ご予約・お問い合わせはTEL.0572-26-9852
〒507-0032 岐阜県多治見市大日町21 大日ビル3号
最終更新日:2022年6月25日
お子さんとの面会交流をしたい父親が面会交流調停を自分で進める方法を,弁護士木下貴子(弁護士歴24年)が連載記事「弁護士木下貴子の面会交流調停徹底解説(父親向け)」でお伝えしています。
連載第14回は,面会交流調停の調停期日で裁判官・調停委員に話をするときに意識しておきたいことをお伝えします。
面会交流調停が合意に至らなかった場合には,裁判官が審判の形で判断をします。その判断のためには,調停中に作成された資料も活用されます。
また,面会交流調停が終わるまでは,希望どおりの面会交流ができない日々が続きます。
こうしたこともふまえると,面会交流調停で話をする目的は次のとおりとなります。
こういった目的を達するため,私は,面会交流をしたい父親が意識しておくべきことが3つあると考えています。
現在の状態のまま審判になったときにどのような結果になるのかを理解していないと,審判の結果を希望に近づけるための的確な対策,悪くしないための的確な対策ができません。
また,審判の結果が予測できていないと,(元)妻側の提案を受け入れて調停を成立させるのが適切なのかそうでないのかの判断もできません。判断を誤って後悔することにもなります。
(元)妻側の態度が変わらないときには,審判へと手続を進めるよう求めるという対策が考えられるところ,審判の結果を予測して,その対策が有効なのかどうかを見極める必要があります。
審判になったときに認められないようなものを,正当な主張のように語っても,調停委員の共感は得られにくく,逆効果になることがあります。
そのため,冷静に,審判になった場合の結果を予測し,理解しておく必要があります。
あなたが希望しているような面会交流の実施に(元)妻が協力したくないので,調停になってしまっているのです。
あなたの希望する面会交流が,予想される審判結果よりも回数・内容の充実したものなのであるならば,(元)妻の気持ちを協力する気持ちに変え,調停に合意してもらうしかありません。
また,予想される審判結果どおりの希望であっても,早く円滑に実施したいならば,(元)妻の気持ちを協力する気持ちに変え,合意をしてもらう方が良いです。
そこで,(元)妻の視点に立って,どうしたら(元)妻が協力したい気持ちになるかを考え,言動を選ぶことが必要となります。
(元)妻の視点を考える上で大切なのに見落としがちなのは,(元)妻の心身の負担です。
あなたの子供は,あなたの(元)妻と一緒に暮らしています。
そして,その子供は,あなたの(元)妻に世話になりながら,暮らしています。
親子だけで暮らしている場合はもちろんのこと,実家に住み(元)妻の親(子供の祖父母)の助けがある場合であっても,あなたの(元)妻は,子育てに多くの手間をかけています。
毎日そうした生活をしている(元)妻の心身の負担を想像してみましょう。
そういう生活の中で面会交流を実施することに,どのように負担感を感じるのか,不安を感じるのかを想像してみましょう。
男性がご自身で当たり前だと思っている言動であっても,女性の視点で見ると不適切なものであるということはよくあります。
妻がなぜ離婚したいと言い出したのか(家を出て行ったのか)よくわからないという場合には,思い込みのせいで理解できないままとなっていることがよくあります。
思い込みがあるままでは適切な言動ができませんので,女性に,あなたの話をどう感じるかを尋ねてみるのもいいでしょう。
「子供を連れて勝手に出て行った」「子供と引き離して追い出した」など,(元)妻に対して不信感や怒りの気持ちを抱いていることもあるでしょう。その感情のままに,(元)妻に対し不信感や怒りをぶつける言動をしてしまう方が多いです。
しかし,そのときには,(元)妻に,あなたへの不信感や怒りの気持ちが生じます。
そして,(元)妻に,あなたの希望をかなえるための協力などしたくないという思いが生じ,強まります。
(元)妻が,不安や不愉快な気持ちになれば,一緒に生活しているお子さんの世話や精神的ケアに心を砕く余裕がなくなります。
お子さんが,(元)妻の様子を敏感に感じとって,あなたと面会したくないと言い出すこともありえます。
いろいろな思いはあるでしょうが,面会交流の希望を実現するためには,できるだけ感情をコントロールし,協力を得ることをめざした方が良いでしょう。
調停で,あなたが直接話をする相手は,(元)妻本人ではなく,調停委員になります。
あなたが希望している面会交流に(元)妻の協力が得られるようにするためは,(元)妻の視点に立って適切に選んだ言葉を,調停委員から(元)妻に伝えてもらう必要があります。
調停委員は,あなたが話した内容のうち,何をどの範囲で(元)妻に伝えるのか取捨選択します。そのため,調停委員に,あなたの話す内容を納得してもらい,あなたの希望を手助けしたいと思ってもらわなければ,あなたの話を(元)妻に十分に伝えてもらえません。
調停委員は,面会交流の回数・方法に関するあなたの希望を,単にそのまま(元)妻に伝えるだけにすることも,より積極的に調停委員会・調停委員の意見として(元)妻に勧めることもできます。
調停委員から(元)妻にあなたの望む回数・方法での面会交流の実施を働きかけてもらうには,調停委員にあなたの話に共感してもらうことが必要になります。
あなたが面会交流を希望しているときには,調停委員の共感を得るため,次の事情を積極的に話していく必要があります。
行動を伴わない薄っぺらな話と見抜かれれば共感は得られません。
共感してもらうためには,あなたの行動に裏付けられた話ができることが必要です。
さらに詳しく知りたい別居親の方のため,子供に会えるようになる言動の3つのポイント,会えなくなる言動の3つのポイントを,無料のアドバイスブックでお伝えしています。
今すぐ下のボタンをクリックして,詳細をご確認ください。
(弁護士 木下貴子)