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離婚調停を弁護士に頼むべきか?そのメリットと弁護士費用

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最終更新日:2024年3月2日

「裁判所HPより詳しい離婚調停解説」連載第5回

  • 離婚調停では弁護士を頼まないといけないですか?
  • 離婚調停では弁護士を頼んだ方が有利ですか?
  • 離婚調停で弁護士を頼むと費用はいくらかかりますか?
  • 弁護士を頼むと何をしてくれるのですか?

という弁護士依頼に関するご質問をよくお受けします。

離婚を考えている方の状況によって弁護士に依頼するメリットの程度が異なってきます。弁護士を依頼するかどうかは,メリットとデメリットを比較して決めるのが良いと思います。
依頼をするときには,弁護士がしてくれること・してくれないことを理解した上で依頼をしましょう。
弁護士に依頼するときには,成功報酬の計算方法を取り決めます。その取り決め方によって,金額に大きな差が生じます。着手金よりも成功報酬の方が高いことが多いので,成功報酬の取り決めをしっかりと確認しておきましょう。

そこで,今回は,次の順序で,弁護士依頼について解説します。

  1. どれくらいの人が弁護士を頼んでいるのか
  2. 弁護士依頼のメリットデメリット
  3. 弁護士に代理人を依頼したときにやってくれること
  4. 弁護士依頼のあり方には種類があること
  5. 弁護士費用の額の実情
  6. 広告で弁護士費用の額を比較・検討するときのポイント
  7. 弁護士費用の負担者

復縁(夫婦関係修復)希望の方は,状況が異なりますので,連載番外編「復縁・夫婦関係修復したい人の離婚調停対処法」の解説を先にご確認ください。

申立人の59.6%(※注)が弁護士を代理人に付けている

弁護士が代理人に付いていた率(平成24年・令和4年)のグラフ

令和4年の司法統計によりますと,婚姻関係の事件で弁護士が代理人に付いていた割合は,

  • 当事者双方に付いていた…32.6%
  • 申立人のみに付いていた…27.0%
  • 相手方のみに付いていた…5.0%

となっています。

平成24年は,それぞれ13.8%,21.1%,4.4%でした。申立人が弁護士を代理人に付ける率が,10年間で,34.9%から59.6%へと増加したことになります。

「離婚調停では弁護士を付けなくて良く、離婚裁判になったら弁護士を付ける」という単純な考え方は過去のものになっていると言えるでしょう。

(※注)婚姻関係の事件には,離婚調停以外に,婚姻費用分担請求調停,財産分与請求調停などが含まれますので,離婚調停だけの数値ではありません。60%弱が離婚調停ですし,実感として弁護士代理人選任率が特異な類型の調停事件が含まれているわけでもありませんので,離婚調停の弁護士代理人選任率との乖離は小さいものと思われます。

離婚調停で弁護士を依頼するメリット

1 有利に離婚調停手続きを運ぶ

有利に離婚調停手続きを運ぶために

離婚調停では,裁判所の調停委員に離婚の調整をしてもらいます。調停委員が,あなたの話を聞き取り,相手方に話します。
そのため,あなたの希望する条件での解決をめざすのであれば,まずは,調停委員に,あなたの主張を正しく理解してもらい,共感してもらえるように話すことが必要です。
調停委員の共感が得られなければ,調停委員があなたの意に添うように相手方を説得してくれることも期待できません。

弁護士に依頼をしていないときによくある問題

  • 言いたいことをうまく伝えられない
  • 何を伝えればよいのかわからない
  • 言うべきことではなく,言いたいことばかりを言ってしまう
  • 相手の主張に共感してしまっている調停委員に説得されてしまう
調停委員にうまく伝えられない

弁護士に依頼をしたとき

  • あなたの言いたい主張を整理して調停委員に伝えてもらえる
  • 離婚調停で必要なことに重点を置いて伝えてもらえる
  • 経験豊富な弁護士にその場でフォローしてもらえる
  • 相手の主張をふまえて説得的に主張をしてもらえる
弁護士が調停室でフォロー

「有利に離婚調停手続きを運ぶ」ために弁護士を依頼することをおすすめする方

  • 自分の話す力自体に不安のあるとき(例えば)
    • 自分が話下手なため,言うべきことを裁判所の調停委員にうまく伝えることができないと不安な方
    • 話が長くなりがちで,余計なことまで言ってしまうのではないかと心配な方
    • 何を言わなければいけないのか,何を言ってはならないのかが分からない方
    • どのような言い方をすれば,相手方や調停委員が自分の意向に添うように考えてくれるのかわからない,という方
    相手と比較したときに心配要素があるとき(例えば)
    • 相手方が弁護士を依頼している方
    • 相手方は口が達者,人面が良く,調停委員が騙されてしまうのではないかと心配な方
    • 調停委員が相手方の話ばかりを信じている,調停委員が相手方の言いなりだ,と感じている方

離婚調停の具体的話し方のアドバイスブック

弁護士が,離婚調停で,どんなことを考え,どんなフレーズを使っているのかを理解した上で,弁護士に助けてもらうかどうかを判断するのも良いでしょう。

私弁護士木下貴子が,離婚調停に出席する方のために,具体的な話し方のアドバイスブックを作成しています。

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離婚を回避したい方向けアドバイスブック

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2 取り返しのつかない失敗を防ぐ

取り返しのつかない失敗

離婚調停では,条件(調停条項)に同意して離婚調停が成立してしまえば,判決と同じ効力があり,その条件を変えることができなくなります。
少数ではあるものの,取り返しのつかない失敗をしている方が,実際にいらっしゃいます。

弁護士に依頼をしていないときによくある失敗

  • 調停委員に強く説得されて不利な離婚条件(調停条項)を受け入れてしまう
  • 条件(調停条項)の意味がよくわからないまま同意してしまう
  • 条件(調停条項)からは気づかないような他の法的問題が潜んでいた
  • 離婚裁判になるまで秘密にしておくべき事実や証拠を漏らしてしまい裁判で不利になる
離婚条件がわからない

弁護士に依頼をしたとき

  • 離婚裁判(離婚訴訟)になったときの見通しをふまえて条件を受け入れるかどうかを決められる
  • 条件(調停条項)の意味について,弁護士から説明を受けられる
  • 離婚調停成立後にどのようなトラブルが起きるのかを予測できる
  • 離婚調停不成立後の離婚裁判での有利不利をふまえて対応できる
弁護士がいて安心

「取り返しのつかない失敗を防ぐ」ために弁護士を依頼することをおすすめする方

  • 気が弱くて押し切られそうな方
  • 住宅ローンが残る・面会交流を詳細に取り決める必要があるなど離婚条件が複雑になりそうな方
  • 相手方が不倫(不貞行為)した証拠を握っている方

3 時間と精神の浪費を防ぐ

時間と精神の浪費防止の必要

再婚したい,健康状態が悪いが遺産を相続させたくないなどの理由により離婚を急いでいる場合には,離婚までにかける時間をいかに短縮するかが大事な観点となります。
そうでなくとも,日常の勤務,家事,育児に加え,離婚調停の手続きをしなければならないことの精神的負担は大きく,早く解決して,離婚調停手続きの精神的負担から解放されることが望まれます。

弁護士に依頼をしていないときによくある問題

  • 自分の他の時間を沢山削って準備しなければならない
  • 希望が整理できないまま調停に臨んで,自分で調停の手続を空転させてしまう
  • 相手が受けいれるはずもない離婚条件を提示して,調停手続を停滞させてしまう
  • 相手の主張をふまえた即座の対応ができず,調停回数を繰り返す
  • 相手から提案された離婚条件を1回持ち帰って次回に承諾しようとしたところ,相手が提案を撤回してしまい,有利なチャンスを逃す
どうしていいのかわからず悩む

弁護士に依頼をしたとき

  • 申立の準備がスムーズにでき,申立までの時間を短縮できる
  • 書類不備による手続停滞を回避できる
  • 準備に煩わされる精神的負担や時間が減少する
  • 十分な準備をして調停に臨むことで1回毎の手続が充実する
  • 相手の主張や提案に対し,即座に弁護士からアドバイスを受けて,即座の対応ができる
弁護士が即座にアドバイスするので安心

「時間と精神の浪費を防ぐ」ために弁護士を依頼することをおすすめする方

  • 時間(離婚までの期間)の浪費を防止したい方
  • 離婚問題で不安定となっている子どもとの時間をできるだけ削りたくない方
  • 仕事が忙しく,自分で準備する時間のない方
  • 離婚問題で自分自身が精神的に疲労していると感じる方
  • 相手方の言うこと(離婚条件)が毎回ころころ変わる,と感じている方
  • 再婚を希望している方
  • 精神的に落ち着いて早く新しいスタートを切りたい方
  • 早く母子家庭になって,児童扶養手当を受給したり,市町村の福祉的サービスを受けたいと思っている方

4 離婚の意志が固いことが伝わる

弁護士に依頼をしてまで離婚しようという行動が,離婚の意志の固さを示す事情となります。
相手方がまだやり直せるはずという期待をしているような場合には,その期待が果たされないことを伝える1つの手段となりえます。

5 離婚裁判にスムーズに移行できる

離婚裁判(離婚訴訟)になった場合は,話合いではなく,法的手続きで勝敗を競うことになりますので,費用をかけてでも弁護士を依頼することを強くお勧めしています。
相手方の,離婚をしない,親権を譲らない,という意志が固く,離婚調停での合意が見込めず,離婚裁判が必至なのであれば,離婚裁判に備え,予め事情を知っておいてもらい,離婚調停不成立となった後に迅速に離婚裁判に移れるよう,離婚調停の時点から弁護士を依頼しておくのが良いでしょう。

離婚調停で弁護士を依頼するデメリット

1 弁護士費用がかかる

費用が気になる

言うまでもありませんが,弁護士に依頼をすれば弁護士費用がかかります

離婚調停は,話合いにより合意をめざす手続きであり,一方が反対するだけで調停が不成立となります。弁護士に依頼したからといって,正当な解決が得られるというものでもありません。

財産面だけの争いのときは弁護士費用のデメリットが大きいことも

財産面だけが争いとなっていて,弁護士を頼んでも,弁護士費用に見合う成果を獲得できる可能性が低い事案もあります。特に,夫婦ともに財産が少ないような場合ですと,財産分与・慰謝料として実際に獲得できる・支払うことになる額も小さいことになりますので,財産面だけが争いなのであれば,弁護士費用のデメリットは大きいといえます。
財産分与,養育費,慰謝料などで多くの財産を取得するためだけに弁護士を依頼するのであれば,予め弁護士に相談して,弁護士を依頼する場合の費用と,弁護士に依頼をしたときに取得が見込める財産の程度を知った上で,弁護士に依頼するかどうかを決めると良いでしょう。

2 弁護士の選び方を誤ると時間を浪費する

離婚調停を行う裁判所から遠い弁護士に依頼をすれば,弁護士の拘束時間が長くなりますので,弁護士の予定を合わせることが難しくなり,離婚調停の日が先になってしまうということがあります。
また,自分の自宅・職場から遠い弁護士に依頼をすると,弁護士の事務所に打合せに行くのに時間を浪費することになります。

離婚調停を弁護士に依頼しない方へ

離婚調停では,調停委員への「話し方」が大事です。
あなたが弁護士に依頼をしないのであれば,あなたは,自分自身で調停委員に話をすることになります。

現在,多治見ききょう法律事務所では,具体的な「話し方」のアドバイスブックを無料で欲しい方を募集しています。
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そして,離婚調停であなたが話をするときに利用してください。

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弁護士に代理人を依頼すると何をしてくれるのか

離婚調停の代理人を弁護士に依頼するかどうかを決める前に,弁護士に依頼したときに弁護士が行うサービス内容を知っておくと良いでしょう。

普通の弁護士であれば,離婚調停の基本的な業務はしてくれますが,その充実度には弁護士による差があります。また,周辺的な業務になると,弁護士により,サービス内容に含まれる・含まれないの考え方も違っています。

そこで,離婚調停とその周辺で必要となりうる事項について,次の区分で,サービス内容に含まれるかどうかを区分してみました。

  • ○ 大半の弁護士が離婚調停の代理人受任のサービス内容に含んでいる
  • × 大半の弁護士が離婚調停の代理人受任のサービス内容に含んでいない(含んでいる弁護士も少数ある)
  • △ 弁護士により分かれる

もっとも,離婚調停に臨む夫婦の状態やご依頼者の希望は,多種多様ですから,サービス内容に含むものでも,そのご依頼者の離婚調停の解決にとって必要がないと弁護士が判断する項目は行わないことになります。
弁護士がやってくれていない項目があり,どうしても弁護士にやってもらいたいときには,その理由を伝えましょう。そして,弁護士に,弁護士が必要ないと判断している理由を尋ねると,うまくコミュニケーションが取れると思います。

1 調停外の対応

弁護士が相手方との電話対応をする

ご依頼者が調停外で夫(妻)と直接連絡を取らなければならない場面を無くす・減らすことにより,夫婦間の直接連絡の苦痛を減らすことができます。
また,児童手当の受取人変更の手続きがスムーズになります。

①相手に対し弁護士が受任したことを通知

〇(サービス内容に含まれる)
相手からの直接連絡を避けたい希望のある場合,児童手当取得のために離婚前提の別居であることを証拠に残す必要のある場合などに頼むと良いでしょう。
(離婚協議中の別居の場合,弁護士の受任通知等を添付して申請することで,同居している親に児童手当の支給変更ができる場合があります。詳しくは,別記事「別居後離婚後の児童手当・児童扶養手当・保育料等の扱い」をご覧ください。)

②相手との連絡窓口

○(サービス内容に含まれる)
代理人として相手との連絡窓口となります。相手からの直接連絡を避けたい希望のある場合に頼むと良いでしょう。
相手方からの,○日までに返答せよ,○○について返事せよなどという文書のやりとりで,疲れてしまう方も多いです。その場合に,弁護士に連絡窓口となってもらえば,安心できるでしょう。

③直接連絡を受けたときの対応に関するアドバイス

○(サービス内容に含まれる)
弁護士を連絡窓口にしても相手が無視して直接連絡してくる場合もあります。しかし,その場合であっても,弁護士に相談すれば,どのように対応したら良いのかアドバイスしてくれるでしょう。

④児童手当申請,健康保険切替え等の手続

×(サービス内容に含まれない)
弁護士が代行する意味が少ないことと,ご本人が役所に出向いて手続きをする方が円滑である(窓口での本人確認がスムーズにいく,役所に用意されている書式が弁護士による代行を予定していないなどの事情があります)ことから,手続きを代行していない弁護士がほとんどだと思います。もっとも,手続のアドバイスはしてくれるでしょう。

2 調停申立準備

弁護士が申立書を起案する

弁護士が調停申立準備の大半を行うことにより,ご依頼者自身が準備する手間・時間が減少します。また,迅速に,適切な申立書を完成させることができます。

①調停申立書及びその付属書類の書式の収集

○(サービス内容に含まれる)

②添付する戸籍謄本等の取り寄せ

〇(サービス内容に含まれる)
令和6年3月から,自分の戸籍謄本は,どの市役所・町村役場の窓口に行っても取得できるようになりました。弁護士が依頼を受けると,住民票を住所地に,戸籍謄本を本籍地に郵送で取り寄せる必要があります。ご自身で用意する方が,弁護士に任せるよりも早く,費用も安く済むでしょう。

③年金分割のための情報通知書の取得

×(サービス内容に含まれない)
年金分割を求めるときに必要な書類で,年金事務所で申込手続きをします。弁護士による代行も可能ですが,ご依頼者から聞き取って記入するより,ご依頼者自身が年金事務所職員のアドバイスを受けながら書いた方が早いという事情もあり,ご本人に取得していただくことが多いです。
自宅への郵送を避けたいとき,年金事務所からの郵送先を弁護士の事務所とすることは,ほとんどの弁護士が了承すると思います。

④所得証明書の取得

×(サービス内容に含まれない)
養育費の請求や婚姻費用の分担請求をするときには収入の証拠が必要ですが,源泉徴収票のないときには,市役所で所得証明書を取得することになります。弁護士による代行も可能ですが,ご依頼者の住所地の市役所で取得することになるため,ご依頼者本人が取りに行った方が早いという事情もあり,ご本人に取得していただくことが多いです。

⑤収入印紙・切手の購入

○(サービス内容に含まれる)

⑥申立書及びその付属書類への記入・推敲

○(サービス内容に含まれる)
申立準備の中心となる作業です。
各弁護士の能力・経験により,完成物に差が生じる作業になります。

⑦証拠のコピー

○(サービス内容に含まれる)

⑧裁判所への申立書等の提出

○(サービス内容に含まれる)

3 法的知識や経験に基づくアドバイスなど

弁護士からアドバイスを受ける

専門的見地から,人生の選択に関する的確なアドバイスを受けることができます。

①法律・判例・経験に基づく見通しのアドバイス

○(サービス内容に含まれる)
各弁護士の能力・経験により,アドバイス内容に差が生じます。

②離婚調停申立て以外に先行・並行すべき手続きの検討・アドバイス

○(サービス内容に含まれる)
離婚調停申立て以外に,財産の仮差押え,DV保護命令,他の調停,審判前の保全処分の申立てをした方が良い場合があります。
各弁護士の能力・経験により,アドバイス内容に差が生じます。
離婚調停以外の手続きの弁護士費用は,別途負担する形になることが多いです。

③励まし,不安の解消

△(弁護士により差がある)
法律事項ではありませんので,弁護士の考え方によって扱いが大きく違う分野です。
不安や気持ちを依頼している弁護士に理解してもらえず,つらい思いをされている方のお話もよくお聞きします。
多治見ききょう法律事務所では,不安をなくした上で,その人に合った,人生の選択ができることに力を入れており,不安解消のためのサポートにも取り組んでいます。

④カウンセラーの紹介

×(サービス内容に含まれない)
カウンセラーを紹介している弁護士は少数です。
特に,修復希望の方は,人間関係を再構築するための考え方,接し方を,その道の専門かから教わって実践することが大切になります。
多治見ききょう法律事務所では,弁護士木下貴子が夫婦カウンセラーの資格も取得して,カウンセリングにも対応しています。すべてのご要望に応じられる状態までにはありませんが,必要に応じて外部のカウンセラーなど紹介できる先も有しています。

4 裁判所外での証拠収集・事実調査

銀行に照会する

ご依頼者自身では獲得できない有利な証拠を得ることができる場合があります。

①弁護士会を通じた役所・銀行等への照会(弁護士会照会)

○(サービス内容に含まれる)
照会手数料の実費負担が生じますので,実施するかどうかは,回答が得られる見通しと手数料負担の兼ね合いにもよります。

②探偵(調査会社)の紹介・連携

×(サービス内容に含まれない)
探偵を紹介している弁護士は少数です。
多治見ききょう法律事務所では探偵の紹介は行っていません。
他の方が実際に利用された探偵事務所を参考情報としてお伝えすることはあります。

5 調停開始前の裁判所との連絡・調整

ご依頼者自身で裁判所との連絡・調整を行う手間・時間の負担が,なくなります。

①裁判所との第1回調停期日の日程調整

○(サービス内容に含まれる)

②裁判所からの追加資料提出要請への対応

○(サービス内容に含まれる)

③裁判所との安全確保措置の調整

○(サービス内容に含まれる)
暴行を受けるおそれのあるときには,調停室を別にする,裁判所に入る時間をずらすなどの配慮を依頼,調整します。

6 調停期日の同行

弁護士と一緒に裁判所に行く

調停当日に弁護士の支援を受けることで,その場で的確な対応が可能となり,ご依頼者の不安が解消されます。調停委員2人に対して1人で臨むより,弁護士と一緒に複数で対応した方が,人数の上でも心強いと感じる方がいらっしゃいます。
相手方が口が上手い,自分は話すのが苦手,不得意ということから,弁護士に代わりに話してもらうことを希望される方もいらっしゃいます。
調停委員は,弁護士を,法律を専門的に学んできた「専門家」と見ており,途中から弁護士を頼むご依頼者が,弁護士を頼む前と後で調停委員の態度が大きく変わったという感想を抱かれることもあります。

①同行

○(サービス内容に含まれる)
代理人である弁護士は,一緒に調停室の中へも入ります。離婚調停では,ご本人も裁判所へ行くのが原則であり,弁護士に代理人を依頼しても,裁判所に行かずに済むことにはなりません(出席できない特別の事情があるときに,例外的に,とりあえずその期日を弁護士だけの出席で行うこともありますが,話合いが進展しにくくなります。)。

②交渉技術に基づく解決案提案のアドバイス・代行

○(サービス内容に含まれる)
能力・経験により,弁護士のアドバイスや,弁護士が代理人として行う交渉には差が生じえます。
相手方の主張に対し,どのように反論したらいいのか,どのような解決案があるのか,裁判になった場合の見通しも踏まえて,適切なアドバイスをします。

7 相手から裁判所に提出された書類の謄写の代行

○(サービス内容に含まれる)
裁判所に謄写(コピー)の申請をしないと手に入らない書類があります。弁護士に依頼をしていれば,弁護士がその手続きを行います。

8 争点別の支援

弁護士との共同作業で調停委員に伝える

離婚調停で希望を叶えるには,弁護士とご依頼者の共同作業により,調停委員に共感してもらえるよう,事実と希望を的確に話し,伝えることが大切になります。そのために,争点の種類毎に,何が問題点かを把握し,ご依頼者本人の希望とその理由,それを納得してもらえるような事実を選び出していくことになります。
そして,各調停期日では相手からの反論もなされますので,その反論を踏まえて,「話し方」「話す内容」「話す順序」を工夫して再構築し,可能な対策を実践していくことが,良い結果につながります。

離婚調停の経験のない方が,何を話したらいいのか分からない状況で単独で取り組むよりは,知識・経験のある弁護士の助けを借りた方が,話すべきことを伝わるように話すことができます。

もっとも,この「話し方」については,ご依頼者本人の努力によっても結果が異なりうる部分であり,弁護士の活用の程度だけでなく,ご自身の学習・努力の程度の影響も大きくなります。
この連載記事でも,第17回から第22回までの記事に,「話し方」についてのアドバイスを記載していますので,参考にしてください。

弁護士ができることには以下の項目が考えられますが,どこまでの準備・アドバイスをするかについては,弁護士による差があります。また,弁護士の経験・能力によって,その的確さに差が生じることになります。
したがって,どの程度に有利になるかについては,弁護士次第でもあり,ご依頼者による弁護士の活用の仕方次第でもあります。

弁護士により様々ですので,ここでは,弁護士が実際にやっているかという観点で,○△×の分類をします。

  • 「○〜△」 質の差はあるが弁護士がやってくれるもの
  • 「○〜×」 そもそもやっていない弁護士もあり,やってくれる弁護士の間にも質の差があるもの
  • 「●」 やってくれる弁護士と,やらない方がご依頼者の利益となるとの考えからやらない弁護士があるもの

(1)離婚するかしないかに争いがあるとき

  1. これまでの夫婦関係の事実聴取(○〜△)
  2. 証拠確保に関するアドバイス(○〜△)
  3. 上記事実・証拠から話すべき事項の取捨選択,説明代行(法律,経験に基づく)(○〜△)
  4. 陳述書の作成(●)
  5. 相手方の主張の分析(○〜△)
  6. 相手方の意向を変更させるための対策の検討(○〜×)
  7. 調停委員に対する話し方のアドバイス(○〜×)

(2)親権に争いがあるとき

  1. これまでの家族生活,家庭環境,子供の現状の事実聴取(○〜△)
  2. 上記事実から話すべき事項の取捨選択,説明代行(法律,経験に基づく)(○〜△)
  3. 調停委員に対する話し方のアドバイス(○〜×)
  4. 子供に対する接し方のアドバイス(○〜×)
  5. 生活上の対策,環境整備のアドバイス(○〜×)
  6. (子の監護に関する)陳述書の作成(○〜△)
  7. 調査官調査に向けたアドバイス(○〜×)
  8. 調査官調査結果の謄写,分析(○〜△)

(3)養育費に争いがあるとき

  1. ご依頼者の勤務状況・収入・財産,相手の勤務状況・収入・財産,収入増が難しい事情,子供の生活状況・進学希望,必要な学費・医療費に関する事実の聴取(○〜△)
  2. 上記事実から話すべき事項の取捨選択,説明代行(法律,経験に基づく)(○〜△)
  3. 収入・子供に必要な費用に関する資料の収集方法のアドバイス(○〜△)
  4. 収入資料・子供の費用の資料の分析・整理(○〜△)
  5. 養育費増額(減額)事由の分析,証拠収集(○〜△)
  6. 裁判の見通しをふまえた養育費の金額と支払終期の交渉方針のアドバイス(○〜△)
  7. 希望内容の説明代行(○〜△)
  8. 調停委員に対する話し方のアドバイス(○〜×)

(4)面会交流に争いがあるとき

  1. 子供の様子,家族の生活パターンなどの事実の聴取(○〜×)
  2. 上記事実から話すべき事項の取捨選択,説明代行(法律,経験に基づく)(○〜×)
  3. 陳述書の作成(●)
  4. 面会交流の頻度,方法の交渉方針のアドバイス(○〜△)
  5. 適切な代替案提案のアドバイス(○〜×)
  6. ご依頼者と子供の希望と裁判の見通しをふまえた交渉方針のアドバイス(○〜×)
  7. 希望内容の説明代行(○〜△)
  8. 試行的面会交流の対処方法のアドバイス(○〜×)
  9. 調停委員に対する話し方のアドバイス(○〜×)

(5)財産分与に争いがあるとき

  1. 有利に使える事情の発見,アドバイス(○〜×)
  2. 見落とされている財産,隠されている財産の発見,アドバイス(○〜×)
  3. 登記簿謄本等の資料の収集(○〜△)
  4. 資料分析・整理(○〜△)
  5. 金融機関などへ相手の財産を照会する調査嘱託申立書の作成・提出(○〜×)
  6. 分析結果をわかりやすく伝える説明資料・財産目録の作成(○〜△)
  7. 希望内容の聴取(○〜△)
  8. 希望と裁判の時の見通しをふまえた財産分与の程度・内容に関する交渉方針のアドバイス(○〜△)
  9. 適切な代替案提案のアドバイス(○〜△)
  10. 調停委員に対する説明代行(○〜△)
  11. 陳述書の作成(●)
  12. 調停委員に対する話し方のアドバイス(○〜×)

(6)慰謝料に争いがあるとき

  1. これまでの夫婦関係の事実聴取(○〜△)
  2. 証拠確保に関するアドバイス(○〜△)
  3. 上記事実・証拠から話すべき事項の取捨選択,説明代行(法律,経験に基づく)(○〜△)
  4. 陳述書の作成(●)
  5. 希望内容の聴取(○〜△)
  6. 希望と裁判の見通しをふまえた慰謝料の有無・額に関する交渉方針のアドバイス(○〜△)
  7. 調停委員に対する希望内容の説明代行(○〜△)
  8. 調停委員に対する話し方のアドバイス(○〜×)

(7)年金分割に争いがあるとき

  1. 交渉方針のアドバイス(○〜△)
  2. 適切な代替案提案のアドバイス(○〜△)
  3. 調停委員に対する希望内容の説明代行(○〜△)

9 調停中の裁判所以外への出張

次の項目は,離婚調停とは別の行為になりますので,離婚調停の依頼には含まれていないと考えるべきです。

①面会交流の立会い

×(サービス内容に含まれない)

②引越作業の立会い

×(サービス内容に含まれない)

10 調停成立時

調停成立時のアドバイス

調停成立のときには,調停条項を定める形で合意をします。
その合意をする上で,弁護士の支援を受けることができます。その支援により,間違いのない形で調停をとりまとめることができます。専門知識が身についていないご依頼者には気付きにくい問題が潜んでいることもあります。(連載第23回「離婚調停成立時の注意点」の記事も参考にしてください。)
弁護士の経験・能力により精密さに差も生じる部分です。

①意思決定に関する即時のアドバイス

○(サービス内容に含まれる)

②調停条項に必要な項目の漏れの指摘

○(サービス内容に含まれる)

③調停条項に潜む問題点の指摘

○(サービス内容に含まれる)

④調停条項の意味・リスクの説明

〇(サービス内容に含まれる)

⑤調停条項を実効性のあるものに追加・変更する交渉・アドバイス

○(サービス内容に含まれる)
離婚届をしやすい条項,意味が一義的な(読む人によって違う読み方がされるようなことのない)条項,合意内容を守ってもらいやすい条項にしていきます。

⑥不動産登記を含む調停条項の司法書士への確認

○(サービス内容に含まれる)
司法書士に確認し,不動産登記を取り扱う法務局が問題なく受け付けてくれるような調停条項で調停が成立するようにします。

11 調停成立後

①離婚届に必要な調停調書謄本の申請・取得

○(サービス内容に含まれる)

②離婚届の手続のアドバイス

○(サービス内容に含まれる)

③子の氏(苗字)の変更,年金分割などの離婚成立に附随する手続

×(サービス内容に含まれない)
弁護士による代行は少ないです。
調停条項に年金分割の合意をしたときも,年金事務所での手続きの代行は行わないのが通常です。
裁判所に対する子の氏の変更許可の申立の依頼は,別料金のことが多いでしょう。
もっとも,手続きのアドバイスを行っている弁護士は多いです。
多治見ききょう法律事務所では,別途アフターケアサービスとして対応しています(詳しくは,別記事「多治見ききょう法律事務所の離婚サービス解説」をご覧ください)。

④健康保険脱退関係書類の受渡の代行,支払金の代理受領

○(サービス内容に含まれる)
頼めば代行・代理をしてくれる弁護士が多いでしょう。

⑤調停条項が守られないときの督促

△(サービス内容に含むのは一定の期間に限られることが多い)
財産分与・慰謝料の一括払などの約束が守られないときの督促は,離婚調停の依頼に含まれているものとして行ってくれる弁護士が多いでしょう。
養育費・面会交流など継続的なものの督促は,別料金のことが多いでしょう。
債権差押え,間接強制の申立などの強制執行手続きは通常,別料金となります。

弁護士への離婚調停依頼の種類

弁護士への離婚調停依頼の通常型

弁護士と一緒に裁判所に行く

通常,離婚調停を弁護士に依頼すると言えば,弁護士が離婚調停の代理人となって,依頼者と打ち合わせた上で,離婚調停の申立書を作成し,調停手続に一緒に出席することを言います。このようなパターンのサービスのみを行っている弁護士も多いです。

弁護士が調停手続きに出席せずにサポートする形態

バックアッププラン

そのようにフルにサポートすることになれば,弁護士の手間がかかるため,どうしても弁護士費用の額を高く設定せざるをえません。
そこまでの弁護士費用はかけられないが,専門家にサポートをしてもらいたいという方のために,弁護士が調停手続きに出席せずにサポートする形態のサービスを行っている弁護士も増えてきています
多治見ききょう法律事務所でも,弁護士が調停手続に出席しない形でサポートするサービスメニュー「バックアッププラン」をご用意しています。

多治見ききょう法律事務所の離婚調停サービスメニュー

私が所長を務める多治見ききょう法律事務所では,複数のサービスメニューを用意しています。

詳しくお知りになりたい方は,多治見ききょう法律事務所の離婚サービス解説のページをご覧ください。

離婚調停を弁護士に依頼しようと思っていて,離婚を中心的に取り扱っている弁護士のアドバイスも聞いてみたい方へ

離婚調停では,調停委員への「話し方」が大事です。
離婚調停では,弁護士に依頼をしても,自分で調停委員に話をしなければならない場面があります。

多治見ききょう法律事務所では,具体的な「話し方」のアドバイスブックを無料で欲しい方を募集しています。
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離婚調停の弁護士費用の額

弁護士費用の額は,弁護士によって異なります。

依頼しようとしている弁護士の弁護士費用については,その弁護士に尋ねるか,ホームページなど公開されている料金表により確認するしかありません。
代理人の依頼については「着手金+報酬金制」を取っている弁護士が多く,金銭請求を伴わない離婚調停では,税込で着手金44万円程度,報酬金44万円程度のことが多いようです。

他の事務所の料金を勝手に紹介できませんので,多治見ききょう法律事務所の離婚サービスの料金(弁護士費用の額・消費税込)を紹介すると,次の通りになります。参考にして下さい。 (ダウンロードする方は,多治見ききょう法律事務所離婚事件着手金・報酬金等一覧表(PDFファイル))

バックアッププラン

資料のコピーや相談記録を保管し,ご契約期間中,1か月2時間の範囲で,弁護士が面接相談・電話相談に応じるサービスです。
(注)離婚協議書・離婚調停条項案の作成などの書面の作成は別料金となります。

基本料金
5万5000円/3ヶ月まで
延長料金
1ヶ月経過するごとに1万6500円

離婚協議書作成(離婚調停条項案作成)

  • 11万円

調停代理人プラン(通常プラン)

弁護士が離婚調停の代理人となって,ご依頼者と打ち合わせた上で,離婚調停の申立書を作成し,調停手続に一緒に出席するサービスです。

着手金
38万5000円
親権について争いがある場合は44万円
報酬金
38万5000円+経済的利益の11%
親権について争いがある場合には,38万5000円+(親権取得時)22万円+経済的利益の11%
出張追加料金
岐阜家庭裁判所多治見支部 何回でも無料(追加料金無し)
岐阜家庭裁判所中津川出張所 4回目以降1回ごとに2万2000円
岐阜家庭裁判所御嵩支部 4回目以降1回ごとに1万6500円
名古屋家庭裁判所本庁 4回目以降1回ごとに2万2000円
そのほかの裁判所については,ご相談下さい。
オプションサービス
離婚成立までの生活費(婚姻費用)請求手続
着手金 5万5000円
報酬金 離婚成立までに支払いを受けた額の11%(依頼者の意思で離婚を取りやめたときは,3年分の11%)

協議調停代理人ゴールドプラン

平日にできる限り仕事を休みたくない方のため,代理人プランに,休日対応や,不動産鑑定士・税理士・司法書士との連絡調整対応などのサービスを加えたものです。

着手金
198万円
親権について争いがある場合は209万円
報酬金
55万円+経済的利益の11%
親権について争いがある場合には,55万円+(親権取得時)22万円+経済的利益の11%
出張追加料金
調停代理人プラン(通常プラン)と同じ
オプションサービス
調停代理人プラン(通常プラン)と同じ

離婚調停の弁護士費用を読み解くポイント

離婚調停の弁護士費用の定め方に規制はありませんが,「着手金+報酬金制」を採用している弁護士がほとんどです。多治見ききょう法律事務所でも,調停代理人プランと協議調停代理人ゴールドプランでは,「着手金+報酬金制」を採用しています。
しかし,同じ「着手金+報酬金制」の中でも,金額の算出方法について,弁護士による違いがあります。

「着手金+報酬金制」で支払うことになる弁護士報酬(実費別)

弁護士報酬
着手金依頼したときに結果に関係なく支払う費用
日当その他弁護士の出張・出廷につき回数・拘束時間に応じて支払う費用
報酬金事件が終了したときに結果に応じて支払う費用

「着手金+報酬金制」の各弁護士費用の詳細

着手金
弁護士に事件を依頼したときに,結果に関係無く支払う弁護士費用です。
弁護士は,離婚調停の依頼を受けると,依頼者からの事情聴取・相談対応,依頼者との打合せ・連絡,離婚調停申立書・付属書類の文書作成・推敲・プリントアウト,必要書類の取り寄せ,事実調査,法律・判例調査,申立書等の必要部数のコピー・裁判所への提出,裁判所との連絡調整などを行います(事務作業は弁護士の事務所の事務職員が行うことがあります)。着手金を支払うと,こうした作業がどれだけ生じても,事件終了前において弁護士費用の追加払いはありません。
弁護士の裁判所への調停出席は着手金に含まれているとは限らず,調停出席が着手金に含まれない契約,一応着手金に考慮されているものの着手金とは別に調停出席毎に拘束時間に応じた日当などの支払を要する契約があります。
報酬金
事件が終了したとき,結果に応じて着手金とは別に支払う弁護士費用です。いわゆる「成功報酬」です。
全く成果が得られなかった場合には報酬金の支払は生じません。依頼通りの結果が得られたときに報酬金全額の支払いがあるのはもちろん,一部成果が得られたときも成果の割合に応じて報酬金を支払う契約が通常です。
日当
弁護士が事務所外の場所(主に裁判所)に出張するときに,弁護士の時間拘束の対価として支払う弁護士費用です。出張する都度支払うべきものですが,まとめて請求書を切る弁護士もあります。
着手金に時間拘束を織り込んで金額設定し,出張毎の日当を請求しない契約もあります。
多治見ききょう法律事務所では,裁判所における代理人活動の時間と5時間程度までの移動時間は着手金に織り込んでいますが,さらなる移動時間が生じたときには「出張追加料金」をお支払いいただく契約にしています。
実費
弁護士費用ではありませんが,依頼事件を進めるとき,その事件のために,通信費用,コピー費用,依頼者に代行して取り寄せる戸籍謄本・登記簿謄本等の費用,裁判所の手続き費用(収入印紙・切手),弁護士が裁判所を往復する交通費がかかります。
弁護士費用である着手金・報酬金・日当とは別に,こうした実費が,ご依頼者の負担となる契約が通常です。ご依頼者は,弁護士が立替支出した実費を,弁護士に支払って精算することになります。支出が生じる都度支払うべきものですが,ある程度まとめて請求書を切る弁護士もあります。
また,実費に充てるためのお金を預けておく契約形態(預り金方式)もあります。

着手金よりも報酬金に注意

思いどおりの結果で終わると,着手金よりも報酬金の方が大きくなるのが通常で,何倍にもなることがあります。

報酬金の定め方(基準・計算方法)を確認することが大切です。

日当の額にも注意

日当って何?

離婚調停は,相手や調停委員の対応次第で,進展のないまま回数を重ねることも珍しくありません。相手のドタキャンで,あるいは,相手の検討中という経過報告で,ほとんど中身のないまま1回の調停期日が終わってしまうこともあります。 着手金が安く日当が高い契約形態は,弁護士に時間を割いてもらったことの対価として費用を支払うということで合理性があるものの,最終的に離婚調停不成立で成果無く終わった場合にも,弁護士費用に費やす金額が予想外に大きくなる可能性があります。
とはいえ,遠方の裁判所への出張を伴うご依頼では,移動のために弁護士が拘束され,弁護士はその間他の仕事ができません。移動時間が長くなる場合に,弁護士が,弁護士費用の追加無しにご依頼をお受けするのは難しい状況にあります。移動時間は,遠くの裁判所で離婚調停をしなければならないというご依頼の事案の性質により発生するものであり,弁護士の知識経験で回避することもできません。
そのため,弁護士は,遠方出張を伴うご依頼については,着手金の設定(増額),日当制等で,その負担に見合う弁護士費用のご負担をいただきたいと考えるの通常です。
日当の明示の無い弁護士に遠方出張を伴う依頼をしようとするときは,日当の額を確認しておいた方が良いでしょう。

多治見ききょう法律事務所の場合

多治見ききょう法律事務所では,着手金の額は定額とし,裁判所にいて拘束されている時間について追加の対価をいただくことはしていませんが,累計約5時間を超える移動時間に1時間あたり1万円程度の「出張追加料金」という形での弁護士費用のご負担をお願いしています。実際に時間を計るのではなく,出張する裁判所に応じて,何回目以降は1回あたりいくらという形で,金額設定をしています。

着手金の基準を読み解くポイント

離婚調停における着手金の定め方には,大きく分けて2つの形があります。

  • 金銭換算できない請求(離婚自体,親権,面会交流)に関する定額の着手金,金銭換算できる請求(慰謝料,財産分与,養育費,年金分割)の請求金額(経済的利益)に応じた着手金(8.8%,5.5%などの割合をかけ算する)を合算するという着手金の定め方
    着手金の額
    金銭換算できない部分の請求の着手金離婚自体,親権,面会交流など項目毎に定額
    金銭換算できる部分の請求金額(経済的利益) 慰謝料・財産分与・養育費などの額
    ×
    割合8.8%・5.5%など
  • 請求額に関係無く着手金を定額とする定め方
    着手金の額
    離婚自体,親権,面会交流など項目毎に定額(請求金額による加算無し)

これらのどちらであるのかを見極める必要があります。

多治見ききょう法律事務所では,請求額に関係無く定額の着手金を定めています。

報酬金の基準を読み解くポイント

離婚調停における報酬金の定め方は,金銭換算できない結果(離婚自体,親権,面会交流)と金銭換算できる結果(慰謝料,財産分与,養育費,年金分割,通常「経済的利益」といいます)のそれぞれの報酬計算をして,合算するのが通常です。
報酬金の額
金銭換算できない部分の結果の報酬金離婚自体(ポイント1),親権(ポイント2),面会交流などの結果に応じ定めた額
金銭換算できる部分の結果(経済的利益) 慰謝料・財産分与・養育費などの額(ポイント3)
×
割合17.6%・11%など(ポイント4)

(ポイント1)離婚自体の結果について

離婚を希望していた場合は,離婚が成立すると,依頼事項の内,離婚自体部分が成功したことになります。
もともと夫婦ともに離婚したいと考えていて,条件が合わずに協議離婚できなかった場合も,離婚できなかった状態が離婚成立に至ったことにより,離婚について成功したと考えるのが通常です。
多治見ききょう法律事務所でも,同様の考え方によっています。

(ポイント2)親権争いを伴う離婚の結果について

親権を取って離婚することを希望していて,親権を取れない離婚成立の結果になったときも,金銭換算できない結果部分についての報酬金の一部が発生するのが通常です。このとき

  1. 「親権を取って離婚」の場合の報酬金額を定めておき,親権を取れない離婚成立についてその一部成功として計算する方法
  2. 離婚自体の報酬金額とは別枠で親権取得の報酬金額を定めておく方法

があります。

親権を取得して離婚成立の場合,親権を取得できずに離婚成立の場合のそれぞれの報酬が納得できるものになっているか,着目しましょう。

多治見ききょう法律事務所では,現在,離婚自体の報酬金額とは別枠で親権取得の報酬金額を定めておく方法を採用しています。

(ポイント3)経済的利益の計算方法について

経済的利益がわからない

現実に支払を受けた額ではなく,支払が合意された額を基準に報酬金を計算することが多く,多治見ききょう法律事務所でも,支払が合意された額を基準にしています。支払を請求されていた側は,相手の請求額から減らすことができた額を基準にしています。
経済的利益に対する報酬金については,何が経済的利益なのかにも着目する必要があります。特に,養育費・年金分割については,考え方が分かれます。

養育費
養育費が支払われる全期間の総額を基準にする場合,総額に一定割合(70%など)をかけ算する場合,一定年数を限度とする場合,養育費を含めない場合があります。
多治見ききょう法律事務所では,3年分を含めています。
年金分割
何らかの方法で計算して経済的利益に含める場合と,含めない場合があります。
多治見ききょう法律事務所では含めていません。

(ポイント4)経済的利益にかけ算をする割合について

経済的利益の額を基準に11%,17.6%などと,割合で定めることが多いです。割合が弁護士によって異なります。多治見ききょう法律事務所では11%としています。

ポイント3とポイント4で大きな差が生じる

ポイント3(経済的利益の計算方法)とポイント4(かけ算をする割合)の確認は,とても大切です。
例として,夫の年収が700万円で,専業主婦の妻が子供2人の親権を取るというときに普通にありうる「1か月10万円の養育費を獲得」の養育費分の報酬金額を比較してみましょう。

ポイント3が養育費3年分,ポイント4が11%ならば……39万6000円
ポイント3が養育費7年分,ポイント4が13.2%ならば……110万8800円

弁護士費用を相手方に請求できるか

「相手の浮気で離婚するのだから,弁護士費用を相手方に請求できますよね?」と言われることがあります。しかし,反対に,万一でも,敗訴した場合には,自分の依頼した弁護士のほか,相手方の弁護士費用を負担しなければいけないとすると,裁判をすることを躊躇する方も多いものです。

このようなことから,現在の制度では,それぞれの弁護士の費用は依頼した方が負担することとなっていますので,相手方に弁護士費用を負担してもらうことは無理,と考えていただくのが,間違いありません。もっとも,事情によっては,このような弁護士費用の負担も考慮して,慰謝料の金額を決めてもらうことになります。

弁護士を依頼するときの注意点Q&A

(弁護士が信頼できない)
Q DV慰謝料の話になったんですが,相手方がこちらから提示している金額から,だいぶ値下げ要求してきたんです。20発以上殴られる蹴られ踏みつけられ,住み慣れた家には戻れず,お金もなく,私達母子は死にたいと思うほど精神的ダメージがあったのに、値下げだなんてって情けなくなりました。依頼していた弁護士さんまでも,相手方と電話で話したら紳士的で落ち着いた方でしたなんて言っていて,その後は,慰謝料減額した方がいいって私に説得して来るようになったんです。これはどういう理由があっての事なのか、弁護士さんの考えてる事が分からなくなってきてしまいました。信頼をなくしたっていうのは大げさな言い方かもしれないですけど,私の知らないところで,相手方と何か話してる?とか感じてしまうんです。考えすぎでしょうか?
A 結論から言いますと,弁護士への不信感が生じたときは,弁護士とディスカッション,「話合い」をするのがいいと思います。そして,その際には,疑問に思うところを遠慮なく尋ねられるとよいと思います。
弁護士のアドバイスは,多くの場合,裁判になった場合の結果を予測し,より依頼者,ご相談者にとって良いと思う解決案を提案しています。
このケースの場合でしたら,弁護士として予測した場合,もし,裁判になったとしたら,請求している金額が認められないかもしれないから,それならば時間的にも早く解決でき,金銭的にも悪くない金額で確実に解決できる選択もあるのではないか?と考えてアドバイスをしていることもあると思います。
その可能性,リスクも伝えたうえで,それでも裁判を選択する,ということでしたら,依頼者の意思を尊重する,という弁護士が多いと思います。
しかし,弁護士である私自身も反省するところですが,そういう弁護士の気持ちが伝わっていないことがあり,依頼者の方に不安を与えてしまうことがあります。
ですから,弁護士に対して不安になったとき,進むべき方向が一致していないと感じたときには,依頼者の方から,話合いの機会を作ってほしい,と言っていただけたらと思います。
忙しい弁護士に打合せの機会をもらうのは,躊躇される方もいらっしゃると思いますが,その場合も,「なぜ」話合いの機会を設けてほしいのか,「話し方」を工夫して話してもらえれば,弁護士の抵抗も少ないと思います。
「先生(弁護士)に対して不信感があります」と伝えるのではなくて,この点でご自身が「不安である」と伝えることで,プライドの高い弁護士であっても,比較的受け入れやすく話を聞けるのではないかな・・・と思っています。
不安を解消しつつ,意思を統一し,同じ方向を向いて進めていけるよう,依頼する弁護士をしっかりと選ぶこと,依頼した弁護士としっかりと話をしながら進めることが大切になります。

(弁護士 木下貴子)

動画解説

弁護士木下貴子が,このページ「離婚調停を弁護士に頼むべきか?そのメリットと弁護士費用」をYouTubeでお伝えしています。

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この記事を書いた弁護士

著者木下貴子

弁護士 木下貴子

多治見ききょう法律事務所所長

岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり25年目。
離婚事件を中心的に取り扱い,これまでに受けた離婚のご相談件数は1000件を超えます。ご相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーに対応しています。
離婚・夫婦に関する講演の講師も務めています。
著書の「離婚調停は話し方で変わる」(ききょう出版)はAmazonランキング法律部門第1位を獲得しました。

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