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親権を取りたい父親が親子交流調停をするときの注意点

最終更新日:2026年4月1日

お子さんとの親子交流をしたい父親が親子交流調停を自分で進める方法を,弁護士木下貴子(弁護士歴25年)が連載記事「弁護士木下貴子の親子交流調停徹底解説(父親向け)」でお伝えしていきます。

連載第4回は,別居中の夫婦で,子供と別居状態になっている父親が,子供との交流を求めたい,親権も取りたいと考えているときの注意点について解説します。
親権取得をめざしていない方,離婚後の方は,読み飛ばしてください。

親子交流調停で別居の現状を追認すると親権取得が難しくなる

子供の親権者を決めるときには,「子供の環境を変えるよりは,変えない方が望ましい」という考慮も働き,長期間継続している環境であるほど考慮されることになります。離婚時まで別居状態が続くと,親権争いは不利になっていきます。
令和8年4月以降は,離婚後も共同親権を選択できるようになりましたので,子供と離れて暮らす親の立場で共同親権を希望するだけならば別居状態が続いても共同親権者となれる可能性がありますが,親権を取得して子供の同居親ともなりたい場合には不利になるでしょう。

別居中に親子交流の調停で合意するということは,通常,母親と子供が同居を続け,父親が別居している現状を変えないことの合意を含みます。調停で合意する条項は,例えば,次のようなものとなります。

1 申立人と相手方の別居期間中,相手方が当事者間の長女○○(平成○年○月○日生。以下「長女」という。)と同居する。
2 相手方は,申立人に対し,以下のとおり,申立人と長女が直接交流することを認める。
(1)……
(2)……

裁判所の手続きとして,子供の引渡しを求める手続きがありますが,夫婦の合意により子供が妻(母親)と同居している場合には,合意がないときよりも,子供の引渡しが認められにくくなります。
さらに,裁判所という場所で,上に記載したような明確な合意をしているとなれば,変更を認めてもらうのはとても難しくなります。
そのため,親子交流調停での合意は,離婚前に子供を自分と同居させることによって,離婚時に自分が親権者となって同居親として一緒に住めるようになる可能性を高めていくという手段を取りにくくしてしまうことになるので,注意が必要になります。

親権の紛争が生じさせる悪影響

理想と現実

夫婦間で争いがあっても,子供にとって望ましいのは,別居親である父親からも愛されていることを感じてもらうために親子交流を実施して交流を続け,離婚時において,子供の親権者として適切な方を親権者とする(裁判所に,適切な方を親権者として決めてもらう)ということになります。
母親としての正しい姿は,親権の争いの有無に関係なく,子供の利益のためになるのであれば,離婚前であっても,父親との親子交流をさせることです。

しかし,全ての母親が,理想通りの行動ができるわけではありません。

子供を奪われたくないという感情

母親の中には,「子供を奪われたくない」という感情がとても強く,

  • 親子交流させると子供を帰さないのではないか
  • 親子交流時に子供に父親と一緒に暮らした方が良いと吹き込むのではないか
  • 親子交流で手懐けようとするのではないか
  • 親子交流でこちらの悪口を言うのではないか
  • 子供と父親の関係が良好に継続すると親権争い・同居親を決める争いが不利になるのではないか

という心配をして,親子交流を強く拒否する方もいます。

フレンドリーペアレントルール

「フレンドリーペアレントルール」といって,他方の親との関係に寛容な親の方を親権者として適格とすべきという考え方があり,外国ではこの点を大きく考慮して親権者(監護者)の決定をしているところもあるのですが,日本では,考慮すべき事情の1つとする程度となっています。そのため,なかなか,これが,親子交流をさせようという動機付けにはなりません。
(なお,フレンドリーペアレントルールにも問題があるとして,オーストラリアなどでは見直しがなされています。このルールを用いると,親権(監護権)獲得に不利になることをおそれて,(元)配偶者からの暴力や虐待について訴えを起こすのを躊躇せざるをえなくなる,子の利益や心身の安全上の懸念があっても無理に親子交流を実施させることになりやすいという問題が指摘されています。)

協力する気持ちの喪失

親子交流の実施には,父母の協力が不可欠です。

父親が親権を取得して子供と一緒に住もうとするときには,自分が親権者にふさわしいことを主張することになります。そのとき,母親が父親よりも劣っている点や,母親が親権者としてふさわしくないといえる事情を見つけ,主張することも必要となります。

しかし,自分を批判するような人に協力しようという気持ちにはなりにくいものです。

親権争いが親子交流に及ぼす悪影響

そのため,親権争いをしていると,次のような影響が生じやすいです。

母親が非協力的になる
親子交流の拒否反応が強く,非協力的で,親子交流の話合いが円滑に進まない,実施できない,回数が増えないということになりやすいです。
子供が気を遣う
母親の渋々な態度を見た子供が,母親に気を遣ってしまい,親子交流を楽しんでくれない,親子交流をすることに罪悪感をもつ,親子交流を嫌がるということになりやすいです。
父親の悪口が子供に聞こえる
母親が,子供の前で,父親のことを,意識的に悪く言うこともありえれば,無意識に愚痴を言ってしまうということも生じやすくなります。

親子交流が難しくなるだけでなく,子供に,両親の争いに巻き込まれて傷つき,気を遣わなければならない不幸な状況をもたらすことになりやすいのです。

最終的に単独親権を取得できないとき,共同親権でも一緒に住む親となれなかったときには,親権も取得できない,一緒に住むこともできない,親子交流もうまくいかない,子供を長期間争いに巻き込んで苦しめるという結果となります。

父親の決断の必要性

裁判所は,父親に問題がなければ,親子交流を実施するよう母親を説得してくれるのが通常です。また,最近では,裁判所も,「親ガイダンス」で,同居親に対し,子供への適切な接し方を教えることもしています。

しかし,理屈通りの行動ができる人ばかりではないうえ,理屈で感情を制御し,子供に対して平静を装い続けるというのは,誰でもできるような容易なことではありません。
別居親である父親としては,自分の態度は変えられても,相手の態度は変えるのは難しいという前提に立ち,現実をふまえて,どのような行動をするのか決断する必要が生じてきます。

父親が決断すべき事項

親権を取得して子供と一緒に住みたい,当面の親子交流もしたいと,両方をめざしたいと考えている父親が決断すべきは次の2項目です。

1 親権の主張を続けるか

親子交流が円滑に進むことをめざして,親権の主張を取りやめるかどうかを決めることになります。親権を主張し続けることにデメリットもあることを理解した上,後悔のないよう,決断してください。

2 離婚成立前の子供の引渡しを求めるか

離婚成立前の子供の引渡しをめざす場合には,親子交流調停をせずに,「子の監護者指定」(または「子の居所指定に係る親権行使者指定」)と「子の引渡し」の審判手続きを行うことになります。簡単に認められるわけではなく,紛争を大きくして母親の親子交流への拒否態度が強化されてしまう可能性がありますので,デメリットも意識して,決断する必要があります。

選択肢

選択肢は,次のとおりとなります。

  1. 親権者・同居親となるという主張を取りやめる
  2. 親権者・同居親となるという主張を続け,親子交流調停ではなく,子供の引渡しの手続きを行う
  3. 親権者・同居親となる主張を続けつつ,親子交流調停を行う

「親権者・同居親となる主張を続けつつ,親子交流調停を行う」選択について

親子交流調停での合意は,離婚前の子供の引渡しが認められにくくなるというデメリットはありますが,離婚前の子供の引渡しをめざさない場合や,子供の引渡しの手続きをしても認められないような場合には,このデメリットを回避する必要がありません。

親権争いが続いて,調停で解決せず,裁判に進んだようなときには,解決まで1年以上かかることも多いものです。裁判官が,その間子供との交流すらしていない父親を親権者に定めて,子供を引き取らせるという判断をする可能性は低いです。
親権取得の可能性を少しでも高めるためには,親子交流を実施して子供との関係を維持・構築する方が良く,そのために親子交流調停を行うことも必要となります。
また,子供の立場からも,父親と長い間会えないのは不幸なことです。

親子交流調停も取りやめるという選択は,不適切ということになります。

子供の引渡し手続きをしても認められる可能性が低い場合には,両方のリスクを考え,また,子供の引渡しが認められるまでの暫定的な親子交流を求める意味でも子供の引渡し手続きの申立てをしつつ,親子交流調停を申立てることも考えられるでしょう。

弁護士への相談・依頼について

親権や,子供の引渡しが認められる可能性の程度について,弁護士に相談した上で,決断するのも大事でしょう。

弁護士に親子交流調停を依頼する場合には,決断したご自身の方針を伝えて,理解してもらい,その方針で手続きを進めてくれる弁護士に依頼をしましょう。

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アドバイスを手に入れる

(弁護士 木下貴子)

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この記事を書いた弁護士

著者木下貴子

弁護士 木下貴子

多治見ききょう法律事務所所長

岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり26年目。
離婚事件を中心的に取り扱い,これまでに受けた離婚のご相談件数は1300件を超えます。ご相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーに対応しています。
離婚・夫婦に関する講演の講師も務めています。
著書の「離婚調停は話し方で変わる」(ききょう出版)はAmazonランキング法律部門第1位を獲得しました。

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