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養育費とは - 支払義務・取り決め方法・金額・支払継続対策

健全な成長

裁判所の説明によると,「養育費」とは,「子どもが健やかに成長するために必要な費用」とされています。簡単に言うと,「子どもの成長のための生活費」と言えるでしょう。

養育費を支払う義務は,親には子を扶養する義務があることから,発生します。

そして,裁判所の説明では,父母が離婚する場合,次の2点がとても大切であるとされています。

  • 子どもの養育費についてきちんと取り決める
  • 取り決めた養育費をきちんと支払う

そこで,この記事では,養育費について,制度の詳細説明,取り決め,支払いの順序で,解説をしていきます。
解説する項目は次のとおりです。

  1. 養育費と婚姻費用の違い
  2. 養育費の支払義務がある場面
  3. 養育費の取り決めをする必要性
  4. 離婚時・離婚後の養育費の取り決め方法
  5. 養育費の金額
  6. 養育費の取り決めの理想像
  7. 養育費を取り決めるときに役立つパンフレット
  8. 養育費の限界
  9. 養育費の支払いを続けてもらう方法
  10. 取り決めた養育費が支払われなくなったときの回収方法

別記事「再現!女性紫崎恭子の養育費相談」では,よくあるご質問について,会話形式で分かりやすく解説しています。こちらも参考にしてください。

回答者木下弁護士
具体的には,何をお知りになりたいですか?
相談者紫崎
養育費の相場は1ヶ月4万円ぐらいと聞いたのですが,本当なんでしょうか?

養育費と婚姻費用の違い

別居中の夫婦のそれぞれの収入では生活レベルに差がある

婚姻中(別居中・離婚前)の夫婦の場合,夫は,妻に対する扶養義務もあります。
収入が同レベルの生活をするのに足りないとき,妻は,自分と子どもが夫と同レベルの生活ができるよう,自分の分と子どもの分の生活費を合わせて請求できます。
これを婚姻費用(略して「コンピ」)と言います。子どもの分だけを養育費として意識する必要はありません。

別居中の夫婦は婚姻費用の支払いにより生活レベルを合わせる

この婚姻中(離婚前)の「婚姻費用」を計算するときには,子どもの生活費(離婚後の養育費にあたる部分)分も含めて金額を計算しています。
そのため,婚姻費用と別に養育費が請求できることにはなりません。

離婚するまでは,子どもの生活費を自分の分も含めて夫に婚姻費用として請求し,離婚後は子どもの分だけを養育費として請求すると覚えると良いでしょう。

養育費と婚姻費用の支払義務の根拠

婚姻している夫婦の間や,自ら自分の生活費を稼げる状態に至っていない(社会的に自立していない)子どもに対しては,自分の生活と同レベルの生活を保持させる義務があります。これを扶養義務の中でも,特にその義務が重いことから「生活保持義務」と言っています。夫婦が離婚しても,子どもは子どもですから,子どもに対するこの扶養義務に変化はありません。

子どもに対する扶養義務があると言っても,子どもは,高校卒業ころまでは生活費の管理ができません。多くの場合,大人が生活費を管理していることになります。
そのため,例えば,夫が子どもの生活費を負担していない場合には,妻が夫に子どもの生活費分も負担するように請求することになります。

そのため,扶養義務が,子どもの分を子どもに支払う形ではなく,夫婦(父母)の間で,婚姻費用(婚姻中)・養育費(離婚後)のやりとりがなされて,果たされることになります。

婚姻中でも,夫婦と子どもが一緒に同居生活している間は,「ダンナが生活費を渡してくれず,遊びに使ってしまう」という場合であっても,お金を渡してもらうために裁判所で裁判・調停をする,ということはほとんどありません。これは,同居している場合,夫が住宅ローンなど,何らかの生活費を負担していることも多いからかもしれません。
しかしながら,扶養義務を果たさず,婚姻費用を支払わないと離婚されても仕方ない,そのときには慰謝料も払わなければならないということにはなりますので,婚姻費用を支払う側になる方(多くの場合は夫)は注意が必要でしょう。
子どもが親元を離れて暮らすようなとき(遠くの大学・専門学校に行くとき,親戚に預けられるときなど)にも,裁判所で裁判・調停をして,生活費を請求する場面は少ないと思います。この場合も,子どもの学費などを夫が直接負担していることが多いからだと思います。

養育費の支払義務がある場面

子どもの分だけの生活費が意識されるのは,主に,

  • 離婚により片方の親と暮らすことになった子ども
  • そもそも婚姻はせず,認知しただけで一緒に暮らしていない子ども

の場合です。このように,子どもの分だけの生活費の話がなされるとき,その生活費の分担を「養育費」と言っています。

「養育費」は,子どもに対する義務なので,子どもに支払うという形で義務を果たすこともできます。親権者が,法定代理人として,子どもを代理して金銭を管理し,子どものために使うことになります。子ども名義の通帳を作成し,そこに入金してもらうような形式ですが,最近はこのような形も少し増えてきた気がします。
しかし,子どもと一緒に暮らしていない親が,子どもと一緒に暮らして子どもにかかる費用の支払をしている親に対してお金を払う形で,子どもに対する義務を果たすこともでき,親が親に対し支払うという方法がとられている場合がほとんどです。

妻が不倫をして子どもを連れて出て行ったときの養育費

妻が不倫をした,しかも,子どもを連れて出て行ってしまった,そして離婚になった,という,夫にとって悲惨な離婚があります。このような場合,養育費は,父親(元夫)から母親(元妻)へ支払われることになります。
こうした場合でも,元夫が,元妻に対してお金を払わなければならないなんて不条理ではないかという心情は理解できるのですが,「養育費」は,子どもに対する義務であり,離婚しても子どもであることは変わりませんので,養育費の支払いをしなければならないということになります。
確かに不倫され,離婚となる夫も悲惨なのですが,突然父親と引き離される子どもにとっては,事情もよく分からないままなぜこのような仕打ちを受けるのか,父親は私を愛していないのではないか,今後の自分の生活はどうなるのだろう,と沢山の不安を抱えます。自分で離婚を決意した当事者夫婦と比べ,そのような選択の機会も与えられないまま,一方の親との生活を奪われる子どもは,離婚によって最大の被害を被ると言えるのではないでしょうか(もちろん子どもに対する片親からの虐待があるなど子どもにとって必要な離婚手続きもあります)。ですから,「養育費」は相手(元妻)のために払うのではなく,子どものために払うのだという気持ちを持って,ぜひ支払って頂きたいと思います。
離婚して離れて住むようになっても,子どもさんに会ってあげてほしいと思いますが,このときも養育費を支払っていれば,会いやすいと思います。このとき,子どもを引き取った母親が子どもを元夫とあわせることに抵抗があることも多いのですが,これも元夫のためにあわせるのではなく,子どものために会わせるのだという気持ちで受け止めてほしいと思います。

養育費の取り決めをする必要性

養育費は,取り決めをしなければ,なかなか支払ってもらえません。厚生労働省「平成28年度全国ひとり親家庭等調査」でも,養育費の取り決めをしている世帯の方が,取り決めをしていない世帯よりも,養育費を受け取っている率が大幅に高くなっています。

しかし,子どもの父親と養育費の取り決めをしていない母親が多いのです。上記の厚生労働省の調査結果によると,協議離婚のときに取り決めをしていない母親が多いことがわかります。

離婚した母子世帯の母が養育費の取り決めをしている率のグラフ

離婚時・離婚後の養育費の取り決め方法

離婚する夫婦の間の子どもの養育費の額や支払方法は,離婚のときに取り決めることも,離婚した後に取り決めることもできます。このうち,離婚のときに取り決めることが推奨されています。

養育費を取り決める方法は,4つの方法があります。

  • 家庭裁判所の調停手続
  • 公証人役場で公正証書を作成
  • (元)夫婦の間だけで書面作成
  • 口頭で合意

4つの方法それぞれのメリット・デメリットは,次のとおりです。

家庭裁判所の調停手続

離婚調停で合意する夫婦

離婚時であれば離婚調停の中で合意することになり,離婚後であれば養育費請求調停をすることになります。
裁判所に申立をする必要があり,手間がかかります。
調停の費用は,公証人役場の公正証書作成費用よりも安く済みます。
調停の日程は融通がききにくく,調停の代理人には弁護士しかなれませんので,弁護士を立てない限り調停の日に裁判所に出向く必要も生じます。

家庭裁判所の調停で行った合意に違反があるときには,

  • 家庭裁判所による履行勧告・履行命令の手続き
  • 地方裁判所による強制執行の手続き

が可能です。

預金に強制執行をするときには,銀行名だけでなく口座のある取引店も特定する必要があります(ただし,ネット銀行は取引店の特定不要)。この特定が困難なときでも,家庭裁判所での取り決めの違反のときは,弁護士に依頼して,弁護士会を通じて銀行本店に照会してもらえば,口座の有無と取引店の回答が得られます。(公正証書では回答してくれない銀行が多いです。)

家庭裁判所の履行勧告に強制力はありませんが,強制執行と比較して手続きが簡単です。裁判所が支払を促してくれることにより,合意どおりの支払が再開することもあるようです。

調停手続で合意できないときにどうなるか

離婚時の離婚調停の場合

離婚調停で養育費の合意ができないときは,次のどちらかを選択することになります。

  • 養育費の合意がないまま,離婚することや親権者を定めて離婚の調停を成立させ,その後,改めて養育費請求調停をする。
  • 離婚をせずに調停を「調停不成立」「取下げ」で終わらせ,その後の離婚裁判(離婚訴訟)の中で話し合い,それでも合意できないときには判決で決めてもらう。
離婚後の養育費請求調停の場合

離婚後の養育費請求調停で合意ができないときは,「審判」という手続きに自動的に移行します。そして,裁判官が養育費の額を決定してくれます。

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公証人役場の公正証書

公正証書作成

公正証書作成は,最も費用がかかる手続きです。
公正証書作成は,裁判所よりも日程の融通がききやすく,親族を作成手続きの代理人にすることもできます。

公正証書の合意に違反があるときには,

  • 地方裁判所による強制執行の手続き

が可能です。

夫婦の間だけでの書面

離婚協議書

夫婦(父母)の間で合意内容を書面にするだけならば,費用はかかりません。
口頭では後から合意した・していないの争いになることがありますが,書面で合意すると合意の有無・内容が証拠としてはっきりと残ります。

養育費以外の合意も含めて,弁護士が「離婚協議書」として作成することも可能です。(多治見ききょう法律事務所では,料金10万円(消費税別)でお受けしています。別記事「多治見ききょう法律事務所の離婚サービス解説」も合わせてご覧ください。)

現在は,法務省が合意書のひな形を公開していますので,定型的に養育費の合意だけをするのであれば,このひな形を使うと良いでしょう。

合意書どおりの法的義務が生じますが,違反があっても,すぐに強制執行することはできません。
民事裁判を経て,合意書どおりの支払が強制されることになります。

夫婦の間での口頭合意(口約束)

養育費を口頭で5万円と合意

口頭の合意も有効ですが,後から合意した・していないの争いになることがありえます。避けた方が良いでしょう。

取り決め方法の実際

厚生労働省「平成28年度全国ひとり親家庭等調査」の結果によれば,母子世帯の母親が,子どもの父親と養育費の取り決めをしている場合の取り決め方法は,次のとおりとなっています。文書なしの口約束の取り決めも26.3%あることがわかります。

母子世帯の母の養育費取り決め方法グラフ

養育費の金額

では,養育費の金額はいくらが適正なのでしょうか。

裁判所が採用している考え方

法律で決まっているわけではありませんが,現在,裁判所では,父親と母親の内,裕福な方と同居した場合の生活レベルが,裕福でない方と同居することになった子どもにも与えられるべきという考え方で,養育費の支払額を計算するという方法が広く採用されています。

子どもの食費・学費・衣料費・医療費・部活の費用・塾の費用・お小遣いなどを合算したものを,父と母が分担しあうのではありません。

基礎収入の考え方

まず,収入の中から生活費に充てられる金額を概算します。税や社会保険料を引いた手取り収入の全てが生活に充てられるわけではなく,たとえばサラリーマンでいえば,給料の中から,スーツ・シャツ・ネクタイ・鞄・革靴などを定期的に買い替え,書籍を購入するなどもして研鑽を積むことが求められます。そのような費用として一定割合を差し引いた後の金額が生活費に充てられるものとしています。この金額を「基礎収入」と呼んでいます。

子どもが裕福な親と同居していたと仮定して,親と子どもが同レベルの生活をするときに子どもに充てられると考えられる額を算出します。
同居しているならば,収入を自分のために全部使うようなハイレベルな生活はせず,収入を子どもの生活にも回すはずです。

この場合の子どもの生活費を,父と母が基礎収入に応じて,負担し合います。

例(基礎収入が190万円と95万円の場合)

基礎収入が190万円である父と,基礎収入が95万円で15歳の子ども1人を養育する母の例を,裁判所の考え方で説明します。(額面給料で,父親の年収が500万円,母親の年収が232万円のとき,この基礎収入額になります。)

親(住居費を負担)と,親と同居する(自分の住居費がかからない)15歳の子の生活は,割合で,親のために100を使い,子のために90を使うと,同レベルになると想定されています。これを「生活費指数」と呼んでいます。父の基礎収入190万円を,父の生活費指数100と子どもの生活費指数90で按分すると,子ども分は90万円と算出されます。

そして,この90万円を父の基礎収入190万円と母の基礎収入95万円で按分し,父の分担額を60万円と算出します。

そして,この60万円が,父が母に支払うべき養育費の額ということになります。

養育費算定表

裁判所は,こうした考え方に従った養育費が簡便に計算できる「養育費算定表」という早見表を用意しており,例外的な事情がない限り,その養育費算定表に従って養育費を決めていることがほとんどであるという実態があります。

養育費算定表の使い方は,別記事「養育費相場の計算方法~養育費算定表の使い方」に詳しく記載していますので,ご覧ください。

裁判所の養育費算定表は子どもが3人までの分しかありませんが。多治見ききょう法律事務所では,裁判所の養育費算定表を分析し,子どもが4人の場合の養育費算定表を作成しました。別記事「養育費算定表子4人表の作成-裁判所の算定表の分析から」で公表していますので活用してください。

また,単純な養育費算定表へのあてはめでは養育費を計算できない場合については,連載記事「養育費算定表では分からない養育費の計算方法」で解説していますので,こちらをご覧ください。

養育費算定表では分からない養育費の計算方法目次

第1回
養育費算定表に用いる自営業者の年収の計算方法
第2回
収入変動大・無収入・借金あるときの養育費算定表の年収計算
第3回
公的手当・年金受給時の養育費算定表の年収計算
第4回
子供4人以上や子供を1人ずつ引き取った時の養育費計算方法
第5回
再婚した場合や連れ子がいた場合の養育費計算方法
第6回
私立学校通学・持病などで費用がかかる場合の養育費計算方法
第7回
住宅ローン・家賃の支払を受けている場合の養育費の計算方法
第8回
実家に住んでいて家賃がかからない場合等の養育費計算方法
第9回
過去分の養育費請求や養育費の額の変更は認められるか

裁判所が採用している考え方・養育費算定表の問題点

ただ,こうした裁判所の考え方により養育費を算定することについての批判や,養育費算定表を作る際に収入から差引いている費用の割合が不適切であるなどの問題点の指摘もあります。
日弁連が,平成28年11月に,こうした問題点の改善をめざして,「養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言」を発表しています。
養育費算定表により計算した結果が不当な場合には,日弁連の提言の内容も参考にして,適切な養育費の額を主張していくことが必要であると考えています。

この点については,別記事「日弁連の新養育費算定表とは~裁判所の算定表との違いを解説」で詳しく解説していますので,ご覧ください。

養育費の取り決めの理想像

幸せに成長する子どもたち

子どもを養育している立場の親と養育費を支払う立場の親の考えが一致せず,裁判所で養育費を決めてもらうとなれば,その決め方はある程度画一的にならざるをえません。

しかし,子どもが自立するまでの子どもの生活については,父親と母親が話し合って決めるのが理想です。結婚して同居している家庭では,親の収入・年齢,子どもの年齢の状況により,将来の子どもの学費や老後の生活のために貯蓄をする時期,逆に貯蓄を取り崩す時期の計画を立てるはずです。また,高校卒業後の進路についても,収入・貯蓄の状況と子どもの希望・学力を勘案して,大学・専門学校・短大・就職の選択,学部の選択,国公立・私立の選択,親元から通うか都会で一人暮らしをするのかの選択,奨学金制度を利用するかどうかの選択を,家族で話し合って決めるはずです。

離婚した場合にも,収入・貯蓄・子どもの希望・学力などをふまえて話し合い,可能な限り子どもが健全で充実した成長を果たせるような道が選択されるべきだと思います。実際にはなかなか難しいことではありますが,夫婦としてはうまくいかなかったけれど,これからは子どもを育てていくパートナーとして協力し合う関係を築こう,と気持ちを切り替えていければ,と思います。

養育費を取り決めるときに役立つパンフレット

法務省が,「子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」というパンフレットを作っています。わかりやすくできていますので,このパンフレットも参考にすると良いでしょう。

養育費の限界

養育費が少なくて生活をしていけないという不満をよくお聞きします。逆に養育費を払うと生活していけないという話もよくお聞きします。

別居生活

離婚したからと言って,父親と母親が稼ぎ出せる金額の総額が増えるわけではありません。それにも関わらず,夫婦が結婚していたときは,家賃・水道光熱費・NHK受信料も1軒分で済み,家電製品も1セットで済んだものが,離婚すれば(2倍にまではなりませんが)2軒分必要になります。
離婚後には児童扶養手当が支給されるようになる場合があることを考慮しても,離婚前よりも切り詰めた生活をしなければ,足りなくなってしまいます。
父親側の家庭も,母親側の家庭も,生活レベルを下げる必要が生じてきます。子どもにかかる費用も聖域ではなく,塾の費用などを減らす必要,私立をあきらめて公立に通うなどの必要も生じてきます。

妻(母親)の方が夫(父親)よりも収入が少なく,離婚したときに子どもを養育するのは妻(母親)ということが多いのですが,離婚をすると,元妻(母親)自身の生活費は,元夫からもらうことができません。児童扶養手当や子ども手当は,子どもの費用の補填でなく,子どもを育てている家庭を支援するものなので,行政からもらっているとも言えますが,大きな額ではありません。母親は,母親自身の分の生活費を稼ぐことができないと,生活していけないということになってしまいます。

正当な養育費をもらっている場合にも養育費が少なくて生活をしていけないということがありえますし,正当な養育費を支払っているだけの場合にも養育費を支払うと生活していけないということがありうるわけです。

養育費の支払いを続けてもらう方法

このように,養育費は,支払う側にも負担が大きいもののため,養育費を取り決めても支払が続かないことがあります。

支払い続けてもらいたい場合には,次の記事も参考にしてください。

取り決めた養育費が支払われなくなったときの回収方法

取り決めた養育費が支払われなくなったときには,裁判所の手続きを利用して回収することが考えられます。

  • 裁判所から支払うよう勧告(制裁なし)・命令(制裁あり)をしてもらう方法(履行勧告・履行命令・間接強制)
  • 財産を差し押さえる方法
  • 財産を開示するよう命令してもらう方法(財産開示)

があります。

どの方法で取り決めたかにより,利用できる手続きが異なります。選択肢が多いのは,裁判所の離婚訴訟,離婚調停,養育費請求調停・審判で取り決めた場合です。

住宅ローンの負担のない不動産があれば不動産を差し押さえることもできますが,多くの場合には,差し押さえ可能なものといっても,預金と給与収入に留まります。その場合の回収手続の流れを図に示すと,次のとおりとなります。

養育費の回収手続の流れ

法改正の動き

養育費を強制的に回収するときの裁判所の手続きを定める民事執行法の改正の動きがあります。
法改正がなされると,強制的に回収する手続きの実効性が大きく高まります。
詳しくは,別記事「養育費を支払ってくれない場合の新しい回収方法」をご覧ください。

離婚調停で養育費を増やしたい女性の方へのアドバイス

お子さんの将来のために養育費を多くもらいたい女性の方へ,弁護士木下貴子が作成したアドバイスブックを無料配布しています。

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養育費Q&A

(再婚・養子縁組した場合の養育費)
Q 高3の息子が大学受験なので,その大学費用を請求しています。志望校の入学金,授業料,入学後にかかる諸々の費用を調べて書面にし,相手方(現夫)に請求しました。その他の受験費用,生活費などは請求しないので,学費だけでも支払ってほしい,と請求しました。
現夫は,大変な時は援助するつもりでいると言ってきていましたし,大学費用の件は息子の一番の心配事なので,援助してもらえたらありがたいと話しました。
しかし,相手方(現夫)の反応は,まだ大学が決まった訳でないのに今のうちから金を要求されても困る,具体的にいくらほしいのかがわからないとのことでした。
息子は前夫との子供で,現夫とは養子縁組していましたが,離婚が決まらないうちに元夫から離縁してほしいと言われ,離婚前ですが,離縁をしています。
どうしたら,現夫に息子の養育費を支払ってもらえるでしょうか?
A 結論から言いますと,現夫(以下,Aさんといいます)には息子さんの扶養義務がありません。
なぜかというと,Aさんと息子さんの間には血縁としての親子関係が無く,離縁によって法的な親子関係も無くなっているからです。
そのため,もし,養育費を請求するのであれば,血縁としての親子関係がある,つまり実父である前夫に養育費を請求することになります。
離婚する前であれば,妻である質問者の生活費(婚姻費用)は請求することができます。しかし,この場合であっても,その生活費に,親子関係にない息子さんの分は含まれません。
もっとも,離婚したとしても息子さんの学費を支払うという合意ができていた,と言えるような場合には,請求が認められる場合もあると思います。ご質問のケースで合意ができているかどうかは,はっきりと分からない部分もありますが,「具体的に」という話も出ているようですので,実際に大学に進学することになり,その金額が分かるようになれば,その一部をお願いする,という方法もあるでしょう。
再婚し,前夫(もしくは妻)の子と養子縁組をし,その後離婚することになった場合,同様のご相談は多いのですが,法的に扶養義務があるのが誰になるのか,というのがとても大切な視点になります。いつ離縁をするのか,離縁をしたら,誰が扶養義務者になるのかに注意し,弁護士に相談しながら進めていくのがいいでしょう。
(養育費を支払わなくていい場合はあるか)
Q 養育費を払わなくて済む方法はありませんか。
私は娘がいて,これから離婚調停です。
相手側が私に求めていたものが違ったようで,
・もうあなたなんかいらないわ
・親(相手側)の会社で働けば好きなように働けるし,給料もいいのよ
と離婚を要求しておきながら養育費の請求をしてくる,非常に厄介な相手の場合などです。
私は自分の手で子供を育てるのにお金は惜しんではおりません。
ただ,上記のような侮辱的なことを言っておきながら,困ったときは金をよこせというような相手は絶対に許すことができません。
なので養育費を絶対に払いたくないのです。
相手が望んでいたくせに……というのが正直な気持ちです。
A 結論から言いますと,ご質問者の方が,働いていて,収入もある限り,養育費を一切支払わない,というのは無理でしょう。なぜなら,「養育費」は子どもさんのために必要とされるものであり,「子どもさんの権利」だからです。
相手方が浮気したために,離婚になったのにもかかわらず,養育費を支払わないといけないのか,というご質問も多いのですが,基本的には同じになります。
もっとも,このような相手方の言動に問題があって離婚になるような場合には,「離婚」そのものに対する「慰謝料」を請求することは可能です。今回のご質問のケースは,その他にどのようなやりとりがお二人の間であったかにもよりますので,不貞行為のように,直ちに相手方に「慰謝料」を請求して,認められる,と言える事案ではないかもしれません。このケースで慰謝料を請求できそうか,した場合のリスク,その後の予測される事態などについては,詳しくは,弁護士に一度相談するとよいでしょう。
養育費の「法的性質」についてはこのページの内容を参照して下さい。また,養育費と慰謝料を相殺できるのか,については,「過去分の養育費請求や養育費の額の変更は認められるか」のページの末尾に記載していますので,参考にして下さい。
相手方に相当の収入があり,経済的に余裕がある場合であれば,養育費を一切支払わない,ということは無理であっても,養育費の金額を適切に下げる,という交渉はできます。「養育費算定表の相場」の枠内で例えば2~4万円が相当とされている枠であるならば,その下限の2万円で足りるはず,というような話はできるでしょう。
また,「養育費」が子どもに直接使われる実感の得られる払い方を提案する方法もあります。例えば,保育料の引落とし口座を受け持つ,子ども名義の預金通帳に養育費を入金する,などの提案をするのも一つの方法でしょう。
(元妻が働けるのに働かないときの養育費)
Q 妻が働けるのに働かない(常に働いてほしいと言っていたけれども,勤労意欲が以前から無かった)。夫である私に借金があり算定表の額を支払うと,更なる借金を重ねなければ支払いが困難な場合など,養育費の金額を下げてもらえるのでしょうか?
A  養育費の金額は,現在「養育費算定表」を基に計算されることが一般的です(養育費算定表の詳しい使い方については,記事「養育費相場の計算方法~養育費算定表の使い方~」をご覧ください)。
この「養育費算定表」の使い方について,大阪家庭裁判所の解説があります。
その資料のQ&Aによれば,「働けるのに働いていない場合,収入を0とするのは相当とは言えません。そこで,収入を推計して算出することになります」とされています。具体的には,定職に就いていた経験がある場合には,定職に就いた場合の平均的収入,すぐに定職に就くことができそうにない場合は,パートタイム労働者の性別・年齢別年間収入により収入を推計することが考えられる,とされています。
おたずねの場合でも,子どもさんが乳児・病気等で働けない場合などではなく,働けるのに働かない,と言える場合には,妻にも推定収入があることを前提に養育費算定表に当てはめることで,養育費の金額を下げられる可能性があります。
一方,借金については,同じQ&Aの中で,「一般的に負債が養育費の支払いに優先することは考えにく」いとされており,原則としては特別な事情として考慮されません。負債は,負の財産を分ける「財産分与」として考えることになります。(支払えない場合には,破産等も検討することになります。)例外的に,財産分与として借金の負担を決めずに離婚した後,養育費を請求された場合には,一部考慮することが考えられています。
無収入の場合や借金がある場合についての「養育費算定表」の使い方については,記事「収入変動大・無収入・借金あるときの養育費算定表の年収計算」にも書きましたので,あわせて確認してみてください。また,負債の中でも「住宅ローン」の負担をしている場合については,特別な計算となるので,記事「住宅ローン・家賃の支払を受けている場合の養育費の計算方法」に記載しています。
(大学卒業までの養育費)
Q 夫は,養育費を子供が成人するまで支払う,とは言ってくれるのですが,子供が大学に行く場合には,大学を卒業するまで支払ってほしいと思っています。どうしたら,調停で「大学を卒業するまで」にしてもらえますか?
A 調停は,話合いで決める手続きなので,夫が「大学卒業するまで」支払うことに納得してくれないと,調停で合意することができません。そのため,調停委員から説得してもらうことになりますが,現在の裁判所の運用では,養育費の支払終期について,一般的には成人までとされています(以前は,18歳までというものも多かったです)から,調停委員もなかなか説得する根拠が乏しいところになります。もっとも,これまでの裁判所の判断(判決・審判例)をみると,「大学進学が当然・相当」と言える状況にある場合は,例外的に養育費支払の終期を大学卒業までとされているものがあります。
その判断基準は,以下のようなことです。
  1. 両親等の学歴両親,兄弟その他の親戚の多くが大学に進学している……認められやすい
  2. 子供の進学希望・両親の進学への意向
    子供が大学を進学したいと思っており,両親も賛成……認められやすい
  3. 両親の経済力
    両親の収入,保有資産からすると,大学進学の費用を負担をする余裕がある……認められやすい
  4. 父母の資格を活かした家業を継ぐ必要性
    両親の家業が医師・弁護士などの資格が必要なものであり,子供も,その事業を承継するために学んでいる……認められやすい
そのため,相手方が成人までしか支払わない,と言われている場合には,上の1〜4の条件にあてはめて,自分の事例が,子供が大学進学するのが当然です,と調停委員から説得してもらうことになります。
しかし,裁判例の中で,実際に,大学進学をしていない段階で大学卒業までの養育費を認めた事例は多くはありません。両親ともに,子供の大学進学を強く希望しているような例外的な場合になります。他に20歳以降も認められた事例のほとんどは,実際に子供が大学に進学した後に請求されているものです。
そのため,子供さんがまだ高校生以下であり,どうしても,夫が成人するまでしか養育費を支払わない,と言われた場合には,一旦,離婚調停の場では支払い終期を延ばすことは諦めて,子供さんの大学進学が決まってから(合格発表があってから),改めて,養育費の支払い延長の申立をする方向を考えるのがいいと思います。
なお,子供さんが成人してから請求する場合には,子供さんご自身から,父親への「扶養料の請求」という形になります。
この場合も,上の1〜4にあてはまるかどうかがポイントとなります。片方の親が大学進学に賛成し,もう片方の親は反対していた場合には,認められていない事案もありますので,どこの大学に進学したのかも言わないけれど,突然養育費の延長だけを求める,ということではなく,養育費を継続的に支払ってもらいたい場合には,それまでの間に,どこの大学に行きたいのか,なぜ行きたいのか,など普段から両親や子供も交えて進学について話あう関係をつなげていくことも大切になります。
調停条項を作成する場合の注意事項としては,「成人に達する日の属する月まで」や「成年に達する日の属する月まで」とする条項も以前は多かったのですが,今後は「20歳に達する日の属する月まで」としておくことがいいでしょう。なぜかというと,法律改正で2022年4月から「成人」「成年」が20歳ではなく18歳に変更される予定となっていますので,後に争いとなる余地が残るからです。
(養育費の支払終期の変更)
Q  「養育費を18歳まで支払う」と離婚調停で合意したのですが,その後,子供が大学に行くことになりました。養育費の支払いを延長してもらうように言われて,驚いています。引き続き,支払わないといけないですか?どのような調停条項にしておけば良かったのでしょうか?
A 支払わないといけなくなる場合があります。例えば,18歳で高校を卒業した場合には,就職するはずであると考えて合意していたような場合で,その後大学に進学するという「事情変更」によって引き続き「扶養」が必要な状態になったと言えれば,養育費の支払を延長すべきことになります。
もっとも,相手方の不貞行為による離婚の場合に,相手方に慰謝料の支払いを求めない代わりに,18歳以降に子供さんが就職しなかったとしても,その後の養育費は「一切支払わない合意」をしたのであれば,状況は違います。裁判所は当事者での合意を重視しますので,原則として支払わなくて良いことになります。他にも,夫婦間の借金をこちらが背負う代わりに,そのような合意をした,と言える場合もあるでしょう。
この場合,調停条項で明確に定めておかないと,原則としては「事情変更」として延長が認められる余地があることになると思われます。
そのため,「18歳以降は一切支払わない」という合意をしたのであれば,調停条項に「本件は相手方の不貞行為による離婚であるため,子が18歳に達した場合は,その後,就職しているか否か,その生活状況を問わず,相手方が子の生活費の一切を負担するものとし,養育費の請求をしないものとする」などと定めておくと良いと思います。
ただし,この場合であっても,大人である両親の事情によって,子供さんの生活が困窮するのは不憫です。「養育費」は,子供のための権利なので,このように子供が生活に困窮するような場合には,子供さんからの請求によって,養育費の支払いの延長・変更が認められることもあります。

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