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最終更新日:2023年7月29日
お子さんとの面会交流をしたい父親が面会交流調停を自分で進める方法を,弁護士木下貴子(弁護士歴23年)が連載記事「弁護士木下貴子の面会交流調停徹底解説(父親向け)」でお伝えしています。
面会交流調停は,不成立になると,自動的に面会交流審判手続に移行します。
連載第22回は,面会交流審判手続について解説します。
面会交流調停では,合意成立の見込みがない場合には,調停不成立の手続がなされます。具体的には,調停室に,裁判官(または家事調停官),調停委員,双方当事者,裁判所書記官が立ち会って(同席して),裁判官(または家事調停官)が不成立とすることを告げます。
これにより調停手続が終了します。
面会交流調停が不成立で終了すると,特に別途申立てをしなくても,自動的に審判の手続に移行します。審判の手続を,単に「審判」と言うこともあれば,「審判手続」と言うこともあります。この審判手続は,裁判官が1人で主催する手続ですので,調停不成立をもって調停委員の役目は終わりになります。
調停を主催する調停委員会は「裁判官+調停委員」で構成されている場合と,「家事調停官+調停委員」で構成されている場合がありますが,裁判官が調停に関わっていたときは,審判も同じ裁判官が担当する扱いとしている家庭裁判所が多い印象です。家事調停官は審判の担当ができませんので,家事調停官が調停に関わっていたときは,審判手続に移行すると裁判官に交代します。
同じ裁判官が担当することになるときは,調停不成立の日に,そのまま審判手続が開始され,日程調整や,次回までの準備事項の確認がなされるのが通常です。
面会交流審判手続は,裁判官が,面会交流について判断を下すための手続です。この判断も「審判」と言います。当事者は,自分の希望どおりでなくても,確定した審判に従わなければならないことになります。
裁判官は,双方が出した主張と資料・証拠や,職権で調べて得た資料・証拠を基に判断をします。
調停手続で調停委員会は合意をめざしますが,審判手続で裁判官は適正な判断をすることをめざしていきます。
あなたは,その裁判官に,あなたが希望している回数・時間・方法で面会交流を実施することが子供の利益となり適切なものだと理解してもらう必要があります。
面会交流審判手続の管轄裁判所は,審判手続が始まったときの子供の住所地を管轄する家庭裁判所です。面会交流調停をしていた家庭裁判所と異なるときには,子供の住所地の家庭裁判所に事件を移して(「移送」といいます),移した先の家庭裁判所で面会交流審判手続を進めるのが原則です。
ただし,例外的に「事件を処理するために特に必要があると認めるとき」には,移送しないことができることになっています。調停での話合いが進められていたようなときは,この例外規定によって同じ家庭裁判所で審判手続を続けることが多いです。
面会交流調停では,「令和●年(家イ)第●●●号面会交流調停事件」という事件番号・事件名が付いていますが,審判手続に移行すると変わります。「令和△年(家)第△△△号面会交流審判事件」といったものになります。
審判手続で提出する書面には,審判事件の事件番号を書きます。
面会交流審判手続に移行したときに,裁判所の追加手数料はかかりませんが,弁護士に依頼しているときには追加の弁護士費用がかかることがあります。弁護士費用がかかるかどうかは,調停を依頼するときに弁護士と締結した委任契約の内容次第です。
委任契約に日当や交通費負担の定めがあるときには,審判の期日毎に日当・交通費の支払いを要することになります。
審判の1回の期日は通常は短時間であり,詳細な話ができる時間はありません。
書面により,あなたの希望する回数・時間・方法で面会交流を実施することが子供の利益となり適切なものであることを裁判官に伝える必要があります。面会交流調停の席で話しただけのことは記録に残っておらず,審判手続に引き継がれませんので,調停で話したことであっても必要なことは書面に書いて提出しましょう。弁護士に依頼しているときは,弁護士が書面を作成して提出しますので,その内容について弁護士としっかりと打ち合わせをしましょう。
裁判官から書面の提出期限を定められたときはもちろんですが,そうでなくても,調停不成立後の最初の審判期日の1週間前までに主張書面を出すようにしましょう。
審判手続は,家庭裁判所庁舎内の「審判廷」と呼ばれる部屋で行われます。調停室よりも少し広い部屋です。1つの部屋を,審判廷の用途とそれ以外の用途で兼用していることもあります。席の配置も,だ円のテーブルに全員が座る形もあれば,コの字型に長テーブルが配置されていることもあります。法廷とは異なり,裁判官も当事者も同じ高さのところに座ります。
審判廷の写真(和歌山家庭裁判所のウェブサイトのPDF)
審判手続は非公開です。審判廷に傍聴席がある場合でも,傍聴席はその部屋を別の用途で使うときのためのものであり,傍聴は許されません。
審判手続の期日では,原則として,当事者双方が同時に審判廷に入って手続が進められます。
当事者が遠方に住んでいて審判を行う家庭裁判所まで出向くことが困難であるなど,家庭裁判所が相当と認めるときは,当事者尋問などの証拠調べを除き,テレビ会議システム・電話会議システムを利用して期日の手続を行うことができることになっています(家事事件手続法54条)。
テレビ会議システム・電話会議システムの利用の有無については,裁判官が,当事者の意向や具体的な事情をふまえて判断することになります。
審判の各期日は,期日前に提出された書面をふまえてその後の進め方を確認する程度の短時間であることが通常です。弁護士に依頼しているときには,調停と異なり,弁護士が出席すれば当事者本人は欠席で構わないことも多いです。
もっとも,裁判官の判断で,直接に当事者本人の意見を聞く手続きが実施される場合もあります。そのようなときは,出席しなければいけませんし,1回の時間も長くなります。
あなたが弁護士を依頼している場合は,弁護士が,次の審判期日の予定や準備すべき事項を把握していますので,弁護士に尋ねておくと良いでしょう。
弁護士に依頼せずあなただけで審判の期日に臨む場合には,次回の期日に何をするのか,どのくらい時間がかかりそうなのかを確認しておくと安心でしょう。
面会交流調停中に双方が提出した書面や,調査官の報告書は,審判手続に引き継がれ,そのまま取り調べられるのが通常です。
面会交流調停が充実していて,調査官調査も十分に行われていたようなときには,審判手続に移行した後,主張を明確にした主張書面を双方が各1通提出する程度で,裁判官の判断に至ることもあります。
他方で,面会交流調停が早期に調停不成立になってしまったようなときには,裁判官が判断するのに必要な資料が足りていないことが多いので,審判手続の期日が繰り返されることがあります。審判手続中に調査官調査が行われたり,当事者本人に裁判官が質問をする審問手続が行われたりすることもあります。
調停の申立人は,審判手続に移行した後も,裁判官の判断(審判)がなされる前であれば,相手方の同意なしに申立ての取下げをすることができます。取下げをすれば,審判手続は終了します。
裁判官が下す審判が面会交流を認めないものであると予測できてしまい,挽回できる可能性も低く,審判手続を続ける意味がない場合があります。そのまま審判手続を進めると,主張書面をお互いに提出して対立を深めてしまうだけの有害な結果となることもありえます。
状況を整えてから再挑戦することも可能ですので,無理に審判手続を続けることなく,取下げをするのも良いでしょう。
また,審判で決まった面会交流というのは,調停で話合いによって合意した場合と異なり,あなたと(元)妻の対立関係が残るままに(元)妻が嫌々面会交流に送り出すようなものになりがちです。子供にとって,気を遣ってしまい,楽しみづらいものになるかもしれません。あなたが,調停手続で(元)妻に考えや行動を改めてもらうことを期待していたのであれば,それが達成できず審判手続に至ってしまったという現実をふまえて,そのような状況でも面会交流をするのかを再検討することも必要になるでしょう。
審判手続でも,裁判官が,審判を下す前に合意をめざす運営をすることがあります。
合意ができるときには,調停委員なしで裁判官だけが主催する形の調停手続に切り替えられ,調停成立で終了となります。
審判手続では,裁判官は,審理終結のときまでに裁判所に提出された書面・資料を基に,審判書を作成する方法で判断をします。
審理終結は,審判手続の期日の場で,裁判官が,双方の意見を聞いて,その時点で審理終結とする場合もあれば,裁判官が審理終結の日を事前に通知する方法でなされることもあります。
審理が終結になると,裁判官により審判の日(審判をする日)が指定されます。
審判の日には,裁判所の内部処理で審判書原本が作成されます。訴訟ですと,判決期日の日時に法廷での判決言渡しがなされるのですが,審判では言渡しはありません。そもそも,審判の日は,日付で定まっているだけで,時刻が決まっていません。
審判書が作成された後,審判書が郵送されてきます。弁護士に代理人を依頼しているときは,弁護士の事務所に郵送されたり,弁護士(実際には弁護士の事務所の事務職員)が裁判所に受け取りに行ったりします。
審判には以下に説明するとおり不服申立てができることになっています。不服申立期限までに申立人も相手方も不服申立て(即時抗告)をしなかったときに,審判が確定し,審判の効力が生じます。
審判に不服がある当事者は,受け取った日(弁護士に代理人を依頼しているときには代理人が受け取ると受け取ったことになります)から2週間以内であれば,高等裁判所に対する不服申立て(即時抗告)をすることができます。
不服申立てをするときには,審判をした家庭裁判所に,期限内必着で,高等裁判所宛の抗告状を提出する必要があります。
不服申立てがあると,高等裁判所の裁判官が3人で,その不服申立てを審査し,高等裁判所としての判断をします。不服申立てをされた側に,抗告状の写しを送り,反論の書面を出す機会が与えられるのが通常です。
ほとんどの場合,高等裁判所に行ったり,高等裁判所の裁判官と話したりすることのない書面のみによる審理です。
高等裁判所の判断は,双方が受け取ったときに効力を生じます。そして,高等裁判所の判断のとおりに面会交流の内容が確定することになります。
審判手続を弁護士に依頼していたときであっても,不服申立てを契約の範囲に含んでいないことが多いので,不服申立てをする場合,不服申立てをされた場合で,不服申立手続を弁護士に依頼したいときには,弁護士費用を支払って依頼をすることになります。
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(弁護士 木下貴子)