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最終更新日:2022年9月10日
お子さんとの面会交流をしたい父親が面会交流調停を自分で進める方法を,弁護士木下貴子(弁護士歴24年)が連載記事「弁護士木下貴子の面会交流調停徹底解説(父親向け)」でお伝えしています。
(元)妻が面会交流実施時にあなたと顔を合わせるのを嫌がっている,連れ去りを心配されている,(元)妻と直接連絡を取るのが難しいなどのときには,面会交流支援団体(第三者機関)の利用も選択肢となります。
連載第19回は,面会交流支援団体の利用について解説します。
面会交流を支援するサービスをしている民間団体・個人があります。サービスの実施者は,公益社団法人,NPO法人,一般社団法人,任意団体,個人事業者など様々です。(個人事業者もありますが,この記事では,団体ということで説明していきます。)
民間サービスですので,それぞれの団体が,自由に,サービス内容,料金,利用方法,利用条件を設定しています。
民間サービスですので,団体側が利用を断ることは自由で,実際に利用を断られることがあります。
ウェブサイト上で事業報告を公開している団体もあり,そのような団体の事業状況・財務状態は確認ができます。公開情報によると,会費・利用料収入がわずかで,補助金や寄附金で何とか家賃・通信費・旅費交通費をまかなっているような団体が少なくありません。人件費支出も決して多くありません(人件費支出0の団体もあります)。
一部の自治体では,面会交流支援事業を行っています。
明石市,大分県が自治体自ら(明石市は一部を外部に委託),面会交流支援事業を実施しています。
東京都,千葉県,岐阜県,富山県,静岡市,浜松市,岐阜市,北九州市,熊本市,高松市などは,外部に委託をして,面会交流支援事業を行っています。
同居親(子供)の住所地の自治体でこのような事業が行われているときで,収入要件など利用要件を満たすときには,こうした事業を利用すると費用負担なく支援を受けられることがあります。
面会交流支援団体も自治体事業もサービスの種類に大きな違いはありませんので,面会交流支援団体を例に説明していきます。
サービスの種類は概ね次の3種類です。
これらサービス全てを実施している団体もあれば,一部のみを実施している団体もあります。
また,受渡し支援といっても,団体の指定場所で行う方法と,利用者の希望に合わせて行う方法があるなど,同種サービスでも,具体的なサービス内容には違いがあります。
一つの団体の例にはなりますが,NPO法人ウィーズの支援内容紹介動画がわかりやすく,参考になります。
面会交流支援団体は,子供を支援する目的で面会交流支援事業を行っているものが全部かほとんどだと思われます。
自治体が面会交流支援事業に税金を使うのは子供のためです。
見守り(付添い)支援,受渡し支援,連絡調整は,子供のために行われることになります。
あなたが面会交流支援団体に支払う費用も,子供のための支払いになります。
自治体の面会交流支援事業を利用しない場合は,父母で,面会交流支援団体を探して選ばなければなりません。基本的には,裁判所も紹介してくれません。
比較検討したい場合の情報源として,法務省のウェブサイトのページに,面会交流支援団体の一覧表があります。ただ,法務省のページの一覧表に載っているのは掲載を希望した団体だけであり,載せていない団体もあります。法務省のページに書かれている注意事項をよく読んで理解した上で利用することが必要です。
この他に一覧表が確認できるサイトとして,面会交流.comがあります。
どちらにも載っていない面会交流支援団体は,ウェブ検索やクチコミで探すしかありません。いくら調べてみても,近隣地域に利用できる団体がないこともありえます。
1個以上の選択肢があるときは,まず,利用しなければならないサービス(見守り支援,受渡し支援,連絡調整)の取扱いの有無と,そのサービスが利用できる子供の年齢条件(下限と上限)の確認が必要です。
その上で複数の候補があるときには,地域,回数・時間制限,期間制限,利用方法,サービスの具体的内容,サービス利用時のルール,費用などが適した団体を選ぶことになります。
わからないことがあるときには,その団体に問い合わせましょう。弁護士に依頼をしている場合でも,ご自身で問い合わせた方が,詳しく説明を受けておきたいことを尋ねることができますし,面会交流支援団体からの質問に的確に対応できます。
面会交流支援団体を利用するという調停条項のある調停を,面会交流支援団体の了解なく成立させると,面会交流の実施が不可能となってしまうことがあります。
利用申込み・事前面談を経て,利用の可否を決めている団体が多いです。利用者が増えすぎたことにより新規申込みを全て断っている団体もあります。
調停での合意に面会交流支援団体に対する拘束力はありませんから,面会交流支援団体の了解なく調停を成立させても利用を断られることがありえます。
また,申込みもせずに調停で時間をかけて話し合った後に,申込みをして断られると,話し合っていた時間が無駄になってしまう可能性があります。
調停条項に面会交流支援団体名,利用するサービスの種類まで記載することを求めている団体もあれば,そこまでは求めていない団体もあります。毎月の実施曜日(「第2土曜日」など)を記載していることを求めている団体もあれば,細かく決められていると対応できないので困るという団体もあります。費用の負担割合の記載を求めている団体もあります。団体の援助担当者の指示に従うことの記載を求めている団体もあります。
面会交流支援団体の定める回数制限,時間制限を守る必要もあります。
裁判所が面会交流団体の利用が可能なことを保証してくれることはありません。面会交流支援団体の利用の可否・手順を確認し,手順を踏むことは,調停の当事者がしなければなりません。
確実に面会交流を進めるためにも,ご自身で,面会交流支援団体に問い合わせ・確認するのが良いでしょう。
見守り(付添い)支援ともなると,1回の面会交流に2〜3万円かかることがあります。受渡し支援でも1回1万円程度かかることがあります。
団体の運営上適正な対価であっても,支払う立場からすると負担感の大きい額となります。そのため,面会交流実施回数・時間を減らしたり,負担割合に工夫をしたりしないと,一方または双方の家計のやりくりが困難となることもあります。
負担割合については,父母折半の費用負担しか認めていない団体もありますが,多くの団体は父母が合意して負担者を決めたり負担割合を決めたりすることを許容しています。調停で,負担割合を話し合って取り決めることが必要となります。
調停委員は折半を勧めてくることが多い印象ですが,(元)妻から,費用負担が困難という理由が示されて面会交流実施回数が制限されてしまいそうなときには,あなたの負担割合を増やして面会交流実施回数を維持するか,負担割合そのままに回数を減らすかを選択する必要が生じることがあります。
なお,文京区や船橋市などでは,面会交流支援団体のサービスを利用した場合の補助金制度があります(令和4年7月現在)。補助金制度があるときは,補助金支給要件を確認しておくと良いでしょう。
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(弁護士 木下貴子)