婚調停手続に臨むことが大事です。
特に,どのような条件で離婚したらいいのか,どのような方法で離婚手続きを進めたらいいのか,そもそも離婚した方がいいのかに迷う場合に,「離婚後のゴール」の設定があいまいになっていることが多くあります。
「離婚のゴール」を明確にするために,離婚相談で多治見ききょう法律事務所の弁護士がしていることを,多治見ききょう法律事務所の離婚相談「離コンシェルジュ」の紹介記事に書いていますので,参考にして,考えてみてください。
最後に,離婚調停費用と,離婚調停を行う場所である裁判所の受付・調停実施の曜日・時間帯についてお伝えします。
これらのことを知ることで,安心して離婚調停手続きを利用できると思います。
調停が続く期間,揃える必要書類にもよりますが,弁護士に依頼せず,自分で申立てをする場合,交通費を除いてかかる費用は5000円程度と考えておけばよいと思います。
離婚調停の申立をするとき,離婚調停中,成立のときにかかる費用は,以下のとおりです。
印紙と切手(郵券)は,いずれも郵便局で買えます。多くのコンビニで売っていますし,大きい裁判所では裁判所内に印紙・切手も取り扱う売店がある場合があります。
離婚調停が離婚成立により終了したときの成立手数料はありませんが,離婚届や年金分割手続などに必要となる調停調書を取得するときに費用がかかります。
離婚調停は,家庭裁判所の本庁・支部・出張所で行われます。調停の当事者が裁判所の庁舎に訪れて調停をすることになります。ただし,刑務所で受刑中というような特殊な場合に,裁判所関係者が出張して,裁判所庁舎以外の場所で行われることもあります。
どこの裁判所でも離婚調停ができるというわけではなく,管轄の決まりにより定まる裁判所で離婚調停をすることになります。
原則として,離婚調停の相手方住所地を管轄する(最寄りの)裁判所となります。(例えば,愛知県名古屋市に居住している申立人が,岐阜県中津川市の実家にいる相手方に離婚調停を申立てる場合,岐阜家庭裁判所中津川出張所が管轄となります)
相手方と合意できれば,申立人,相手方の住所地の中間地点である家庭裁判所などですることもできます(例えば,申立人東京居住,相手方大阪居住の場合,合意することにより名古屋家庭裁判所で離婚調停を行うこともできます。合意管轄といいます。)。
家庭裁判所の営業日は,通常の役所と同じです。
土曜日・日曜日・祝日,12月29日〜1月3日が,お休みとなります。
電話のつながる時間,申立手続の案内(家事手続案内)をしてくれる時間,申立てを受け付けてくれる時間が異なっています。
大きな裁判所ですと申立手続の案内(家事手続案内)の専用の窓口がありますが,小さな裁判所では分かれていません。
離婚調停の日時は,当事者の都合も考慮して指定され,その日時に行くことになります。
都合を考慮してもらえると言っても,その家庭裁判所が離婚調停を行っている曜日,その事件の担当裁判官の担当曜日が決まっています。そのため,家庭裁判所の営業日の中でも,離婚調停が行われる曜日は限定されます。
また,裁判官は交代で夏休みを取りますので,担当裁判官の夏休みの期間は,離婚調停が行われません。おおよそ,7月から8月にかけて夏休みをとります。
午前の調停は午前9時30分または午前10時スタート,午後の調停は午後1時30分スタートという場合が多いです。午前の調停はおおむね正午まで,午後の調停は午後4時頃までのことが多いです。ただし,午後の調停は,調停が成立しそうな場合などに,午後5時過ぎまでかかることもあります。
裁判所ウェブサイトにあるビデオ「ご存知ですか?家事調停」でも,10分の動画で,調停の流れがわかりやすく解説されていますので,参考にすると良いでしょう。
全国の家庭裁判所本庁で,ウェブ調停が行われるようになっています。家庭裁判所の支部・出張所でも,ウェブ調停が開始しているところがあります。令和6年夏頃には,全ての家庭裁判所でウェブ調停が行われるようになるようです。
調停委員会が相当と判断した事案で行われています。
弁護士が代理人に付いている事案で,本人と弁護士が弁護士の事務所から参加するパターンでの利用が多いです。
弁護士が代理人に付いていない事案でも利用されている事案があります。
Webexのウェブアプリを予めインストールしておき,Chrome,Edgeなどのブラウザから使用する方法(Windows,Mac,iPhone,Android)と,インストールせずにブラウザ版のWebexでブラウザから参加する方法(Windowsパソコンのみ)を選べます。
裁判所からメールで招待メールが送られてきて,その招待メールにあるミーティングリンクをクリック(タップ)して参加します。
裁判所との電話でのやりとりもできるよう,裁判所に伝えた電話番号に電話がかかってきたときに,電話を受けられる場所にいる必要があります。
本人と代理人弁護士以外が周囲にいない(在席せず,やりとりも聞こえない)環境で参加する必要があります。子供にも聞こえないようにする必要があります。
マイクオン,カメラオンで参加することになっており,裁判所の許可なしにミュートにしたり,壁紙機能を使ったりすることはできません。
録音・録画・スクリーンショット等は,禁止です。
カメラを360度回転して誰もいない様子を見せるよう求められる可能性が高いので,自宅から参加するときには,部屋の中の様子が見られてしまう可能性があることに注意しましょう。見られたくないものが貼ってある,散らかっている,下着を干してあるという場面が考えられます。相手に住所を秘匿している場合は,窓の外の景色が見られないよう,カーテンを閉めることも必要でしょう。
家庭裁判所の庁舎の調停と同じように,申立人と相手方が交代で裁判所と接続します。熊本家庭裁判所の模擬調停のPDFを見ると,イメージがしやすいでしょう。
令和4年5月18日に成立した家事事件手続法の改正法が施行されると,ウェブ会議の場で離婚の調停を成立させられるようになります(改正後の268条3項)が,改正法施行前の現在は,ウェブ会議のその場で離婚の調停を成立させることができません。
離婚に合意したときには,裁判官(家事調停官)が,その合意内容どおりの調停に代わる審判をして双方に送達し異議申立期間(送達から2週間)中に異議申立がないことにより離婚審判確定で,離婚成立となります。離婚成立日は,離婚の合意をした調停期日ではなく,審判確定日です。戸籍上の離婚の記載も,「離婚の調停成立日」ではなく「離婚の裁判確定日」となります。
審判確定日から10日以内に審判書謄本と確定証明書を添付して離婚届を提出する必要がありますので,スケジュールにも注意しましょう。
発熱等の症状がある場合には裁判所への来庁を控えるよう求めている裁判所が多いので,症状がある場合には,裁判所に連絡してください。期日変更には柔軟に応じてくれます。前日までに症状がある場合には,早めに裁判所に連絡して相談することをおすすめします。
裁判所でも,令和5年3月13日から,マスクの着用は各人の判断に委ねることとされました。
もっとも,ご自身の重症化リスクが高いときなどに相手方や裁判所職員に着用を要望することは構いません。反対に,他の関係者から,着用を要望されることもあります。
マスク着用の有無については,裁判官や調停委員に与える印象も考慮して判断すると良いでしょう。また,マスクなしで裁判所に行く場合でも,いつでも着用できるよう不織布マスクは持っていくようにした方が良いでしょう。
パーティションは撤去されましたが,換気などの対策は続けられています。
家事手続案内を原則として実施しないなどの縮小運用から元に戻っている裁判所が多いです。
東京家庭裁判所の夜間の家事手続案内も,令和5年9月1日に再開しました。
名古屋家庭裁判所で,平成31年4月以降,離婚調停が早期に終了してしまう事案を体験していました。1回目で離婚調停を不成立とされてしまう事案も複数経験しています。
話合いを続けても難しいと感じられる事案で,早期に不成立にして調停を打ち切る方針を取っていたように思われます。
例えば,申立人が離婚を強く希望し,相手方が絶対に離婚したくないと言っている事案で,詳しい事情を聴かれることもないまま不成立になっていました。
慰謝料金額で大きな開きがある場合にあまり調整されないまま不成立になるという事例がありました。
令和4年に入ってからは,名古屋家庭裁判所で特に早期に不成立になる,という傾向は感じませんので,運用はまた変更されているかもしれません。
離婚調停の運用に関する裁判所の考え方によるものと思われ,裁判所により傾向が異なります。
ただ,家庭裁判所の調停事件の事件数,平均審理時間共に増加傾向にあって,家庭裁判所が忙しくなっていることは間違いありませんので,事件の選別で早期に調停が打ち切られてしまう事案は増えていくかもしれません。
詳しい事情を聴かずに打ち切ろうとしている調停委員からは,詳しい質問がなされないことになります。単に調停委員の質問に答えるという対応では,ほとんど何も話せないまま離婚調停が終わってしまうことにもなりかねません。
質問してくれないときにも,自分が話したいこと,相手に伝えてもらいたいことを言えるよう,準備をしておくことが必要となるでしょう。
1回目で離婚調停が終了してしまうと,詳しい事情を話す機会もなく,相手の考えを詳しく聞かせてもらう機会もないまま,離婚裁判になることがあり得ます。
裁判で争うのではなくもう少し話合いを続けたいと思う場合には,できることなら裁判を避けたい,このままだと裁判になってしまう状況だとわかるのでどうするか少し時間をかけて考えてみたいなどと伝え,次回の調停期日を設けてもらうよう積極的に要望することが大事です。
(弁護士 木下貴子)
弁護士木下貴子が,このページ「離婚調停とは?−離婚調停の準備手順・費用・場所・開催時間」をYouTubeでお伝えしています。
この連載では,離婚調停の全体について25回の連載で詳しく解説しています。
連載第2回以降も,参考にしてください。
弁護士を付けないで離婚調停中の方に,私,木下貴子からのお願いです。
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