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最終更新日:2023年10月9日
お子さんとの面会交流をしたい父親が面会交流調停を自分で進める方法を,弁護士木下貴子(弁護士歴25年)が連載記事「弁護士木下貴子の面会交流調停徹底解説(父親向け)」でお伝えしています。
連載第5回は,弁護士依頼を検討している方のため,弁護士依頼について解説します。
面会交流調停を弁護士に依頼するかどうかは,メリットとデメリットを比較して決めるのが良いと思います。
依頼をするときには,弁護士がしてくれること・してくれないことを理解した上で,依頼をしましょう。また,弁護士により,弁護士費用の定め方は様々ですので,着手金の額だけでなく,日当などの額も確認し,総額で必要な費用を予測,理解した上で依頼をするようにしましょう。
次の順序で解説していきます。
面会交流調停では,裁判所の調停委員に面会交流の調整をしてもらいます。調停委員があなたの話を聞き取り,相手方に話します。
また,事実を明らかにするために,調査官が双方に事情聴取をすることもあります。
調停委員や調査官に,あなたの主張を正しく理解してもらい,共感してもらえるように話すことが必要です。
調停委員や調査官に,正しい理解をしてもらって共感してもらえなければ,あなたの意に添うように相手方を説得してくれることも期待できません。
面会交流調停は,申立て時点の状況を正確に把握して,面会交流をさせるべきかどうか,どのような形でさせるべきかを決めるだけのものではありません。
申立ての時点に存在している阻害要因(面会交流を難しくしている事情)を,面会交流調停の手続きの中で見つけ出し,軽減・解消していくこともする手続きです。
阻害要因を軽減・解消するためにあなたにできることを見つけ,実行していくことが必要となります。
面会交流調停申立て前から,自分で阻害要因を発見し,できることを見つけ,実行していくことも必要となります。
面会交流調停は,申立ての時点に存在している阻害要因(面会交流を難しくしている事情)を軽減・解消していく手続きなのですが,感情的になって,逆に阻害要因を増やしてしまう,強化してしまう方がいらっしゃいます。
多治見ききょう法律事務所では,離婚調停・面会交流調停で子供に会いたい人のため,失敗言動を避けて,望ましい言動ができるようにするためのアドバイスブックを,無料プレゼントしています。
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面会交流調停では,相手方の提案どおりの調停を受け入れるか,拒否するかの判断を伴います。
面会交流を試行する場面においては,どこでどのように実施するのが適切かの判断を伴います。
あなたが相手方と話すと感情的になってしまうときや,相手方が直接の連絡を嫌がっている場合には,弁護士が間に入ることで,対立・感情の無用な悪化を防ぐことができます。
言うまでもありませんが,弁護士に依頼をすれば弁護士費用がかかります。
面会交流では,別居親である父親側にも阻害要因を取り除くための行動が必要であって,弁護士に頼めば楽に面会交流ができるというわけではありません。
面会交流調停を行う裁判所から遠い弁護士に依頼をすれば,弁護士の拘束時間が長くなりますので,弁護士の予定を合わせることが難しくなり,調停の日が先になってしまうということがあります。
また,自分の自宅・職場から遠い弁護士に依頼をすると,弁護士の事務所に打合せに行くのに時間を浪費することになります。
子供との面会交流は,子供の心情・成長や,親の心情についても,深い配慮が必要となるものであって,全ての弁護士が,この部分についてのアドバイスに関心を持っているというわけではありません。
また,弁護士は,裁判手続きの中で,書面を提出して主張をする,依頼者のために相手方に負けないように反論するという姿勢が身についています。
そのため,意識をしないと,話合いの場である調停でも,つい,相手方の言い分に対して,○○は違う,××はおかしい,依頼者の主張が正しいという主張をしたり,そのような書面を提出したりしがちです。
しかし,(元)妻を否定,非難することは,確実に(元)妻の感情を悪化させ,面会交流実施に協力しようという気持ちを失わせていきます。面会交流実施の義務を認めさせることよりも,協力を取り付けることの方が効果的なのが,現在の日本の実情です。
私は,主張・立証よりも,客観的に子供の心情を捉えることができて,面会交流の阻害要因を見つけて取り除くことに熱心な弁護士に依頼をすることをお勧めしています。
面会交流調停の代理人を弁護士に依頼するかどうかを決める前に,弁護士に依頼したときに弁護士が行うサービス内容を知っておくと良いでしょう。
普通の弁護士であれば,面会交流調停の基本的な業務はしてくれますが,その充実度には弁護士による差があります。また,周辺的な業務になると,弁護士により,サービス内容に含まれる・含まれないの考え方も違っています。
そこで,面会交流調停とその周辺で必要となりうる事項について,次の区分で,サービス内容に含まれるかどうかを区分してみました。
○ 大半の弁護士が面会交流調停の代理人受任のサービス内容に含んでいる
× 大半の弁護士が面会交流調停の代理人受任のサービス内容に含んでいない(含んでいる弁護士も少数ある)
△ 弁護士により分かれる
もっとも,面会交流調停に臨むご依頼者の状態や希望は,多種多様ですから,サービス内容に含むものでも,そのご依頼者の面会交流問題の解決にとって必要がないと弁護士が判断する項目は行わないことになります。
弁護士がやってくれていない項目があり,どうしても弁護士にやってもらいたいときには,その理由を伝えましょう。そして,弁護士に,弁護士が必要ないと判断している理由を尋ねると,うまくコミュニケーションが取れると思います。
○(サービス内容に含まれる)
代理人として相手方との連絡窓口となります。相手方からの直接連絡を避けたい希望のある場合に頼むと良いでしょう。相手方との直接連絡の苦痛を減らすことができます。
弁護士に丁寧な言葉に置き換えて伝えてもらうことにより,言葉遣いに失敗して感情を害するというリスクも減らすことができます。
言わない方がいいことを制御してもらうこともできます。
ただし,調停手続中に暫定的に面会交流を実施するときには,急な発熱による中止連絡など,弁護士を挟む余裕がなく,直接の連絡が必要な場合があります。
△(弁護士により分かれる)
調停手続中に父母で暫定的な面会交流を取り決めて実施することがあります。
弁護士の業務は法的な手続きであって,法的な手続きではない面会交流の実施そのものの立会いは,通常業務には入らないと考えましょう。弁護士自身も,休日には家庭生活がありますし,日程を合わせることが難しいことも多いので,立会いをしないのが一般的だと思います。
立会いを承諾してもらえる場合でも,別枠で費用を支払う必要があると考えた方が良いでしょう。
多治見ききょう法律事務所では,特別な事情があって,個別にご了承した場合を除き,面会交流の立会いはしていません。
弁護士が調停申立準備の大半を行うことにより,ご依頼者自身が準備する手間・時間が減少します。また,迅速に,適切な申立書を完成させることができます。
○(サービス内容に含まれる)
○(サービス内容に含まれる)
もっとも弁護士が郵送で取り寄せるよりご依頼者本人が取りに行った方が早いときには,ご本人に取得していただくことが多いです。
○(サービス内容に含まれる)
○(サービス内容に含まれる)
申立準備の中心となる作業です。
各弁護士の能力・経験により,完成物に差が生じる作業になります。
○(サービス内容に含まれる)
専門的見地から,法的な対応,これまでの経験から,法的な予測を踏まえた人生の選択に関しての的確なアドバイスを受けることができます。
○(サービス内容に含まれる)
各弁護士の能力・経験により,アドバイス内容に差が生じます。
○(サービス内容に含まれる)
面会交流調停とは別の手続きの申立てをした方が良い場合,しない方が良い場合があります。
各弁護士の能力・経験により,アドバイス内容に差が生じます。
面会交流調停以外の手続きの弁護士費用は,別途負担する形になることが多いです。
△(弁護士により差がある)
法律事項ではありませんので,弁護士の考え方によって扱いが大きく違う分野です。
不安や気持ちを依頼している弁護士に理解してもらえず,つらい思いをされている方のお話もよくお聞きします。
依頼している弁護士が忙しそうで,電話で話しづらい,打合せの時間も取ってもらえないという話をお聞きすることもあります。しっかりと話の時間を取ってもらうことをご希望の場合には,依頼前に確認すると良いでしょう。
多治見ききょう法律事務所では,不安をなくした上で,その人に合った人生の選択ができることに力を入れており,不安解消のためのサポートにも取り組んでいます。
ご依頼者自身で裁判所との連絡・調整を行う手間・時間の負担が,なくなります。
○(サービス内容に含まれる)
○(サービス内容に含まれる)
調停当日に弁護士の支援を受けることで,その場で的確な対応が可能となり,ご依頼者の不安が解消されます。
○(サービス内容に含まれる)
代理人である弁護士は,一緒に調停室の中へも入ります。面会交流調停では,ご本人も裁判所へ行くのが原則であり,弁護士に代理人を依頼しても,裁判所に行かずに済むことにはなりません。
○(サービス内容に含まれる)
能力・経験により,弁護士が代理人として行う交渉には差が生じえます。
相手方の主張に対し,どのように対応したらいいのか,どのような解決案があるのか,審判になった場合の見通しも踏まえて,適切なアドバイスをします。
○(サービス内容に含まれる)
能力・経験をもとに,母親側の要望を受け入れて面会交流を実施するか,対案を出すか,どのような対案が考えられるかといったことについて,アドバイスをします。
実施可能で受け入れてもらえる可能性の高い対案を一緒に考えます。
○(サービス内容に含まれる)
面会交流調停で希望を叶えるには,弁護士とご依頼者の共同作業により,調停委員に共感してもらえるように,事実と希望を的確に話し,伝えることが大切になります。また母親側が協力する気持ちになるようなことを話すことも必要になります。
そのためには,何が問題点かを把握し,阻害要因を除去し,ご依頼者本人の希望とその理由,それを納得してもらえるような事実を選び出していく事前準備が必要になります。
そして,各調停期日では相手方からの反論もなされますので,その反論を踏まえて,「話し方」「話す内容」「話す順序」を工夫して準備し,可能な対策を実践していくことが,良い結果につながります。
弁護士により,事前に打ち合わせをして準備をする程度は様々です。
弁護士が行う準備としては,次のような事項が考えられます。
△(弁護士により分かれる)
もっとも,調査官の予定,ご依頼者の予定,弁護士の予定の全てを合わせることが難しいことも多く,早く実施してもらうために弁護士なしで進めるという選択をすることもあります。
△(弁護士により分かれる)
もっとも,裁判所の施設の空き状況,調査官の予定,ご依頼者の予定,子供,母親側の予定,弁護士の予定の全てを合わせることが難しいことも多く,立ち会わなくても,調査官の調査報告書の形で結果報告を見ることができることから,弁護士の立会いなしで進めるという選択をすることもあります。
△(弁護士により分かれる)
通常は,裁判所から注意事項の説明がありますので,それで十分です。
その内容を超えて積極的なアドバイスをするかどうかは,弁護士によって考え方が分かれると思います。
ただ,不安があって,聞きたいことがあれば,答えてくれる弁護士が多いと思います。
○(サービス内容に含まれる)
調査官の調査報告書など,裁判所に謄写(コピー)の申請をしないと手に入らない書類があります。弁護士に依頼をしていれば,弁護士がその手続きを行います。
×(サービス内容に含まれない)
弁護士費用の額は,弁護士によって異なります。
依頼しようとしている弁護士の弁護士費用については,その弁護士に尋ねるか,ホームページなどで公開されている料金表により確認するしかありません。
弁護士費用の定め方に規制はありませんが,「着手金+報酬金制」を取っている弁護士が多いです。ただ,着手金・報酬金以外に,事務手数料という支払項目があったり,日当という支払項目があったりすることがあります。
日当が0または低めに設定されている場合には,着手金33万円程度,報酬金33万円程度のことが多いようです。
面会交流調停が審判に移行したときには,追加の着手金の支払いを要する契約が多いです。
追加着手金支払の要否を理解し,納得した上で依頼をするようにしましょう。
面会交流調停では,当初に希望したとおりの結果とならなくても,合意ができて解決ができたときや,一部でも希望が叶ったときに,報酬金全額が発生する契約が多いです。
どのような場合に報酬金の支払いを要するかを理解し,納得した上で,依頼をするようにしましょう。
面会交流調停は,終了までに,標準的には5〜6回程度,多いと10回以上の調停期日が行われます。調査官による事実調査や試行的面会交流のために裁判所に行く機会も多いです。
たとえば,1回5万5000円の日当の契約の場合,標準的な場合でも25万円を超える日当の支払が生じますし,調停の回数が多くなると50万円を超える日当の支払いが生じることになります。1回ごとの額がさほど大きくない日当ですが,合計すると,着手金の額,報酬金の額を超えることがあります。
着手金が高めでありながら日当は安めの契約形態の方が,総額が安いことがありますし,支払総額が予測しやすいというメリットがあります。
(弁護士 木下貴子)